教職員から |  2015/04/08

4月3日(金)に行われた入学登録で、現代人間学部、表現学部、経済経営学部の各学部長より
新入生へ向けてメッセージがおくられました。
一部抜粋して、ご紹介いたします。

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現代人間学部長 伊藤 武彦

新入生の皆さん、和光大学への入学おめでとうございます。
また、保護者の皆さん、お子様の成長おめでとうございます。

初代学長の梅根悟は日本の西洋教育史の第一人者でした。
梅根悟は、和光大学は「自由な研究と学習の共同体」と言っています。和光大学という共同体で学生が、いわばはだしで歩いて経験からのびのび学ぶこと、共有知識と体験をもとに、自分らしさ=異質力をもつこと、これが皆さんの学生としての仕事です。そして教員の仕事は「伴走者」として皆さん=学生の傍らに居合わせることです。例えば、和光大学には開学以来50年間、プロゼミというユニークな実践があります。ゼミナールは苗床という意味があり、このプロゼミで一生涯にわたる自分のテーマを発見した卒業生もいます。

和光大学では、「入学式」を「入学登録」と呼んでいます。
和光大学は形式にとらわれない大学ということです。

人生にとって大事なものは、何でしょう。
例えば、卒業後のキャリア設計をどのようにしていけば良いか考える際に、人生にとって大事なものは3つの要素が考えられます。1つ目は楽しさ、2つ目は生きがい、3つ目は経済的な豊かさ、お金です。この3つは全部あれば一番良いですが、3つが揃わないのが人生です。皆さんの中には、どうしてもアルバイトをしなくてはならない人もいるでしょう。「私の生きがいはこれだ」というのは、趣味でも、仕事でも、またその他のことでも良いと思います。楽しさは、極めて大事な要素で、物事を楽観的に見ることが重要です。そのためには、自分自身のネガティブな側面とみられるものを、ポジティブに変換して把握することが大事です。
  
最後に、浦河べてるという北海道の地域の話をして、話を終えたいと思います。
浦河べてるの家は、北海道の襟裳岬の手前、サラブレッドなどの競走馬の産地として有名な浦河町にあります。
浦河べてるの家では、100人以上の精神障がい者の人がコミュニティをつくって暮らしています。その人たちは、多くの場合は皆さんと同じぐらいの年齢の時にいろいろな精神障がい、あるいは生活上の様々な困難を抱え、浦河町に住んでいます。もともと浦河の人もいるし、他の地域や県から来た人もいて、お互いに助け合っています。
私は毎年授業の一環として学生と一緒に浦河に行くことにしています。そこでは当事者研究というものが行われています。当事者研究とは自分で自分を助ける研究です。当事者研究の成果を定期的にお互いに発表しあう会もあります。苦労を、どうやって良い苦労に変えていくか考え合いながら一緒に生活している場です。
皆さんも、これまで、または、これから、様々な苦労があるかと思いますけれども、その苦労を無くすのではなく、良い苦労にしていっていただきたいと思います。

人は、自分自身の困難を引き受けつつ、自分自身の糧にする生き方ができる強さを持っています。これに関連して、私の研究テーマの1つは、心的外傷後成長です。
これは心に傷を持つような厳しい経験をした人でも、その経験があるからこそ成長しているという人間のポジティブな側面の研究です。
皆さんもこれから様々な困難があるかと思いますけれども、その困難をばねに生きていくということが大事だと思います。
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表現学部長 浅見 克彦

新入生の皆さん、あなた方の入学を心から歓迎いたします。
今日から始まる大学生活、ぜひ刺激的なものにしていってください。とはいえ、まだ右も左もわからないでしょうから、あれこれ心配している人も少なくないでしょう。でも、大丈夫です。和光大学の教職員は、精一杯あなた方をアシストします。ですから、まずは目の前のことに集中することです。それができればそんなに心配はいりません。というわけで、まずは目の前の、私の話をしっかり吟味してください。

さて、表現学部を代表して、コミュニケーションに関係する話をしてみたいと思います。

みなさんは、「ハイパー・テキストリンク」という言葉を知っていますか?もし、知っているとしたら、その人はなかなか情報システムに詳しいと言えます。
わかりやすく言うと、ウェブ記事のなかの言葉に下線や強調があって、そこをクリックすると必要な情報があるページにジャンプするという、あれです。
この仕組みは、物事の前提を暫定的に踏まえたり、さまざまな領域の知識を結びつけるときにとても便利ですよね。
もちろん、ウェブの記述の全部が信用できるわけではないので、注意は必要です。ですが、いま言いたいのはそこではありません。これがどんな経緯で生み出されたか、ここがポイントです。

