社会と文化、教育と発達、経済とビジネスの
領域研究を、より高度に、より深く。

⼤学院 社会⽂化総合研究科(修士課程) 

⼤学院 社会⽂化総合研究科の学び

人間の心理や発達と教育、環境、ユーラシア、弱者・マイノリティー、さらには経済・ビジネスの場をフィールドとして、さまざまな問題に取り組んでいます。

⼤学院の特徴

和光大学大学院 社会文化総合研究科には、「心理学専攻」(2020年4月設置)があります。大学院の研究と教育の手がかりは、私たちの前にある現代社会と人間の諸問題です。それら諸問題を理解し、解決する道を探るために、既存の学問の枠組みにこだわらず、専門諸分野の協力によって総合的研究を進めます。

⼤学院の3つの方針

学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)

 本研究科は、本学の建学理念において重視される社会と人間への理解を念頭におき、高い専門性によって現代社会の諸問題を捉える力や解決に向けた応用力を持つ人を養成することを目指します。そのため、公平で確かな成績評価を行い、所定の課程を収めた以下のような学生に学位を授与します。
DP1:専門分野にかかわる深い学識と倫理観を持つ人
DP2:現代社会の諸問題について、専門分野の視点から分析し、考察する力のある人
DP3:現代社会における諸問題を解決するために、専門分野の知見を高い専門性をもって応用する能力のある人

教育課程編成方針(カリキュラム・ポリシー)

 心理学コースのカリキュラムは、心理学や心理支援の深い専門性を有し、社会や人間が抱える課題を分析的にとらえ実践に取り組む人を養成するため、「心理支援の基礎」「心理支援の展開」「心理支援の実践」「心理支援の実習」「研究指導」の5つの分野から構成されています。
・「心理支援の基礎」では、専門分野における確実な知識の修得を目指します。
・「心理支援の展開」では、現代社会における多様な課題を専門的視点から理解し分析する力を養います。
・「心理支援の実践」では、多様な問題が存在する現代社会において、実践的に専門的支援を行うための理論や技術を学びます。
・「心理支援の実習」では、大学院の授業等で学んだ知識や技術を用いて、様々な現場で実践的な学修を深めます。
・「研究指導」では、大学院の授業等で学んだ知識や研究法を用いて、独自の問題意識から現代社会の問題を分析し、修士論文にまとめることを目指します。

学習成果評価方針(アセスメント・ポリシー)

 学位授与方針に示した学習目標の達成度を確認するため、心理学コースでは、学習成果の評価を以下の通り実施します。

    • 1.

      心理学コース科目単位修得状況及びGPA、ならびに授業アンケートを通じて、専門性、問題を捉える力、解決への応用力をセメスターごとに自己評価します。

    • 2.

      単位修得状況、実習報告書、事例報告会、修士論文中間報告会、修士論文などを通じ、指導教員が年度ごとにルーブリックを用いて評価します。

    • 3.

      学習成果を集約・分析し、カリキュラムの点検を行います。
      (1)各年度の前半に、前年度の学習成果(上記1と2の結果)を集計・分析し、教員会議や研究科委員会で確認します。
      (2)各年度の後半に、学習成果の集計・分析結果を踏まえて、カリキュラム・ポリシー、カリキュラム、各授業シラバスの点検を行い、必要に応じて改善策を講じます。

    別表及びルーブリック評価表の例(研究科)

入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)
現代社会と人間の様々な問題に関心を持ち、高度な学識と専門的研究能力を身につけることで、実社会に貢献したいと希望する人を受け入れる。

修⼠論⽂の評価基準

  • ・ 修士の学位を受ける者は、各専門分野・コースにおける基礎的な研究能力を有する必要がある。その上、申請者は修士論文を提出する義務がある。
  • ・ 修士論文は、これらの能力を修得し、一定程度の学術的価値を有し、学界の発展への貢献が認められることで評価する。
  • ・ 修士論文は、申請者が主体的に研究を取り組んで、学問的にまたは社会的に意義があり、単著である。内容には独自性があり、著作権を侵害しない。
  • ・ 修士論文は、日本語または英語で書かれ、明瞭かつ平明な文章で示す必要がある。論文題目は指導教員と相談の上、決定し、論文の中には研究の背景や目的、先行研究や関連研究の現状、研究方法、研究内容の位置づけや意義、さらに結論が適切な章立てにより含まれるものとする。
  • ・ 修士論文は、指導教員と相談しながらテーマを決め、仮題目を提出する。1年間終えたら公開の中間発表会を実施、それで認められたらさらに1年以内またはそれ以上の期間で最終題目と最終論文を提出する。最終論文の審査は主査とする指導教員と2名の副査で実施し、指導教員が最終的に評価する。評価に問題なければ公開の最終発表会を実施する。
  • ・ 修士論文は、以下の評価項目で評価を行う。
    • (1)テーマの選択と研究方法が適切である。
    • (2)文献調査や先行研究などを正確に読解している。
    • (3)データや資料などを的確に収集・処理している。
    • (4)独創的な分析、解釈、提案などを行っている。
    • (5)論旨が明快であること。
    • (6)論理的な文章であり、よくまとまっている。
    • (7)不正がない。
  • ・ 修士論文の評価基準は以下のとおりである。
    • (1)評価項目のすべてを満たしていない論文は「不可」とする。著作権の侵害などの不正があれば「不可」となる。
    • (2)著作権の侵害などの不正がある場合を除き、評価項目のいくつかを充分に満たしていない論文は、「良」と「可」いずれかの評価とする。
    • (3)評価項目を概ね満たし優れている論文は、「優」とする。さらに、大変優れている論文は、「秀」とする。

