「哲学する生活者」としての教師養成

教職課程に係る情報

和光大学では、教育職員免許法施行規則第22条の6に基づき教職課程に係る情報を公表いたします。

教職課程自己点検・自己評価報告書

(1)教員の養成の目標及び当該目標を達成するための計画

和光大学教職課程の理念・特色

 和光学園は大正自由教育運動の精神を継承する和光学園小学校を母体として1933年に設立され、現在では幼稚園2園、小学校2校、中学校、高等学校、大学、大学院を擁する総合学園である。

 和光大学は民間教育研究会であるコア・カリキュラム連盟(現日本生活教育連盟)の梅根悟を初代学長に迎え、1966年に設立された。梅根は、この新しい大学のビジョンを「自由で創造的で、単なる目先の実利実用への直接の功利性にのみ局蹐しない基礎的な研究が、活発に共同して行われている場」であると語っている。

 その教育方針は【少人数教育】、【総合的知性・教養の涵養】、【総合性と専門性の統一】、【自由な研究と創造の場】を柱として、開学以来堅持している。

 和光大学の教育が目指す人間像は「哲学する生活者」という言葉に表されている。これは、自らを取り巻く状況を自らの力で問い直し、現実の生活をより望ましい姿に変えていこうとする理念的な人間像である。

 そして、和光大学の教職課程が目指す教師像とは、専門的職業人としての知見を自らのものとしつつ、よりよく生きるための深い教養と豊かな人間性、自由な精神を備え、総合的な人間観と教育観の上に、現実の子どもの人格や生き方にひきつけて、教育活動そのものを自らの責任においてつくりかえていくことができる教育主体としての教師である。

 教師は「魂の技師」と形容される。ただし、和光大学では単に技術のみに長けたエンジニアを養成することを目的とはしていない。教育の対象は可塑性に富んだ人間である。その「魂」に手を入れることができる教師を育成するために【総合的知性・教養の涵養】、【総合性と専門性の統一】こそ必要と考えており、そのために多種多様な授業科目と履修システムが準備され、学生の主体的な学修と研究の自由を最大限尊重している。

 他方で、学生にとって教育という営為は、学問的関心より実践的関心が先にあり、そこから理論的探究に展開するものであることから、常に眼前の諸問題に対してどうしたらよりよい教育実践が可能となるのか、思索を深めさせることを重視している。

 また、教職課程に限らず全学的に少人数の集団における教員と学生、学生同士の人間的な交流を基に、狭い専門にとらわれない「現実世界・生活に根ざした総合的知性の育成」が図られている。これは、単に多様な分野を広く教える・学ぶことだけを指しているのではない。学生自身の諸問題(とりわけ自らが問題的場面に置かれていながら、その問題性を自覚することなしに過ごしているような問題)を問題として認識し、議論や体験によってそれを深め、解決の方途を探求し、反省的に思考できる人間の形成を目指している。

 

 教職課程の特徴的な実践としては、和光学園の諸学校との連携教育の理想的なあり方を追求している。

 和光学園は,日本生活教育連盟を中心とした民間教育研究運動の実験校として、現在にいたるまで独自の教育理念とカリキュラムを形成してきた。その最大の特徴は生活教育子どもの生活現実や体験から出発し,現実世界に存在する問題や自然・社会の現象を諸科学の世界に結びつけ、置き換えて、その原理・法則を解き明かし、自らの手で現実の生活をより豊かにする力を育てる教育)を最重要視していることである。とりわけ教材研究の蓄積が厚く、総合学習や平和教育、共同教育等多岐にわたって先進的な取り組みを行っている。

 連携の具体例として、学校インターンシップを授業として位置づけ、1年次から和光幼稚園・小学校の諸行事の支援活動に参画し、和光教育の理念と実践を学ぶ機会を設けている。このインターンシップを体験した学生たちは、教師教育の入り口に立ち、和光教育のあり方に大きな刺激を受け、自らの理想とする教師像を構築する基礎を得ている。

 同様に中高課程においては、和光中学・高等学校の授業を見学し、教育実習への心構えを学ぶ事前指導は半世紀以上続く取り組みである。

 このように、和光学園の諸学校との緊密な連携を通して、実践的な経験を積みながら教員養成を行うことは、本学の大きな特徴となっている。

 和光大学ではこれらの教育活動を通して、総合的知性・教養を備えつつ、専門性を高めた「哲学する生活者」としての教師を養成していると自負している。

 

(2)教員の養成に係る組織及び教員の数、各教員が有する学位及び業績並びに各教員が担当する授業科目

教員の養成に係る組織

資格課程会議

 教学支援ディレクターがほぼ毎月一回招集し、資格課程代表が司会と報告、意見のとりまとめを行う。委員は教職課程の各分野を担う教員、および諸資格課程を担う教員たちから選出され、学部学科から独立した全学的組織として運営されている。審議事項は議事録に記載し、教授会に報告して、必要な場合は審議する。

  • 資格課程会議において、本学資格課程のカリキュラム立案を審議し実施している。各課程履修希望者対象のガイダンスを開催し、各課程・教科の委員が履修指導を行う。
  • 資格課程会議において、各種実習における受講資格の確認、実習先の確保状況の把握、実習中の状況について、各課程・教科の委員より報告を受ける。対応内容を審議する。
  • 資格課程会議において、各課程資格取得の合否を付す判定作業を行う。