実は、この仕組みのアイデアは、50年以上も前に、大学院を出たばかりの一人の若者によって打ち出されたものです。
この人の名は、テッド・ネルソンと言います。今でも主にアメリカで活躍している人です。私が彼の話を持ち出したのは、彼が凄まじい成功をおさめたからではありません(実のところ彼は、ビル・ゲイツのような成功は修めていません)。皆さんに話してみたいのは、彼の学生時代の興味深いエピソードです。彼は、大学院に入学した年の期末課題として、あるプログラムを作ろうとしました。これは、ユーザーの思考やメモを整理保管し、いろいろな編集を可能にするものでした。ユーザーが書き物をしていくとします。その時に、それまで積み重ねてきた思考や参照した情報が、必要に応じてサッと引っ張り出せる。さらには、何と論述の代案を自動的に示してくれる。そして、洗練された深い論述へと導くという画期的な発想だったのです。そうです、これが、さまざまなサイトやページ、そして関連する領域の知識を瞬時に参照する「ハイパー・テキストリンク」へと発展していったわけです。

ただし、彼は結局、この課題を仕上げられませんでした。
プログラムは、5万行まで書き進められたと言われていますが、そのテーマと目的が壮大すぎたということでしょう。
実のところ、その後何年か月日が過ぎても、目標としたプログラムは完成しませんでした。そして、彼ではなく別の人がこのプログラムを開発してしまいます。つまり、彼の構想は自分自身の手で実現されなかったわけです。けれども、彼のこの歩みには感嘆すべきところがあると思います。皆さんに一番注目して欲しいのは、彼がこの遠大な構想を学生時代に思いつき、すぐさま実現を目指して歩み始めたという点です。たしかに、実現には至りませんでした。けれども肝心なのは、大学時代にきちんと結果が出るかどうかではありません。彼の歩みが魅力的に見えるのは、若くして「一生もの」の問いや課題を見つけ、はつらつとやりがいのある人生を歩み始めたからです。

皆さんは、「哲学する生活者」という言葉を聞いたことがありますか?
この場合の「哲学」というのは、専門的な哲学とはちょっと違います。社会人として生活を送るようになっても、周囲の現実をつねに問いなおしていくといった意味です。
そして、和光大学は、こうした姿勢を育むことを目標の一つにしています。ぜひ皆さんも、大学での生活を通じて、「一生もの」の問いや課題を見つけてください。
目の前の成果だけに汲々とせずに、人生の価値に通じるような、深くて大きな問いを手に入れてください。そうすれば、テッド・ネルソンがそうだったように、充実した人生の展望も開けてゆくはずです。もちろん、ただ夢だけが大きいというのでは、いささか心配です。深くて大きな問いと出会うためには、やはり先達の遠大な思考と実践に学ばなければなりません。
実を言えば、テッド・ネルソンも、あのアイデアを生み出すにあたって、ヴァネヴァー・ブッシュという人の思索に深く学んだのです。皆さんも、「一生もの」の問いや課題を見つけるために、学問の大きな頂を仰ぎ、関心や興味が湧いたら踏破を目指してください。

一つひとつの単位を修得するのもたしかに大切です。
けれども、一つひとつの授業の小さな枠にとらわれすぎてはいけません。教員が提供する知識や情報の向こうにある、大きな思考や実践の頂に関心を持ってください。
もちろん、教員の話を軽んじてもらっては困ります。けれども、学生さんにはその先にもっと大きなものがあることを、つねに意識してもらいたいと思います。
それからもう一つ、テッド・ネルソンのエピソードから学ぶべきことがあります。
ひょっとしたら、これが一番根本的かもしれませんが、長い人生を歩んでいくための、理想と価値観。これが土台であり、エネルギー源だということです。

大学で学ぶ時間は、終わってしまうと短く感じるものですが、それでも時間的な余裕はあります。焦ることはありません。
今日からの一日一日のなかで、ことあるごとにいま話したことを思い起こしてください。
そうすれば、きっと大切な目的と課題に突き当たるはずです。
そして大切にしたいものを見つけたときには、遠慮も我慢もしないでください。わたしたち教職員に、その夢や理想をどんどんぶつけてきてください。わたしたちは、みなさんが大切なものを実現するために、一歩一歩進んでいくのを精一杯応援いたします。
そして、反省や改善が必要であれば、真剣にことにあたります。そのかわりと言っては何ですが、あなたがたも安易な割り切りや諦めでことをすまそうとしないでください。
たしかに、大きな望みや目的を棚上げしてしまえば、挫折したり傷ついたりすることは少ないでしょう。けれどもそれは、本当に手応えのある人生につながる道ではないと、私は思います。

少しは挫折し、傷ついてみてください。
大学というところは、それでもやり直しと挽回ができる場所であるべきだと思います。どうですか。少しは気持ちが軽くなりましたか?
少しは、志を膨らませてみたくなりましたか?
ゆっくりと、ただししつこく、考え行動していってください。
このことを心から期待して、私の挨拶を終わりにしたいと思います。
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経済経営学部長 半谷 俊彦

