お知らせ
総合文化学科・遠藤朋之先生から近況報告がありました
2021年8月6日(金)
ここ2年ほど、ひたすら打ち込んできた仕事が、詩人、城戸朱理さんの詩の英訳である(城戸さんの奥様は、旧文学科の卒業生で、小関和弘プロゼミ、山本和平ゼミ出身の写真家、小野田桂子さんだ)。
城戸朱理といえば、90年代から現在まで、日本の現代詩を牽引する存在として、つとに有名である。
第一詩集の『召喚』から数えて9冊の詩集を精読、さらに2冊の詩論集を精緻に読み込み、そこで城戸さんと相談、結果、18篇の詩篇を英訳することとなった。
あの、稠密な、一言たりともゆるがせにできない城戸詩、どうやって英語に移しかえたらいいのか、ほんとうに連日連夜、城戸さんのことばと格闘した記憶がある。
そこで、共訳者としてこちらがお願いしたのが、フォレスト・ガンダー。
エンドウはすでにフォレストとは、白石かず子さんの第3英訳詩集、_My Floating Mother, City_ で、長篇詩を3篇、共訳している。
フォレストなら信頼できる、そんな思いから頼んでみたのだ。
ちなみにフォレストは、総合文化学科の「作詩に挑む」をご担当の野村喜和夫先生の英訳詩集も手がけている。
そのフォレスト、なんと、2019年のピュリッツァー賞受賞詩人となった!
そんな共訳者を得て、ツラくも楽しい翻訳、そしてフォレストとの城戸詩訳に関してのやり取りが、1年半ほども続いた。
そして、その成果が出つつある。まずは、Action Books。 その名前からもわかるように、極めてポリティカル(政治的)な出版社。城戸詩の背後にある、ポリティカルな要素をくみ取っての掲載だろう、とエンドウは考えている。
"The Dry Season" by Shuri Kido and Translators Tomoyuki Endo & Forrest Gander | Action Books
つづけて、_Harvard Review_ にも掲載された。これは、ハーヴァード大学の文芸誌である。 "Other highlights of the issue include three marvelous poems by the Japanese poet Shuri Kido, beautifully translated by Forrest Gander and Tomoyuki Endo" とある(上記は紙媒体でしか読めない部分)。
目次だけしか提示できないが、そこででも "Kido Shuri"、 "Forrest Gander" 、そして "Tomoyuki Endo" という名前は確認できるだろう。 "Contributors" の欄では、エンドウが和光大学の教員であり、エズラ・パウンド、 T. S. エリオット、西脇順三郎、北園克衛、そしてボブ・マーリーなどの授業を展開していることも書いておいた。
Harvard Review 57 - Harvard Review
さらに、現時点では出版元を明らかにすることはできないが、とあるアメリカの出版社から、1冊の詩集として出版の依頼があり、現在は、そのやり取りに追われている状況である。
それが本決まりになれば、さらに報告することがあるだろう。
とりあえずの報告である。そして、次報を楽しみにしていただきたい。
総合文化学科教員 遠藤朋之