お知らせ
芸術学科卒業生で作家として活動する前田梨那さんが「映像文化論」授業内ゲストとして来学しました!
2023年6月20日
2023年6月16日(金)、「映像文化論」(総合文化学科 小林茂先生担当)のゲスト講師として芸術学科卒業生の前田梨那さんをお迎えしました。
▲前田梨那さん
前田さんは、在学中から精力的に作品を発表し、写真の持つ本質を探究されています。
2021年には、コンテンポラリーアートとしての写真の若手登竜門「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2021」においてグランプリを受賞し、これからの活躍が期待される写真家(アーティスト)です。
授業では、まず、写真との出会いが語られました。
高校生のときに写真を始め、大学では写真研究会に所属した前田さんですが、写真は誰かと話をするための「コミュニケーション・ツール」としての意味合いが強かったそうです。
大学在学中、化学実験のような暗室作業に夢中になり、印画紙に焼き付ける際の定着液を利用して絵を描くように写真を仕上げ、写真と絵の融合のような作品を数々発表しました。
個展も経験し、企画・準備から搬出まで全て一人で行ったことで、アーティストとしての自覚や責任感が生まれたとお話しされていました。
作品解説もしていただきました。
(前田さんの許可を得て、blogでもご紹介します)
[Cosmic Ego]
ゼラチンシルバープリント/203×254/2019年
「自分が分からない」という純粋な気持ちをイメージとして制作。映っているのは前田さん。
宇宙を背景にし、顔を消すことで人を人影へと変容させている。人影もまた正体をつかめないものであり、不安感が漂う。
[Faded Image]
インクジェットプリント/60×60/2018年
猫の写真を繰り返しコピーし、コピーする度に像が崩れ抽象化されていくという作品。
写真はその再現性、客観性が特徴であるが、コピーを繰り返すことでエラーを起こし、写真ではなく描いた像のように変化していく。その様子をみると、機械と人間、被写体と撮影者という対立も危うくなってくる。
[Cosmic]
ゼラチンシルバープリント/1460×900/2019年
Cosmic Egoと同じく自らを被写体にした作品。
「性自認」「自分のなかの他者」をテーマとし、男性的、女性的、布を被り見えなくした姿、の3枚で構成されている。写真というメディアが持つ他者性を使い、「私」を思索する。
「大きな作品のため保管場所に困っている。皆さんも制作するときはサイズに気を付けてください。」と話し、会場はなごやかな笑いにつつまれた。
▲授業中の様子
取材をして、最も印象深かったのは、言葉に対する前田さんの姿勢です。
「作品を観てもらい、言葉にならないものを感じてもらうことが一番大切だと考えていますが、作家は作品について説明を求められる場面があるため、自分で言語化できる力も必要です」と前田さんは言います。説明や解説をする際には、「聞く人に納得感を持ってもらえるか」を大切にしているというお話は、前田さんの人柄を表しているようでした。
終盤のトークでは、「現在はインスタレーション作品も発表しており、興味が変化していくなかで何を突き詰めればよいのか迷うことがある」と話す前田さんに、「変化を自覚して進むことは重要なこと」と小林茂先生が返答していました。
学生たちとの意見交換も行われ、充実した講義となりました。
▲小林茂先生(総合文化学科)と前田さん
前田さんは7月7日(金)から個展「Tide Land」を開催されるそうですので、是非足をお運びください。詳細はこちら(https://aaploit.com/rina_maeda-tide_land/)
前田梨那さんWebサイト
https://mpear71.wixsite.com/mysite
Instagram
https://www.instagram.com/qiantianrina31/