「生命系」「身体文化系」「社会学系」の
3つの領域から「人間とは何か?」を追究する

人間科学科授業紹介

人間科学科には、「生命系」「身体文化系」「社会学系」の3つの専門領域があり、スポーツ、健康、環境、福祉、ジェンダー/セクシュアリティ、労働、貧困、不平等と差別、グローバル化する社会とその課題などについて学ぶことができます。
このページでは、科目の一部をご紹介します。

入門科目

「社会学入門」

担当教員:挽地 康彦

大学生になって初めて学ぶ社会学。高校までの社会科の授業とは異なるので、まずはそのあたりから社会学独自の世界に足を踏み入れていきます。授業の中では、身近な出来事について考察するワーク(作業)を行いながら、社会学のモノの見方やそのおもしろさを紹介していきます。社会学的な視点を理解し、身近にある社会現象を批判的に読み解くための基礎的な力をつけることを目指します。


「スポーツ文化論入門」

担当教員:制野 俊弘

世界ではスポーツが文化として認知されて久しいですが、日本では「楽しむもの」ではあっても文化的に理解すべきものという解釈は薄いのが現実です。例えば、日本代表の試合が有料コンテンツのみの配信だとしても誰も文句は言いません。欧米では代表の試合は「公共財」と考えられているため、有料コンテンツによる独占は禁止されています。また、どこのスポーツ施設を利用するにしても、必ず利用料金が取られます。スポーツ施設を無料にしている国はたくさんあります。なぜこんな状況が生まれたのでしょうか…。こんな問題を通してスポーツを文化として捉える視点を提供します。


「野菜づくり入門」

担当教員:岩本 陽児

キャンパス内の「和光畑」で、化学農薬・化成肥料を使わない有機栽培で野菜を育てます。四季の変化を体感しながら、野菜づくりの実際を体験的に習得します。実践的な栽培知識に加え、植物の生理に関する基本事項を修得して、皆さんの人生を豊かにする基礎をつくります。


社会学系専門科目

「セクシュアリティをめぐる諸問題B」

担当教員:杉浦 郁子

社会には、「誰/何に対して恋愛的/性的に惹かれるのか(あるいは惹かれないのか)」「誰/何と親密な関係やコミュニケーションを取り結ぶのか(あるいは取り結ばないのか)」に関する望ましさの序列があります。ピラミッドの頂点には、シスジェンダーの男女が恋愛感情の共有を通して1対1の関係を結び、その関係のなかでのみ性交・生殖をする、というあり方が君臨しています。この望ましさの序列のなかで、どのようなあり方が排除されたり抹消されたりしているのでしょうか。「性別」「恋愛」「性愛」「親密性」「家族」などをめぐる望ましさの序列がどんなスティグマや差別を生みだしているのかを考察します。

「社会意識論」

担当教員:米田 幸弘

この授業では、「個人化」「保守化」といったキーワードを手がかりに「意識と社会」の関係を見ていきます。人々の意識(=価値観やものの見方・考え方)は、時代の影響を受けると同時に、新たな時代を作っていくという両面を持っています。社会格差や人間関係、世代間ギャップ、労働、政治、宗教など具体的なテーマに即して、私たちの生きる社会がどこから来て、どこに向かおうとしているのか考えてみましょう。

「質的調査法の基礎」

担当教員:打越 正行

講義では、人の生活をみて、人生をきくことの魅力と難しさについて話します。生活史インタビュー、フィールドワーク、参与観察といった質的調査法の手順を具体的に伝えるだけではなく、それぞれのすぐれた成果を紹介します。暴走族やヤンキーの若者、キャバクラ嬢、ホームレスの人びとの隣で考えることを通じて、受講生の皆さんのものの見方や価値観を考え直す機会としてください。最終レポートでは、実際に生活史インタビューを実施してもらいます。

