お知らせ
2019年度の研究活動
2020/03/30
こんにちは。現代社会学科の馬場淳です。今日は、2019年度の研究活動を簡単に振り返ってみたいと思います。基本的にこれまでと同じパターンなので、なるべくかぶらないようにします!
まずは前期は、5月の日本法社会学会(千葉大)で研究発表(「法人類学と存在論――法文書をめぐるエージェンシーとコミュニケーション」、内容は後述する杉島敬志(編)『コミュニケーション的存在論の人類学』の拙論を参照のこと)を行い、6月の文化人類学会(東北大)に参加しました。ペーパーレス化の時代を感じます(^^)/
夏休みに入ると、8月6日から22日まで、去年と同様、ケニアのメル社会を訪れました。ケニア科研の最終年度として、英語論文Ontology of Photography among Tigania Meruを仕上げるための最後のフォローアップ調査です(最終的に完成したのは2月末だったけど......)。
8月は結婚式(スワヒリ語でアルーシ)が多く、地元のカメラマンの稼ぎ時。彼らこそ、村の写真文化を支えてきた人々でした。しかし今回の結婚式では、彼らの姿を見ませんでした。主催者が金持ち過ぎて、プロを雇ってしまい、素人カメラマンの出る幕がなかったのです。ちょっとかわいそう......
▲撮影だけではなく、結婚指輪も届けるドローン
金持ちの結婚式で驚いたのは、ドローンの活用でした! 田舎の結婚式でドローンをみるとは・・・これは初めてでした。さすがプロの撮影集団!! これじゃ、地元の素人カメラマンは勝てないよ( 一一)......と思っていたら、ドローンで結婚指輪を届けるという粋な演出にさらに驚いてしまった!(爆笑) 教会のなかでブンブンとドローン飛ばして、神父さんは......普通に対応していました(笑)
ところで、8月は学校も長期休暇に入るので、実家を離れた高校生や大学生たちが帰ってきます。ホストファミリーの家も例外ではありません。娘たち(=女子高生たち)が夜遅くまでおしゃべりしたり、笑ったり、歌ったり・・・それにママも便乗して、とにかくもう賑やか!!
その一方で、ホストファミリーの屋敷地で一緒に暮らしていたの兄と妻子が屋敷地から追い出されていました(汗)。少し離れたところに暮しているというので、挨拶しに行ってみた。理由は聞かないでください......((+_+))
▲一番右は僕の調査助手
ケニアの次は、長野県小川村へ。期間は8月25日〜28日。
▲今年度の小川村FWメンバー
学生6人に加え、地域流域フォーラムのスタッフ・齊藤さんも途中参加。教員は、堂前先生(全日程)、僕(前半)、加藤巌先生(後半)。紅一点は、現代社会学科の中野夢菜さん。今回で2度目の小川村FW参加で、移住者に関する継続調査をしました(^_-)-☆
これまでと大きく違うのは、FWの拠点。今年は、丸田勉さんが営む「ビオトープ」にお世話になりました。
▲ビオトープ
たっくさん、サーヴィスしてもらいました(^^♪
2018年12月、僕は小川村の地域再生に関する論文「ずくの継承者たち――長野県小川村における自己効力感の歴史的意義」(『日本健康学会誌』第84巻第6号)を書きましたが、次なるテーマは......今のところ秘密ですが......この洞窟と間接的に関わります。
▲300年以上前に木食山居上人が住んでいたと言われる薬師洞窟
▲村民自家製(村越邦江さん)の「しそジュース」と「野沢菜油」(写真:左)
▲はじめて学生を鬼無里の木彫人・高橋敬造さんに紹介しました(写真:右)
高橋さんの話には、学生たちもいろいろ考えさせられたようです。
9月に入ると、3日から5日までゼミ合宿(伊豆高原)へ。これは別の記事で書いているので、ここでは省略します。
夏休み最後のFWは、八丈島(9月10日〜11日)。
篠原涼子出演の『今日も嫌がらせ弁当』(監督:塚本連平、原作:Kaori(ttkk))のロケ地です。
僕にとってははじめての八丈島で、フィールドワークの可能性を探る査察的な弾丸トラベル。実はこの前日、台風15号で関東圏は大混乱でした。幸いにも、出発当日は快晴、飛行機も予定通り飛び、無事に八丈島につきました。
▲夏の終わりを感じさせない灼熱の太陽・・・とにかく暑かった!
