芸術は、一部の閉ざされた人のものと考えられがちですが、実は社会と密接に関係しています。美術やデザインという文化の一端から、作品を発表し、伝えるためには、幅広い教養と表現技術の修練が必要となります。芸術学科では、「制作」「批評」「企画」「編集」と、表現に関連するさまざまな手段・手法を学ぶことで、社会に貢献できる文化人を育てることを目的としています。
芸術学科の特徴
-
アート、デザイン、プランニング3系統から自由に学ぶ アート系、デザイン系、プランニング系の3系統を自由に体験した上で、好きな分野を追究できます。分野を決めている人も異分野から学べることは多いはずです。
-
教員と巡る国内・海外の美術館・アートイベント 国内外でのフィールドワークが長期休暇に行われるほか、随時、ゼミや授業、教員の呼びかけにより美術館やアートイベントへの鑑賞ツアーを実施します。
-
学内のギャラリー
都心の画廊で展示の機会も学内にホワイトギャラリー、ホワイエなど、複数の展示空間があり1 年次から個展・グループ展ができるほか、3年次には選抜で都心の画廊での発表ができます。
-
幅広い知識と豊かな教養がクリエイティブの幅を広げる クリエイティブな作品は、豊富な知識や経験の上に成り立ちます。専門的な学びと同時に講義バイキングを通してさまざまな学問領域に触れ、豊かな創造力を養うことができます。
4年間の学び
-
1年次
広く芸術への理解を深める
さまざまな専門基礎科目を通して、「アートとは、デザインとは何か」を、多角度から捉えることができます。また、デッサンやPCリテラシーもイチから学べ、表現や分析の基礎となる観察力や描写力、情報編集力をしっかりと養えます。
-
2年次
3系統を横断して専門を探る
アート、デザイン、プランニングの3系統を横断的に学び、課題制作に取り組みながら、自分の好きな分野や、向いている分野を探る段階です。表現活動の軌跡はポートフォリオにまとめます。
-
3年次
ゼミナールでの学びを強化
専門科目の履修によってさらに高い専門性を身につける時期です。1つまたは複数の系統やゼミナールに所属して、自分が主軸とする分野を絞り込みながら、制作と研究の成果を、学生同士で議論することも作品の完成度を高めます。
-
4年次
卒業制作または卒業論文は4年間の集大成
卒業制作に求められるのは4年間の経験を集約した、自分にしかできないオリジナル作品です。制作過程では指導教員がいくらでも相談に応じます。完成した作品は卒業制作展で公開されます。
学生VOICE
木原 幸乃 さん 芸術学科 3年(東京都 千早高等学校 卒)
-
あらゆる角度から表現する力を磨ける
今の目標は映画を撮ること。イメージを形にするための学びを自由に選び取れる環境は最高です。
自分が「表現したいこと」をかなえるため、必要なことを垣根なく学べるのが芸術学科の魅力です。私は高校時代に演劇をしていて、大学では映画を撮ってみたいと考えていました。新たに学びたいことがたくさんありましたが、芸術学科ならそのすべてが可能でした。創作のイメージを豊かに広げるための教養から、映像技法までを身につけることができます。さらに同じ表現学部の総合文化学科の科目も組み合わせて、ことばの表現についても学んでいます。絵画、写真、工芸、デザインなど、好きな分野で創作の幅がきっと広がります。 -
撮影 映像作品を撮影する
これまで短い映像作品を何本か作ってきました。個人制作も楽しいのですが、グループ制作に取り組むと、自分にない視点や表現を共有できるので刺激になります。
編集 映像作品を編集する
編集作業では撮影素材を整理し、シーンを違和感なくつなげて、音楽、効果音を組み合わせていきます。
制作 アニメーションに挑戦
夏休みの集中講義でアニメーションを制作。線画、切り絵、紙粘土など多様な技法を学べました。
表現にプラス 脚本も上手くなりたい
自分で脚本を書いているので、総合文化学科の科目は、学びの宝庫!歴史に残る戯曲を知ることも、脚本に奥行きを与えてくれます。
色彩を効果的に使う
色が与えるイメージを学ぶ「色彩学」の授業を受けてから、自分が表現したい場面を、色によって印象付けることも意識しています。
卒業生STORY
写真家・アーティスト
前田 梨那 さん 芸術学科(2020年卒業)
-
