社会と学問をつなぐ視点

学びの中で生まれたチームを支える役割への情熱。

学びの中で生まれた、チームを支える役割への情熱。

齊藤あさひさん

表現学部 芸術学科 3年
(第一学院高等学校卒)

本の興味から、編集のまなざしへ。

私は本を読むことが好きで、子どもの頃からいろいろな作品に触れてきました。今、私が学んでいる編集に興味を持つきっかけになったのも一冊の本でした。高校生の時に読んだ、沢木耕太郎の「一瞬の夏」。ボクサーが主人公のドキュメンタリーです。ボクシングにはまるで興味がなかった私でしたが、映像を見ているかのようにどんどん読み進められるのです。それが驚きでした。もっと沢木耕太郎の文章が読みたくて、彼が連載する雑誌を手に取るように。その雑誌は一冊の中に文学やアート、写真、イラストなどさまざまなコンテンツが凝縮されていて、一つの宇宙を思わせるような、未知の世界に引き込まれるような魅力がありました。どうやったらこんな風にまとめることができるのだろう。そんな疑問や高揚が編集への興味の芽生えだったと思います。

齊藤あさひさん

「視る(みる)」ことの大切さと難しさ。

和光大学に入学後は、まず自分の視野を広げようと考えました。写真、美術、メディア、デザイン、心理学。そして、3年次からは編集に関わる科目を貪るように履修しました。ゼミは「同時代の芸術」がテーマである、半田滋男先生のゼミに所属。このゼミは「視る」ということを大切にしています。美術館やギャラリーに足を運び、現代芸術のさまざまな作品を視る。鑑賞者、制作者、キュレーターなど、立場を変えながら視る。これが簡単なようで、なかなか難しい。さらに、その展示から自分が感じたことや考えたことを批評文にまとめます。視るというインプット、書くというアウトプット。これは編集やディレクションに求められる力です。どちらの力も、ゼミを通じて自ずと鍛えられたように思います。

また、ゼミ活動の一つとして、芸術学科のアートイベント「サトヤマアートサンポ」に携わりました。イベント運営に取り組む中で、制作者をサポートすることにやりがいを感じることに気づきました。私にとってこれは大きな発見でした。

齊藤あさひさん

人を支えることに、一生懸命になれる。

もう一つ、力を入れている授業が共通教養科目の「地域デザイン」です。2年次から毎年履修してきたこの授業は、農業の6次産業化を実践することがテーマ。畑で作物を育てることから始め、地域の企業と連携した商品を開発し、「和光大学かわさきブランド」として販売するところまで取り組みます。私はデザインチームの一員として、商品パッケージやPOPのデザインリニューアルの管理に携わっています。メンバーとともに消費者に見やすいデザインか、ブランドとしての統一感があるかをチェックしつつ、デザインを手がけるメンバーをサポートするのが私の主な役割です。この授業を通じて、共同作業やチームで動くことに、だんだんと自信が持てるようになった気がします。

この3年間、ゼミや授業で学ぶうちに見えてきたのは、私は人のサポートに一生懸命になれるということ。自分自身が気づいていなかった特性を発見できたのです。この気づき、思いをこの先の人生に生かしていきたいと考えています。