新入生の皆さん、父母保証人の皆様、ご入学おめでとうございます。本日、こうして皆さんを和光大学へ迎えられたことを、教員一同、心よりうれしく思っています。

経済経営学部の教員を代表し、一言お祝いを述べさせて頂きます。本日は、二つのことをお話しします。

一つ目は、「入学登録」についてです。
和光大学では、入学式も卒業式も行いません。
その代り、入学の日には皆さん一人一人が学生名簿に署名する「入学登録」を行い、卒業の日には教員から皆さん一人一人に卒業証書を授与する「修了証書交付」を行います。
なぜ「式」すなわち「セレモニー」を行わないのかと言いますと、それは、私たち教員が、皆さんに「大学に入学する」、「大学を卒業する」という形式にとらわれて欲しくないと考えているからです。
大学には、小学校から高等学校までのように、月曜から金曜までクラスの皆が何を勉強するかを定める画一的なスケジュールは用意されていません。
皆さんはこれから四年間、自分が学びたいものを自由に選んで学ぶことになります。基本的には、皆さんが、自分自身の意思で、自分自身の判断で、何を学ぶかを自由に決めていくのです。

また、大学では、皆さんを「精神的に自立した人間」として扱います。「自由」と「自立」は車の両輪です。
皆さんが自立していなければ、自由は成り立たないのです。
和光大学の先生方も、皆さんの成長を願い、親しく声を掛けて下さったり、時には叱ったりして下さいます。
しかし、それは、高等学校までとは異なり、皆さんが精神的に自立していることを前提としているのです。
大学は「自由」な場であり、それが故に「自立」していることが求められる場です。大事なのは「大学に入学する」「大学を卒業する」という形式ではなく「積極的に学ぶ」ことなのです。
卒業に必要な要件を漫然と満たしていくのではなく、自らの意思に従い、興味を持って学修を進めていくことによって、四年間を実りあるものにして頂きたいと思います。

二つ目は「大学での学び」についてです。
大学教育は、「専門教育」と「一般教育」から成り立っています。皆さんは、経済経営学部の学生となったのですから、皆さんが受ける「専門教育」が、経済学あるいは経営学と、その関連科目であることは明らかであるかと思います。
本学部には、経済学や経営学についての伝統的で基本的な科目に加え、現代社会の情勢に対応した独創的で実践的な科目がたくさん開講されています。
これらの科目を自由に履修していくことによって、あるいは先生方が主催するゼミナールに所属し研究に従事することによって、専門知識と研究能力とを身に着けて行くことになります。

他方、「一般教育」とは何でしょうか。
「一般教育」とは、社会科学、人文科学、自然科学におけるさまざまな分野の知識や考え方を広く学ぶことをいいます。
その目的は、「専門教育」で学んだ知識や考え方が、学問全体の中でどのような位置づけにあるのか、社会においてどのような意義を持っているのかを知り、専門知識を活かす方法を学ぶことにあります。
「専門教育」が専門知識を縦に積み上げていくものだとすれば、「一般教育」はその土台となる一般教養を横に広げていくものだと言えます。
この「一般教育」の存在こそが、専門学校など他の高等教育機関と大学との間に一線を画すものです。

和光大学では、共通教養課程と外国語課程に多彩な教養科目を数多く設置すること、さらには、他学部や他学科の科目であっても興味に応じて学ぶことのできる「自由履修」の制度を設けることによって、「一般教育」の充実を図っています。
これは開学以来の理念に基づいたもので、和光大学の最大の特長のひとつと言えます。

和光大学経済経営学部では、時代の要請を重く捉え、2013年度から、チームワーク力やコミュニケーション力の涵養を中心とした、「キャリア研究」という授業を4年間の必修科目として開講しています。
授業は1週間に1回行われ、ホームルームの役割も果たします。
経営者や人事担当者の話を伺って職業について考えたり、ニュースや社会常識の勉強をしたりするとともに、グループワークを通じて、コミュニ―ションのとり方やプレゼンテーションの仕方、チームでの働き方を学びます。
チームワーク力やコミュニケーション力を磨くといっても、それは、全ての人に、同じように明るく、同じように積極的に人と接することがようになって欲しいということではありません。
人にはそれぞれ個性があります。
寡黙な人も話し好きな人も、落ち着いた人も活発な人も、それぞれ自分なりに、自分の持ち味を活かして、上手に他者と関われるようになることが目標です。
この授業を通じて自分を見つめなおし、社会で活躍するための準備をして下さい。

専門知識、一般教養、基礎能力。
この三つを身につけ涵養することが大学での学びの目的です。
このことを意識しつつ、四年間の学修に臨んで下さい。
皆さんが自分自身の意思で、自分自身の力で、四年間を充実したものにすることを望みます。
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