「スポーツマーケティング論」

担当教員:原田 尚幸

世界的なスポーツイベントから地域スポーツにいたるまで、スポーツビジネスにおけるさまざまな事例に着目して、マーケティングの視点から解説を加えます。実際にスポーツビジネスの現場で収集した画像や動画を多く用いてわかりやすく解説するのがこの講義の特長です。

「群島論」

担当教員:今福 龍太

説明的な講義から離れて、みなさんとともに航海をしましょう。文字通り、七つの海を渡る壮大な旅です。航海に使うのは、西欧諸国が植民地主義を拡大するために駆使した巨大な移民船やフリゲート艦のような船ではなく、素朴で俊敏な「知の小舟」です。カリブ海の漁師やオセアニアの遠洋航海者たちが使ったような…。現代の世界を構成している「島々」を一つ一つ渡りながら、そこに隠された歴史と、音楽と、詩と、語り部の物語を再発見したとき、「世界」がまったく新しい姿をもった可能性と運動に満ちた実体として見えてくるでしょう。そしていまの世界に生きることの新たな悦びも。

「地域流域社会論」

担当教員:堂前 雅史

近年、豪雨報道などで流域治水という語を聞いたことがあるかと思います。流域とは自然地形で大地を区切るもので、自然環境と人間社会を統合的に考える視点を提供してくれます。具体的には、大学の地元地域の社会と自然環境についてフィールドワークと地域の方の講義などを経て体験的に学び、それを元に学生でチームを組んで研究発表するという構成で、学生の自主的学びを中心とした授業です。

「現代社会とNGO・NPO」

担当教員:小野 奈々

現代社会におけるNPO・NGOの社会的な役割や事業の成り立ち方について理解を深め、こうした非営利組織の活動に関心を培うことを目指す科目です。社会変革のために事業を立ち上げてきた人たち(チェンジメーカー)の思いに触れたり、いくつかの有名な活動事例とその背景にある社会問題を学びながら、NPO・NGOの現代社会における役割や事業の成り立ちについての理解を深めます。

「都市の社会史」

担当教員:中田 崇

都市の再開発によって抹消された歴史を検証し、その場所にいた過去の人々の生の営みを考えます。歴史の教科書に出てこない、社会の負の側面を取り上げ、忘れられた人々に光をあてることを試みます。

「現代ヨーロッパ社会論A」

担当教員:中力 えり

「壮大な実験」と言われるEU。その構想がどのような歴史のなかで生まれ、実際の統合はどのように進められたのか、また人々の暮らしにどのような変化をもたらしたのかを取り上げていきます。冷戦の終結とドイツの再統一がNATOの東方拡大問題とどのように関係しているのか等もみていき、世界で起きている出来事への関心や理解を深めていくとともに、自分たちが暮らす社会のあり方について考えていきます。

身体文化系専門科目

「スポーツ方法学実習(ストレッチング&ダンス)」

担当教員:大橋 さつき

この授業では、中学高等学校で保健体育の「ダンス」を指導するにあたって必要な知識を身につけることを目標としています。ストレッチングやダンスムーブメントの基礎を体験し、実際に自らが心身を解き放してリズムやイメージの世界に没入する喜びと解放感、他者と共に創り表現する面白さを体感しながら、指導者として必要な実践力を養い、指導方法を身につけます。また、グループワークや課題を通して、指導者としての表現力や責任感を身につけていきます。

「スポーツトレーニング論」

担当教員:矢田 秀昭

スポーツトレーニングに関連する生理学・解剖学の理解とともに、トレーニングの原理・原則とトレーニング効果に関する科学的な理論について学習します。最大筋力や全身持久力の向上を目的としたトレーニングを中心に、基本的なトレーニング方法について学びます。

「キャンプマネジメント論」

担当教員:原田 尚幸

自然体験活動は、子ども達の豊かな人間性や自ら学び自ら考えるといった生きる力を育む場として期待されています。この授業では、組織キャンプの指導者という観点から、安心・安全な自然体験活動を実践するために必要な基礎理論と技術の習得を目指します。
単位修得者は、(公財)日本キャンプ協会認定のキャンプインストラクター資格を取得することができます。

