お知らせ
(5/13) 公開シンポジウム「<ヘトロピア群島・沖縄>の精神史――川満信一から仲里効へ」を開催します
2023年4月28日
2023年5月13日(土)に人間科学科主催の公開シンポジウム「<ヘトロピア群島・沖縄>の精神史――川満信一から仲里効へ」を開催します。
みなさま是非お越しください。
(★詳細はこちらのチラシでもご確認いただけます。上の画像をクリックすると大きくご覧いただけます。)
「沖縄」という場を、「日本」という国家原理に自立的に対峙し、それを相対化し批判する拠点として、より重層的で強靭な「思想の群島」に向けて開くことはできないだろうか。 沖縄の歴史と伝統に根ざした固有性をただ「日本」に突きつけるのではなく、沖縄にも日本にも内蔵されたさまざまな偏差や異場をヘテロトピア(混在郷)として認知し、そこから「沖縄」と「日本」をめぐる未来の、より靭性(tenacity)のあるヴィジョンが生み出せないだろうか。
古琉球の放浪のウタビトの系譜に連なる即興詩人・川満信一は「琉球共和社会憲法私(試)案」(1981)の起草以後、この困難な思想的課題を独特の機知と諧謔精神によって深化させ、「復帰」50年の昨年、驚くべき透徹したユートピアニズムの決意とともに、沖縄の経験に立って憲法九条の精神にあらたな生命を吹き込もうとする画期的な一文「絶対不戦の思想」(川満信一編『復帰五〇年の記憶』藤原書店、2022所収)を発表した。一方、沖縄現代思想の良心にして挑発者・仲里効の最新著『沖縄戦後世代の精神史』(未来社、2022)は、「復帰」という名の併合にたいする闘争を半世紀にわたって生きてきた沖縄<戦後世代>による唯一無二の証言を含む、稀有な沖縄精神史の叙事的語りの試みである。
昨年生まれた二つの成果を共有し響き合わせながら、沖縄からヤポネシア全域、さらに台湾も含む<ヘテロトピアの群島>を、私たちの生きる困難な「現在」を突破する可能性の源泉として提示してみたい。
※事前予約不要です。直接会場へお越しください。
日時
2023年5月13日(土)14:00~17:00(13:00開場)
会場
和光大学J301教室
・大学までのアクセスはこちら
・スクールバス時刻表はこちら
当日進行
イントロダクション 今福龍太「ヘテロトピアの群島・沖縄」
発題「川満信一<絶対不戦の思想>をめぐって」(今福龍太による変奏)
基調講演 仲里効「沖縄<戦後>世代の精神史」
(休憩)
コメント 羅皓名「台湾から、対位法的に」
総括ディスカッション 司会:上野俊哉
SPEAKERS
川満信一(かわみつしんいち)
詩人・思想家。1932年、宮古島生まれ。
1952年、琉球大学国文学科在学中に「琉大文学」を創刊。1956年から『沖縄タイムス』記者となり「新沖縄文学」編集長を歴任。1970年代以降、「反復帰」の指導的な論客の一人として沖縄の自立をめぐる状況論的な批評を沖縄や日本のメディアに精力的に発表する。
著書に『沖縄・根からの問い』(泰流社、1978)『沖縄・自立と共生の思想』(海風社、1987)、詩集に『川満信一詩集』(オリジナル企画、1977)『かぞえてはいけない 川満信一抒情詩篇』(Gato Azul、2013)など。今福龍太との共著に掛け合い詩集『韵hibiki!(Gato Azul、2020)がある。[健康上の理由により本シンポジウムへの参加が適わないため、今福龍太によりその思想が媒介・変奏される]
仲里効(なかざと いさお)
批評家。1947年、南大東島生まれ。
「EDGE」「越境広場」など沖縄における思想誌の創刊に関わり、それらを拠点に沖縄内外のメディアにおいて旺盛な批評活動を展開する。著書に『オキナワ、イメージの縁(エッジ)』『悲しき亜言語帯』『フォトネシア』『眼は巡歴する』『遊撃とボーダー』(すべて未来社刊)など多数。
川満信一との編著に『琉球共和社会憲法の潜勢力』(未来社、2014)がある。写真・映像関係の著作や監修も多く、2003年には山形国際ドキュメンタリー映画祭沖縄特集「琉球電影烈伝」のコーディネーターをつとめた。
羅皓名(ラ ハオミン)
思想・文化史研究者。
台湾中央研究院歴史言語研究所博士後研究学者。専門は日本の戦後思想、社会文化史、音楽文化研究。論文に「谷川雁の反定型音馨一「工作者」のダイナミズムについて―」(博論、2020)等。
今福龍太(いまふく りゅうた)
文化人類学者・批評家。和光大学教授。奄美自由大学主宰。
上野俊哉(うえの としや)
社会思想史・批評家。和光大学教授。
お問い合わせ先
本シンポジウム実施担当
E-mail:VYC04344@nifty.com