見つめる先は、八丈小島と溶岩が作り出した絶景「南原千畳岩海岸」。
直行便のある八丈島には、観光スポットが整備され、それに応じた多くのパンフレットが用意されている。
▲島内で見られる動植物をここで確認することができる(八丈支庁にて)
▲宿泊先の八丈ビューホテルから夕陽に沈む三原山と八重根地区
こうして、あっという間に夏が終わったのでした。
疲れに加え、急に冷え込んだこともあり、後期がはじまる頃に少し体調を崩してしまいました(←何やってんだよ!って言いたくなりますね)
10月は、国立民族学博物館・共同研究「心配と係り合いの人類学」(代表者:西真如)で研究発表
→「逃走する男」をめぐるケアの生態学
ついでに、民博の特別展『驚異と怪異』を見学してきました。すっごい人! 展示は興味深く充実した内容で、しかも見学ルートの最後には「ファイナルファンタジー」まで登場したこともあり、テンションMAXになりました!これだけ人が集まるのも納得(^_-)-☆
12月は、(上とは別の、すでに研究期間が終了した)国立民族学博物館・共同研究「エージェンシーの定立と作用」(代表者:杉島敬志)の成果本が出版されました。
▲杉島敬志(編)『コミュニケーション的存在論の人類学』臨川書店。
年明けて1月に、パプアニューギニア・マヌス島へ弾丸調査をしてきました。これまでのフォローアップ調査(DVシェルターが機能不全になっていたのには愕然とした)、裁判所の新たな統計資料の入手、そして後述する科研報告書の確認(現地語のチェックや写真掲載の諾否など)が主な目的です。
このシーズンは、現地語でアハイの季節(北西季節風により海が荒れる雨季)。写真ではよくわからないかもしれませんが、レインコートを着ているように、一度ボートに乗ると、ずぶ濡れになります。毎日のように激しい雨が降って(スコールじゃない)、土地もぬかるみ、あまり行きたくない季節なんですが、メリットはクリスマス・ニューイヤー休暇で普段、島外にいる人々が帰ってきていること。それゆえ、情報量がかなり多い。
(今から思えば)新型コロナの影響で来年度はFWに行けない可能性が高いので、この時期に行って正解だったように思います。もっといたいところですが、帰らねばなりません。ホストファミリーのパパが糖尿病でかなり苦しんでいて、彼を州都の病院まで送り届けて......島を後にしました。「パパ、待ってて。またすぐに帰ってくるから!」
▲心配そうに見つめるのはママ・エウィ(ロレンガウ病院にて)
▲APECハウス(ポートモレスビー)
2018年11月に開催されたAPEC=アジア太平洋経済協力閣僚会議を機に、ポートモレスビー(首都)はさらに発展。その度合いは、ますます村とかけ離れていきます。写真のAPECハウスはエラ・ビーチ(Era beach)に建立されましたが、白砂を海外からもってきて整備したビーチは見違えるほど変わっていました。
2月は、再び大阪へ。ドーンセンターで、APP設立20周年記念シンポジウムに参加し、夜は中央公会堂前で行われたフラワーデモに参加。3月で一応終わる予定ですが、「以後も続けていきたい」とのことです。
▲大阪市中央公会堂
(これは研究活動ではありませんが)3月上旬には国際交流センターのパンフレットも仕上がり、2年間務めてきたセンター長の仕事を実質的に終えました。現物は、和光大学A棟3階の学生支援室でもらってください(もちろん、タダです) ^^) _~~
そして3月末、4年間やってきたニューギニア科研の報告書(英文)が完成し、2019年度が終わりました。
▲Protecting Family in Contemporary Papua New Guinea: An Ethnographic Study of Legal Impact on Manus Islanders
こうして、2019年度は、ここ数年間やってきた成果が目に見えるかたちで現れた一年となりました。
2020年度は(少し疲れたこともあり)アウトプットよりもインプットに重点を置きたいと思います。
馬場 淳(和光大学 現代社会学科)