「生命系」「身体文化系」「社会学系」の3つの系統の科目を横断的に学び、広い視野から「人間とは何か?」を探究します。柔軟な発想から多様な人々や存在が共生できる社会について考え、さまざまな社会問題に向き合える力を養成します。
人間科学科の特徴
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3つの専門領域を横断的に学べる 「いのち:生命系」「からだ:身体文化系」「まわり:社会学系」の3領域の科目が学べます。遊びや楽しさを介して、様々なことがらを柔軟に考える方法を身につけます。
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多様なテーマから「共生」を考える スポーツ、身体、健康、環境、ジェンダー/セクシュアリティ、労働、貧困、不平等、差別、メディア、都市、社会運動などについて学び、社会問題に向き合います。
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フィールドワークで現場を体験する フィールドワークで大切なのは、五感を研ぎ澄ませて、その場所の歴史や雰囲気をからだで感じることです。フィールドは旅先にも日常生活にも広がっています。
※フィールドワークの訪問先・実習先は、学科・年度で異なります。 -
保健体育科(中高)の教員免許を取得できる スポーツが得意な人のためだけでなく、苦手な人も置き去りにしない実技の教え方が学べます。幅広い知性を身につけた、多様な生徒に向き合える教員を養成します。
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多様な「キャリア」に触れる 学科専門科目の「人間科学キャリア論」という講義では、「キャリア」とは「生き方」のことだととらえています。卒業生も含む多くのゲストスピーカー(いわゆる一般企業だけでなく、NPOや市民活動、フリーランスなどの分野で活躍されている方々)のお話を聞く機会が盛りだくさん。それまで知らなかった卒業後の「生き方」のヒントを得る場になっています。
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授業を資格につなげる 保健体育の教員免許状に加え、社会の様々な場面で活かせる資格につながる学びのプログラムを用意しています。「社会教育主事(社会教育士)」「キャンプインストラクター」「スポーツコーチングリーダー」「アシスタントマネジャー」「認定ムーブメント教育・療法指導者」の資格取得をサポートしている他、大学独自の「地域流域プログラム」「ジェンダー・スタディーズ・プログラム」などもあり、関心に応じてチャレンジできます。
4年間の学び
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1年次
自由に羽ばたき始める
少人数クラスで、大学の学びの基本を身につけます。導入科目には、複数の教員が個々の切り口を紹介する『人間科学研究論』と、将来の生き方について考える『人間科学キャリア論』があります。
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2年次
興味や関心の幅を広げていく
「生命系」「身体文化系」「社会学系」の専門科目を学び始めます。ゼミナール(人間科学論演習)にも参加できます。領域横断的な学びを通じて視野を広げ、「人間とは何か?」を多角的に探究し始めます。
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3年次
問いを深め、広がりも意識する
ゼミナール( 人間科学論演習)やフィールドワークを通じて、関心のある分野の学びを深めます。ゼミナールは同時に複数履修することができます。
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4年次
4年間の集大成に取り組む
ゼミナール(人間科学論演習)などで自分が興味のあるテーマを見つけて、調査や文献に基づき、卒業研究(またはより本格的な卒業論文)に取り組みます。
学生VOICE
中原 早織 さん 人間科学科 4年(神奈川県 茅ヶ崎西浜高等学校 卒)
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自分の「体感」を通して人間理解を深められる
普段は意識しない大切な事柄に実技やディスカッションを通して気づく授業がたくさんあります。
人間を理解することは、よりよく生きること。そして、さまざまな違いを超えて他者とつながる出発点だと、人間科学科の学びは気づかせてくれます。車椅子を使ったスポーツ体験や、“砂漠で遭難”や“宇宙空間”といった非日常を想定した行動をグループで話し合うなど、イメージでしか捉えていなかったことを、実感をもって考察する科目が豊富です。また、「ジェンダー」に関する授業では、これまで無意識に受け入れていた性別への意識が変わりました。今後の社会で自ら考え、行動できる人になるために、貴重な気づきが得られます。 -