資格課程サポートセンター

 本学が創立以来養成してきた教職、図書館司書、博物館学芸員、社会教育主事の諸課程に関する学修支援を行っており、学校教育だけでなく、生涯学習・社会教育の視座も包含した学修が展開される場となっている。

 教師養成においては、公立学校の現場や教育行政に精通した実務経験者を教職アドバイザーとして招聘し、学校ボランティアの相談、教材研究の方法、模擬授業や場面指導等の教育実践全般をはじめとして、教員採用試験対策、教育公務員としての使命や服務にいたるまで、現場的・実践的な指導を重んじて行っている。さらに、採用予定者に対しては新任教師としての疑問や不安に応え、円滑な教師生活への適応を支援するための直前講座や卒後教育を行っており、学生が教師としても引き続き学び続けることができるよう、そのキャリア全体を見据えた支援が特長である。

教員の養成に係る教員の数

次のページをご参照ください。

教員の養成に係る各教員が有する学位及び業績

次のページをご参照ください。

教員の養成に係る各教員が担当する授業科目

「資格課程の手びき」の各校種・教科のページをご参照ください。

(3)教員の養成に係る授業科目、授業科目ごとの授業の方法及び内容並びに年間の授業計画

教員の養成に係る授業科目

「資格課程の手びき」の各校種・教科のページをご参照ください。

教員の養成に係る授業科目ごとの授業の方法

和光ポータルをご参照ください。(※「シラバスの閲覧」からご覧いただけます)

(4)卒業者の教員免許状の取得の状況

(5)卒業者の教員への就職の状況

(6)教員の養成に係る教育の質の向上に係る取り組み

FD・SDへの取り組み

 学生からの授業評価アンケートをとって、インターネット上で公開している。教職関連の授業のアンケート結果は教学支援ディレクターがすべて確認し、問題があった場合は指導を行っている。

 また、教職課程の自己点検・評価を行っており、ここで明らかになった長所・特色についてはさらに活かし、課題については計画的に改善することで教員の養成に係る教育の質の向上に努めている。

 なお、和光大学には、教員同士が授業を見せ合う取り組みがあり、授業見学を定期的に実施している他、事務職員も教職課程に関わる研究集会に積極的に参加するなど教職協働の実現に向けて取り組んでいる。

近隣自治体等との協力体制

 地域の公立小学校などと国際理解教育や不登校児支援などの連携を行っている。また、横浜市教育委員会との協定を結び、連携・協働した相互交流を始めている。

(参考)横浜市教育委員会

「教師」という職業に関心がある高校生・大学生の皆様へ

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/kyoiku/plankoho/kyouikukoho/Interest-teacher.html

「先生になりたい」~高校生の教師体験記~(Youtube動画)

https://youtu.be/nA-1QKEymqo

学校ボランティア、インターンシップ

 幼稚園および小学校課程では学校インターンシップを選択必修授業として位置づけ、1年次から学校や特別支援学級でのインターンシップを行っている。特に和光学園の諸学校の諸行事に参画し、和光教育の理念と実践を学ぶことができる経験は、他大学にはない本学の大きな特徴である。

 学校支援ボランティアとしては、本学の近隣自治体である町田市、神奈川県、横浜市を中心に公立学校の現場での活動を行っている者が多い。

 これらの体験を経た学生たちは、教育実践のあり方に大きな刺激を受け、自らの理想とする教師像を構築する基礎を得ている。

教育実習校の開拓

 学生が個々で開拓を希望する際には、電話のかけ方といった礼儀作法から資格課程サポートセンターや各教科教育法担当教員が指導している。幼稚園課程では学生に実習希望先をリストアップさせ、保育実習センターから電話で依頼している。

教育実習時の指導体制

 教育実習事前・事後指導担当教員から、実習に行く1週間程度前に実習校・指導担当教員に連絡を入れている。可能な限り、巡回の際に反省会に同席し、指導を行うようにしている。巡回日以外も電話・メールなどを用いて逐次学生のケアを実施している。

教職実践演習での取り組み

【幼稚園】

 課程の全教員によるテーマ別授業や実習の振り返りを中心とした双方向的授業を行っている。また、保育職に就いている卒業生をゲスト講師として招聘し、将来の進路について考える機会を設けている。

【小学校】

 課程の全教員によるテーマ別授業や、実習の振り返りを中心とした双方向的授業を行っている。また、現職教員をゲスト講師として招聘し、学校現場が直面している課題について理解を深めている。

【中高】

 教育実習の振り返りをしながら「教師としての使命感」などについて考えることにしている。また、各教科の優秀な学生の模擬授業を実施するときには、各教科教育法の担当教員も同席し、協力しながら指導を行っている。後半は、保護者対応、発達障がいなどのテーマ別授業をゲスト講師と一緒に行っている。また、現職の高校の校長先生を招き、講話を聞く授業も行っている。

履修カルテの教職実践演習での活用

 LMSによる電子履修カルテを導入している。各課程において担当教員が教職課程の履修計画の実行状況を確認し、必要に応じて振り返りや助言を行う。