人生は、自分だけの絵を描くということ。
水彩画家・YouTuber 柴崎 春通 さん
人文学部(現 表現学部) 芸術学科 1971年卒
profile
1947年千葉県生まれ。2001年文化庁派遣在外研究員としてアメリカに留学し、The Art Students League of New York などで水彩の研究を行う。チャールズ・リードと親交を結ぶ。日本美術家連盟会員。元 Salmagundi Art Club 会員(米国)。元講談社フェーマススクールズ絵画科講師。
自分が好きなことだけしかやらない。
私が入学した頃の和光大学は、まだ開学まもない時期。自由の気風にあふれていました。誰かに「こうやれ」と言われるのが大嫌いな私にはうってつけの場所でした。また、私は徒党を組むことを好まなかったのですが、居心地の悪さはまったくありませんでした。とにかく自分が好きなことしかやらない。絵を描くことだけがしたい。好きなことをしていれば、モチベーションが上がります。続けているとまた新たに好きなことが見つかる。自然と仲間にも出会えるものです。そういう自分の生き方に自信を持てた背景には、自由な意思を尊重する和光大学で過ごした学生生活があると思います。
出会いを大切にすることが、力になる。
好きなことばかりしている私でしたが、人との出会いがいつも力になってくれました。特に、和光大学の先生方の存在は大きなものでした。はつらつとしていて、人間味にあふれた先生。私がドロップアウトしそうだった時期、先生が下宿に訪ねて来てくれて、本音をぶつけあったこともありました。就職先も先生の紹介でした。私はそこで絵の指導をして生計を立てつつ、今日の活動の原点である水彩画を描き始めました。油絵ではなく水彩画を選択したのは、画壇へのアンチテーゼの気持ちからでもあり、また誰かを真似ることなく、自分の可能性を切り拓いていこうと思ったからです。仕事も人の何倍もやりました。働いて貯めたお金でバックパッカーのように各国を旅して、たくさんの出会い、たくさんの体験を得ることができました。
50代でニューヨークに留学をしました。この時に出会った方のご縁が、マンハッタンにあるプラザホテルで個展を開催することにつながっていきました。人生は出会いがすべて。いや、出会いを大切にすることがすべてかもしれません。
人生は、自分だけの絵を描くということ。
70歳を超えてから、YouTubeで水彩画講座の配信をスタートしました。現在チャンネル登録数は150万人を超え、日本だけでなく、海外からも大きな反響をいただいています。
いくつになっても、新しいことに挑戦するのは心躍るものです。これを読んでいる若者のみなさんは、進路の選択を迫られているところかもしれません。絵を描くことも同じく、いつも選択を迫られます。どんな作家でも、何十年描いていても、キャンバスを前にすれば悩みます。サハラ砂漠の入り口に立っているようなものです。茫漠たる大地をどう進むか、自分で方向を決める。それもすぐに決めることが肝心です。今決めても1か月後に決めても結果はさほど変わりません。失敗しても自分の決断なら納得できるものです。人生は自分だけの絵を描くということ。不安があっても、自分で決めて、自分の足で歩みを進めてほしいと思います。
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柴崎さんへ5つの質問
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01YouTubeを始めた理由は?
息子の勧めです。また、海外で個展を開くのは大変ですが、YouTubeなら海外の人にも簡単に見てもらえるので。
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02大学でやって良かったことは?
絵はもちろん、アルバイトや恋愛と、いろいろな人生経験ができたことです。
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03逆に、大学でやっておけば良かったことは?
何もないですね。絵を描く以外にやりたいことはなかったです。
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04和光大学での忘れられない思い出は?
人間とはどうあるべきかを考えさせられた、学科の先生方との日々の会話。
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05和光大学の魅力は?
クリエイティブな発想が生まれる自由があること。