体験してみる 体・頭・心の調和
「ムーブメント教育・療法」という授業では、遊具や音楽などを使い「からだ・あたま・こころ」の調和のとれた発達の支援を学べます。
車椅子スポーツ体験
バスケットボールやボッチャなどを実際にプレーします。
振り返る 動きを見つめ直す
みんなで運動した後に話し合い、体の状態を把握するグループワークは発見がいっぱい。
新村 萌の香 さん 人間科学科 3年(長野県・信濃むつみ高等学校 卒)
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ジェンダーを学びたくて、和光に決めた。
「女の子らしさ」の枠にはめられることの違和感を整理したいと思い、「ジェンダー」を学べる和光大学に決めました。1年次は、大学の勉強方法に慣れることを重視して科目を選びました。学びの基礎力を養うことにねらいを定め、授業の課題に丁寧に取り組むことを心がけました。2年次は、ジェンダーやセクシュアリティ、社会学に関する科目を中心に受講しています。漠然としか知らなかったことが体系化された知識となっていくことや、身近な出来事を違った視点で見られるようになることを楽しんでいます。正解のない問いに取り組むという大学での学びは、自分に合っています。授業の課題でも、自分の考えていることをそのまま書いても大丈夫なんだという解放感を味わっています。多様な知識や視点が身につくことが自分の力になっていると感じられ、これまで学力には自信がなかったのですが、あまり気にならなくなりました。もちろん成績がよければ嬉しいですが、それがすべてでないと思えるようになり、自分の中の小さな変化を感じています。
卒業生STORY
プロ野球 球団職員
千葉ロッテマリーンズ BtoC 本部 コンシューマビジネス部 ファンクラブ・デジタルグループ グループ長
藤田 恭輔 さん 身体環境共生学科(現 人間科学科)(2016年卒業)
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ファンの感動と熱狂を生み出すスポーツマーケティングの最前線
ファンの反応がダイレクトに返ってくる
千葉ロッテマリーンズの球団職員として、ファンクラブ全般とユーザー向けのデジタル業務に携わっています。ファンクラブの制度設計をはじめ、アプリの活用、デジタルコンテンツの企画を通じたファンのエンゲージメント向上や来場促進、新たなファンの獲得がミッションです。
この仕事のおもしろさは、ユーザーの方々の反応がダイレクトに返ってくること。施策や企画を実行する度に、楽しんだり、熱狂したり、時にはSNSなどでのネガティブなご意見も含めて、即座にレスポンスが得られるので迅速な効果検証ができ改善が図れます。
スポーツに携わる仕事の幅を知った大学時代
高校1年生でサッカー部を一から立ち上げるなど、スポーツに没頭していた私は、体育の教員になることを視野に入れて和光大学の身体環境共生学科(現 人間科学科)に進学しました。入学してみると、講義バイキングも含めておもしろそうな授業が満載。そして、“スポーツ”と付くだけで履修してみた「スポーツマーケティング論」や「スポーツマネジメント論」に心を掴まれ、スポーツを仕事にできるのは教員だけではないと気づきます。
しかし、当時は新卒でスポーツチームの職員になるのは狭き門だろうと考えていたので、スポーツを軸に、イベント会社、スポーツ用品小売り、スポーツスクールなど幅広く説明会を回り、卒業後は首都圏を中心に事業を展開するスポーツショップに入社しました。
憧れた業界でスペシャリストをめざす
チャンスが訪れたのは入社2年目。当時、連携企業だったJリーグチームへ出向の募集が出たのです。面接課題はチームの事業計画の提案。まったく未経験でしたが、勝因は多くの人に話を聞いたこと。和光大学時代、本当にいろんな人たちがいたので、知らないことは詳しい人に聞きまくり勉強する習慣が身についていました。結果、スポーツエンターテインメントの世界に飛び込んだのです。そこで経験を積んだ後、さらに事業規模が大きいチームで業界のスペシャリストをめざすべく今に至ります。
スポーツの興奮や感動、イベントや施策の楽しさを、どうやって多くの人に届け、喜んでもらえるか。ファン目線に立ちながらも、送り手として戦略を考え、形にすることが仕事の醍醐味です。
※所属、役職、インタビュー内容は取材当時のものです(2025年3月現在) -
藤田さんへの一問一答
01 どんな大学時代を過ごしてた?
ゼミ、教職課程、サッカー部と、打ち込むことが多く、ほとんどキャンパスにいました。
02 これからの夢はありますか?
スポーツエンターテインメントの業界で、存在感を示せる人材になりたいと思います。
卒業生紹介
小泉里紅(旧姓:安西)さん 2013年度 身体環境共生学科卒業(野中ゼミ)
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ゼミの指導教員だった野中先生に伺いました!