院生VOICE

心理学専攻 心理学コース(修士課程2年)
石渡 亜海さん

  • 心理職への憧れを持ち続けて。

    高校生の頃から、漠然と「心理に携わる仕事がしたい」という希望を持っていました。思えば、幼少期の警察官から始まり、法務教官など、人の心に寄り添う仕事がしたいという気持ちは一貫していました。大学時代は、青年心理学を専門とするゼミに所属し、「青年期の避妊理由の尺度の作成と信頼性・妥当性の検討」をテーマに卒業論文を執筆しました。先行研究が少なく、ぎりぎりまでWebアンケートを行うなど苦労しましたが、自分で設定したテーマを深めていくことが面白く、研究を続けたいと思い、大学院進学を決めました。
    進学を決めたことで、公認心理師資格の取得を目指し、心理支援の仕事に役立てたいという思いもいっそう明確になりました。

  • 大学院生であるという自覚。

    修士論文では、青年期の避妊に対する男女の意識差が、コミュニケーションに対する自信と関係満足度に及ぼす影響を研究しています。日本では、避妊は男性に意思決定権があるという意識が根強いですが、女性も主体的に決定できる関係を築くためにはどうすればよいのか、あわせて研究したいと考えています。日頃から感じているのは、女性の精神的・心理的健康に関する情報が不足しているということです。人工妊娠中絶や孤立出産についても同じことが言えますが、社会の現状をもどかしく思う気持ちが私の研究の原動力になっています。
    私の研究テーマは、医療分野などでの事例は見つかるのですが、それぞれ独立して扱われており、「関連性がありそうだけど、現時点では分からない」ということもあります。大学院では、そういった関連を自分で見出し、知識や理論で裏打ちしていく必要があります。学部生以上の内容を学びたいと思って進学したのだから、ひとつでも多く学びとろうとする意識が大切だと思います。

  • 生きづらさを抱える人に寄り添いたい。

    卒業後の目標は、まずは公認心理師の資格を取得することです。将来的には、家に帰りづらい、居場所がない若年層の支援に携わり、逸脱行動の予防につなげたいと思っています。そのようなつらさを抱えた若年層女性の場合、危険を顧みずに夜の街をさまよい、犯罪に巻き込まれたり命の危険にさらされるケースがあります。そのような状況に立たされている人たちのことを考えると、居ても立っても居られない気持ちになります。彼女たちを支援する仕事に就くことが、私の願いです。
    生きづらさを抱える人たちの背景にあるものを理解し、寄り添う心理支援ができればと思います。

心理学専攻 心理学コース(修士課程1年)
福田 海人さん

  • 心理学を深めたい。

    大学時代は、児童心理学を専門とするゼミに所属し、フリースクールの子どもたちとの交流や、虐待防止啓発プロジェクトなどを通じて、子どもの心の支援について学んでいました。「子どもの心の傷つき」という知識とリンクさせながら自ら問題を提起し、実践できる場だったので、とても充実していました。また、心理支援を行うNPO法人の方と接する機会もあり、「支援をする側」のケアにも着目したいと考え始めました。
    心理学をさらに深く学びたい気持ちが高まっていきましたが、就職か進学か、迷いがありました。そんな時、3年次に公認心理師プログラムに選抜され、本格的に公認心理師資格の取得を目指そうという気持ちが固まりました。

  • 大学院の学びは、すべて自分次第。

    大学院では、教員が学生へ知識を伝えるという一方向の講義はありません。テーマごとに院生が発表を行う科目や、ロールプレイの中で心理検査や事例の理解を深める科目がメインです。そのため、大学時代よりさらに主体的に学ぶ姿勢が求められます。資料作成や調査には、膨大な時間がかかりますが、そこにどれだけ力を注げるかで研究の質が決まってきます。行き詰まることもありますが、自分で1から組み立てる面白さを感じています。また、研究の進め方などについて、教員からすぐに反応や評価が返ってくる環境もモチベーションにつながっています。
    特定の領域を深く探求することは、視野が狭くなるのではないかと不安に思う人もいるかもしれません。私は、知識が深まっていくからこそ、芸術や科学など他の角度からの見方を大切にできるのだと思います。大学院での日々は、「一つの物事に熱中する楽しさ」と「広い視野を持てるように成長し続けること」を教えてくれます。進学を迷っている人には、ぜひ一歩を踏み出してほしいと思います。

  • 公認心理師資格を目指す先にあるもの。

    現在、福祉領域で働く心理職の心のケアに関する研究を進めています。支援する人が心身ともに健康であることが、支援を必要としている人の幸福につながると思うからです。心理職の人々が働くなかで抱く悩みや葛藤を明らかにすることによって、離職を防ぎ、定着を図る糸口を探したいと考えています。
    まずは公認心理師資格の取得が目標ですが、その先にどの領域を選択するかは、まだ決めきれていません。資格を取得することがゴールではないと思うので、公認心理師としてどのような支援をし、社会に還元していくのか、今後さらに考えを深めていきたいと思います。