WAKO ACTION

学校現場で知った、子どもとの関係づくり。

学校現場で知った、子どもとの関係づくり。

ACTION 5 学校支援ボランティア

山田 剛史さん

現代人間学部 心理教育学科 子ども教育専修 2年(神奈川県・桐蔭学園高等学校卒)

子どもたちは今、どんな教育を受けているのか?

2022年5月から、横浜市の公立小学校で学校支援ボランティアとして特別支援学級のサポートをしています。担任の先生方と協力して個別指導や授業準備、校外学習の引率、休み時間に児童と一緒に遊ぶことなどが主な活動内容です。学校支援ボランティアに参加した目的は実際の教育現場で子どもがどのような教育を受けているかを知り、大学の授業で学んでいることと比較しながら、教員としての視座や考え方を養うことです。また、活動の経験を生かして、よりよい授業づくりについて考えたり、学級経営のあり方について考え、自分の描く理想の教師像を構築するための材料にしたいとも考えました。

子どもたちは今、どんな教育を受けているのか

得意の音楽が子どもの心を開いてくれた。

子どもたちと関わるうえでは信頼関係をつくることが大切なのですが、私が話しかけても最初の1、2か月はうまくコミュニケーションをとることができず、考える日々を送りました。どうしたら良い信頼関係を築くことができるのか思い悩み、たどり着いたのは音楽でした。私は幼少期からエレクトーンを習い、音楽に慣れ親しんできたので、知っている曲であればだいたい弾くことができます。子どもたちのリクエストに応えて、アニメの主題歌などを弾いてみると、子どもたちが音に引き寄せられるように興味を持ってくれたのです。障がいがあるかないかに関わらず、音楽は子どもたちの心に響いていく。耳の聞こえない子どもも、周りが音楽に乗って歌ったりしているとそれを察知し、楽しさを感じられるようでした。そして、音楽がきっかけになって子どもたちとの距離が縮まり、会話をしたり、遊んだりすることが自然にできるようになりました。子どもたちに「これを弾いてほしい!」「すごい!」などと言ってもらえると、こちらもうれしいし、次は何を弾こうかとモチベーションアップにつながります。音楽の力をあらためて認識しました。

得意の音楽が子どもの心を開いてくれた

めざすのは、一人ひとりの個性を受けとめられる先生。

ボランティアに参加したことによって、発見できたことはたくさんあります。例えば、先生同士の連携の大切さ。特別支援学級は複数のクラスがあります。担任の先生方は子どもたち一人ひとりの状況や様子について毎日こまやかな情報共有をし、授業中の子どもたちの変化に対応できるようにしていました。また、教員には柔軟性が必要であることを知ったのも発見でした。ある先生が「飛び出すカード(教室を飛び出すとしたら、何時までに、どこへ、誰と行くのかを書く)」を作ってきた際はとても驚きました。子どもは思いがけない行動を起こすものですが、そういう時でも上から押さえつけるような指導をするのではなく、カードというアイデアを使って教員と児童の間でルールを決め、守れるように促すというのは私には到底ない発想でした。

ボランティアで経験したことは、大学の学びにフィードバックしています。ボランティアで得た気づきから、模擬授業の指導案を考える時も、「学校インターンシップ」で和光小学校の学習旅行に同行する時も、子どもの学びへの姿勢を常に考えるようになりました。大学とボランティアで身につけたことを生かし、一人ひとりの個性を理解し、受け止められる先生になれるように努力を続けたいと思います。