「私」でいるために、「誰か」と話すために、作品の実験は続く
2021年、“コンテンポラリーアートとしての写真”の若手登竜門「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2021」においてグランプリを受賞。以降、写真・アーティストの道を歩み始め、神奈川・東京を中心に個展やグループ展で精力的に作品を発表している。
写真との出会いは、高校時代
私にとって写真作品をつくることは自分らしくいられる基礎です。同時に、作品はコミュニケーションの手段でもあります。初めてカメラを手にしたのは高校生のときでした。家にあったカメラを借りて花の写真などを撮っていたら、カメラに興味のある人が撮り方を教えてくれました。面と向かって人と話すのは苦手なところがありましたが、写真を媒介に他者との関係性がつくれることに気づいた最初の出来事です。
大学では油彩画やアニメーションを学びたいと考えていたので、幅広い表現技法の授業が選択できる和光大学の芸術学科に進学しました。心理学にも興味があり、講義バイキングで取ることが楽しみでした。写真作品の制作に引き込まれたのは入学してからのことです。
意図を言語化することで作品を完成させる
数ある実技の一つとして写真の授業を選択したところ、自由に暗室が使えるようになりました。最初の頃、現像に使う薬剤の順番を間違え、写真にシミのようなものができました。何度か失敗するうちに、シミが意味を持つように見えておもしろくなり、写真研究会にも所属して、自分が表現したいテーマで実験的な表現を追求するようになっていったのです。
もともと自分のためにつくっていた作品でしたが、大学3年次の選抜展に選ばれ、個展を開催できることになりました。その頃から作品制作と同様に大切にしているのが、作品の意図を伝えるタイトルやキャプションです。言葉にならないものを伝えられることもアートの力ですが、人前に発表する以上、意図を言語化することは作家としての責任だと考えています。私の内にあった言葉を引き出してくれた大学時代の恩師がそれを教えてくれました。
作品は、対話を生み出す「罠」
現在はアルバイトをしながら、創作と発表活動に意欲的に取り組んでいます。展示会場で、それまでまったく関わりのなかった人たちと作品を通して話ができることは、生きる喜びを感じる瞬間であり、私が作品をつくる理由の一つです。在廊できないときには、訪れた方が長い感想を書いてくださることもあります。作品は「私はこう思うけど、あなたは?」と問いかけるための、ある種の「罠」。その対話を生み出すためにこれからも実験的な作品をつくり続けていきます。
※所属、役職、インタビュー内容は取材当時のものです(2025年3月現在) -
前田さんへの一問一答
01 和光大学で得たものは?
制作を通して仲間ができました。今も同級生とのつながりでグループ展を行うことも多いです。
02 これからの夢はありますか?
生涯作品をつくること、そのための場所を見つけること。
研究(卒業論文・卒業制作)テーマ例
- ・気晴らしのできない現実(絵画)
- ・spin off(立体)
- ・真昼を泳ぐ魚たち( 写真集)
- ・白を泳ぐ(日本画)
- ・そこにいるだけ(シルクスクリーン)
- ・私の誕生日カレンダー(グラフィックデザイン)
- ・オリジナル雑貨ブランド「ALL IS LOVE 」( IP デザイン)
- ・現代の変化に対応したピクトグラム(サインデザイン)
- ・フジノ・アートロード(アプリデザイン)
- ・Macaron(映像)
- ・カレー大王vs シチュー女王(絵本)
- ・「アイドル」に関する論考(論文)
取得できる免許・資格
- ・中学校教諭一種(美術)
- ・高等学校教諭一種(美術)
- ・学校図書館司書教諭
- ・図書館司書
- ・博物館学芸員
- ・社会教育主事(社会教育士)※1
- ・社会福祉主事 ※2
※1:社会教育主事課程を修了することにより「社会教育士(養成課程)」の称号を得ることができます。
※2:厚生労働大臣が指定する科目のうち3つ以上を履修して卒業した場合に取得可能です。
大学認定プログラム
- 和光大学独自のプログラムとして、3つのプログラムがあります。 地域・流域プログラム ジェンダー・スタディーズ・プログラム言語研修プログラム