りくさんは、大学でのひとつの目標であった保健体育の教員免許を無事取得したものの、自分の人生のなかでは、それにとどまらない夢を持っていたようです。
「身体表現とパフォーマンス」「ムーブメント教育療法」といった授業もヒントとなり、卒業後は子どもたちの遊び(ダンス)の場をつくりたいと考え、4年生の後半の時期は、保育園などを回って「飛び込み営業」をしていたそうです。いくつかは「契約」にまで至ったそうで、りくさんのりくさんたる所以は、その行動力と、人とのつながりを見つけ出す力にあるように見えました。 -
地元では、ボランティアとして他の若者とイベントの企画を立ち上げ、MC的な役割も果たしていたところ、毎夏、主催者から参加を期待されるようになり、卒業直前になって、非常勤の公務員として企画をつづけてくれないかという依頼が舞い込んだそうです。決まっていた契約もあったので、その話は専従ではない非常勤職員として引き受け、その後、数年にわたって活躍したと聞いています。
こうしたりくさんですから、就職にとどまらない人生の生き方を考える人間科学科のキャリア論の授業に、「卒業生の今」としてゲストに来ていただいています。授業後に在学生たちが興味津々で質問してくれることもしばしばです。
今は、ご家庭をお持ちですが、ますます当初の夢はふくらむばかりで、個人的に子どもたちが遊べる場をつくろうとされています。今後も新しい出会いに飛び込み、「りくワールド」を発展させてくれることは間違いありません。
(人間科学科教員 野中浩一)
研究(卒業論文)テーマ例
- ・K-POPアイドルにおけるジェンダーの逸脱と攪乱
- ・女性アスリートの報道のされ方
- ・若者の人間関係とSNS
- ・絵本に描かれた愛情表現にみる母子関係の変容
- ・ディズニーの魔法:白人社会の内面化
- ・音楽からみた黒人差別
- ・ロボットは人間と共生できるか
- ・鶴見川流域の外来水生生物
- ・スポーツにおける体罰はなぜなくならないか
- ・スポーツコミッションが地域活性化に果たす役割
- ・アナキズム研究
取得できる免許・資格
- ・中学校教諭一種(保健体育)
- ・高等学校教諭一種(保健体育)
- ・社会教育主事(社会教育士) ※1
- ・図書館司書
- ・学校図書館司書教諭
- ・博物館学芸員
- ・社会福祉主事 ※2
- ・児童指導員 ※3
※1:社会教育主事課程を修了することにより「社会教育士(養成課程)」の称号を得ることができます。
※2:厚生労働大臣が指定する科目のうち3つ以上を履修して卒業した場合に取得可能です。
※3:厚生労働大臣が定める要件を満たした場合に取得できます。
学科と関連する資格 ※4
- ・スポーツコーチングリーダー
- ・アシスタントマネジャー
- ・認定ムーブメント教育・療法 中級指導者
- ・キャンプインストラクター
※4:人間科学科の所定の専門科目を履修することで取得可能です(スポーツコーチングリーダーとアシスタントマネジャーは、受験資格を得られます)。
大学認定プログラム
- 和光大学独自のプログラムとして、3つのプログラムがあります。 地域・流域プログラム ジェンダー・スタディーズ・プログラム言語研修プログラム
人間科学科Q&A
- 人間科学科の特長を教えてください。
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ジェンダー格差の違和感、学校での部活動とは異なるスポーツの世界、災害で一変してしまう社会、人間中心で考えられている自然環境・・・。これらは別々の領域の出来事にみえて、現実にはつながっているように感じませんか。
みなさんの「どうなのかな?」という感性は、学びをつうじて「やっぱり、そうなんだ!」という発見に変わり、「でも、どうして?」という新たな疑問につながっていきます。
和光大学の人間科学科は、複数の学問領域を横断させながら、開かれた「人間観」を求める新たな探究へと、みなさんを導きます。
- 人とどう関わればよいのか、悩んでいます。人間を深く理解するためには、大学で心理学と社会学のどちらを学ぶのがよいでしょうか。
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人間を深く理解しようとする際に、主に「心の動き」に分析のフォーカスをあてるのが心理学であり、「社会の動き」に分析のフォーカスをあてるのが社会学です。現代の社会はどんどん複雑化しているため、その中でどう生きていけばよいのか、他者とどう関わればよいのかという難題に多くの人が直面しています。「社会の動き」が心の問題の原因であることもありますので、自分の悩みや苦しみの原因を探る上で、「社会の動き」にもぜひ着目してみてください。
- 体育・スポーツを専門とする大学・学部との違いは何ですか?
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人間科学科で保健体育の教員を目指す人には、体育に限らない幅広い教養を身につけてもらうようにしています。興味関心に応じて、他学科の科目を履修することも可能です。そうした学びを通じて、多様な生徒に向き合う必要がある学校現場で、的確に対応する力をつけることができるのが大きな特徴です。また、全国の小中学校で実際に授業を見学したり、現場の先生たちと交流する機会も設けており、実践力を養うことができるのも強みです。
- 社会学関連の科目を学びたいと思っているのですが、スポーツは苦手です。人間科学科では、スポーツの実技系科目も履修しないといけないのでしょうか?
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スポーツの実技系科目は必修ではありませんので、必ず履修しないといけないことはありません。トライしたいと思う科目があれば、履修してみてください。
- 人間科学科の卒業後には、どのような進路がありますか?
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就職先は、大企業から中小企業、地方公共団体(公務員)、NPO団体までさまざまです。 保健体育の教員免許を取得して、中学校・高校の教員になる人もいます。 スポーツに関わる仕事がしたいと、スポーツ施設やスポーツ用品店に就職する人、 スポーツ・プロモーターになって活躍している卒業生もいます。 また、一般的な就活のレールに乗らないでフリーランスとして働く人や、 それぞれのライフスタイルにそった道を選ぶ人もいます。 人間科学科では、各自が納得して進路を選ぶことが大切であると考えており、 多様な「生き方」(=キャリア)を尊重しています。