生命系専門科目

「現代社会と心身問題A・B」

担当教員:制野 俊弘

現代社会が抱える社会病理的な問題について学びます。例えば、社会分野では「過労死・過労自死」「働き方」「虐待」の問題、教育分野では「いじめ自殺」「不登校・ひきこもり」問題などをテーマに、最新のデータや対策について考えます。また、東日本大震災の経験をもとに「命(いのち)」というテーマを設定し、日本における「命(いのち)」がどのように扱われているか、また児童生徒たちが「命(いのち)」についてどう考えているのかを具体例を通して考えます。

「生命倫理学」

担当教員:堂前 雅史

現代社会では、先端医療技術の発達と過剰な情報によって、私たちの身体観、生命観に大きな変動をもたらしています。この授業では、そうした医療技術の概略と実態を把握して、そうした変動が私たちの社会に与えうる影響について冷静に考察する姿勢を身につけることを目指します。あわせて、日常生活の中で自らの身体を捉え直し、現代社会の生活者として誕生、病気、障害、老い、死と向き合って自律的に考察することを目的としています。

「生命論」

担当教員:上野 俊哉

生命を複数の視点から横断的に考察します。生物学、環境論、認知科学で考えられる「生命」と、哲学や社会理論でとらえられる「生命」はどのように交差し、どのように異なるのでしょうか? 「免疫」や「オートポイエシス」といった事例から考えます。また「生命」lifeは「生活」であり、「いのち」でもあります。一つの専門領域だけで考えるのでは見えてこない多面的な「生」について研究します。近年の多くのマンガやアニメにおける、「人間でないもの」(非人間的なもの)どうしの共生、あるいはそれらと人間との共生の描かれ方を分析します。

「生涯保健学基礎」

担当教員:野中 浩一

「平均寿命」とか「合計特殊出生率」とか、ニュース記事などでもよく目にする保健にかかわる用語。それがどのように計算されるのか、案外知らないものです。この講義では、そうした指標を、表計算ソフトを使って計算できるようになるべく演習していきます。保健に関する知識をしっかり理解するとともに、表計算ソフトのスキルも高めよう、という、二度おいしい授業を目指しています。

学生自主企画ゼミナール

テーマ:「自由」とは何か(2022年度開講)

阿部 克海さん 2年 (埼玉県・自由の森学園高等学校 卒)
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 学生が自分たちの学びを自分たちで企画して、教員の審議で認められれば、学生が主体となって授業を展開し、それが卒業のための単位にもなる「学生自主企画ゼミナール」。
 「新鮮じゃなかった?」という指導教員の野中先生の問いに、「高校でも似たようなことをやってきたし、あんまり違和感はなかったです」と応じる企画運営者の一人である阿部さん。 学生自主企画ゼミナールでは、学生が作った授業だからこその視点が大切にされているといいます。学生の視点から、「自由」とは何かについて、学生同士で深めていけるので、「授業を作る側としても、授業に参加する側としても、講義に参加しやすい環境があることを実感しています」との感想を寄せてくれました。
 そもそも阿部さんは、和光大学周辺の自然環境と自由な学風に親和性を感じ、「講義バイキング」と称される履修の自由に魅力を感じて入学したひとり。思った通りのイメージで満足だけれども、あえて言えば、学校で課題をこなそうというときに、自由に使えるエリアがもっと欲しいそうです。
 カバディという比較的マイナーなスポーツもずっとやってきた阿部さん。究極の遊戯性を持ちながら究極の心理戦も同時に行わないといけないというゲーム性が魅力で、仲間との信頼関係は並大抵のものでないとか。今は学外の仲間とチームを作って楽しんでいるけれども、この奥深い競技の魅力を広めるために、学内にサークルをつくりたいという思いも。また、新たな学生自主企画ゼミを夢想したりと、自由の羽根を羽ばたかせている雰囲気が伝わってきます。