お知らせ
経済学科・坪井美都紀先生が第18回「小島清賞優秀論文賞」を受賞しました
2023年10月25日
日本国際経済学会は、学会機関誌に掲載された論文のうち、特に優れた論文の著者に対して「小島清賞優秀論文賞」を授与しており、経済学科の坪井美都紀先生が第18回(2023年度)「小島清賞優秀論文賞」を受賞しました。
・受賞論文
Trade Liberalization, an Employment Double-Dividend Hypothesis, and Welfare with Heterogeneous Firms
Hiroyuki Nishiyama, Sayaka Takada, Mizuki Tsuboi
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internationaleconomy/25/0/25_ie2022.25.02.hn/_article
この論文では、貿易自由化が雇用の二重配当(雇用創出と環境の質の改善)をもたらすか、またそれは同時に社会厚生を改善するか、という問いに答えるために、企業の異質性とサーチ摩擦、そして排出税を組み込んだ国際貿易モデルを展開しています。
まず理論分析の結果、貿易自由化は雇用の二重配当をもたらさない一方、環境保全投資はそれをもたらす可能性があることが分かりました。また、前者は環境規制の強い国では社会厚生を改善するものの、それが弱い国では社会厚生を悪化させること、そして後者は貿易自由化前の汚染量に応じて、社会厚生を改善することも悪化させることもありうること、を明らかにしています。最後に、シミュレーションの結果、環境保全投資の促進は、経済を汚染量が多く失業者の多い「汚染均衡」から、汚染量が少なく失業者の少ない「クリーン均衡」へ移行させること、かつその移行は社会厚生を改善するため望ましいことが分かりました。これらの結果は、環境意識の高い国ほど、貿易自由化と環境保全の促進から得られる便益が高くなることを示唆しています。
このことが評価され、今回の受賞となりました。