教職員から |  2012/10/10


授業「作詩に挑む」を担当する野村喜和夫先生(非常勤講師)が、
このたび「第50回 藤村記念歴程賞」を受賞されました。
受賞作品の一つ『Spectacle & Pigsty 』は、
今年5月に「The 2012 Best Translated Book Award」を受賞し、
このブログでも紹介いたしました。

>>「The 2012 Best Translated Book Award」受賞
http://www.wako.ac.jp/blog/2012/05/the_2012_best_translated_book.html


総合文化学科の遠藤朋之先生から、
今回の受賞について、コメントが寄せられましたのでご紹介します。
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今年3度目のうれしい知らせである。
本学総合文化学科で「作詩に挑む」をご担当の野村喜和夫先生、
今度は「第50回 藤村記念歴程賞」を受けられた。

この賞の名前、「藤村」からもわかるように、この賞は、島崎藤村を記念して設立された賞だ。
そして「歴程」は、草野心平が主宰した同人誌。
宮沢賢治も籍を置いていたことのある、日本では最大な詩人クラブである。

さて野村先生、すでに、3月、そして5月にも、
それぞれ「鮎川信夫賞」を『移動と律動と眩暈と』と『萩原朔太郎』の2冊で、
そして「The 2012 Best Translated Book Award」
Spectacle & Pigsty で受けられたばかり。

さて、今回の「藤村記念歴程賞」は、『ヌードな日』(思潮社)、『難解な自転車』(書肆山田)、
そして英訳詩集の Spectacle & Pigsty 3冊が対象作品。

この受賞3作品、英訳詩集については、すでに5月のこのブログに記事を載せた。
ほかのふたつの詩集であるが、まずはタイトルに注目してほしい。
『ヌードな日』と『難解な自転車』だ。
なにか、明確なイメージや像が結ばれるだろうか? 結ばれるわけがない。

ここで、「わけわからない・・・」と投げてしまうのがフツーの読者。
しかし、ちょっと立ち止まって考えてほしい。人はどうやって事物を認識しているのだろうか? 

たとえば、脚が四つあって、その脚の上に一枚の平たい板が載っている、
それはなにか物を載せるためにある。これを普通は「テーブル」とか、「机」と呼ぶ。
そこで、「テーブル」や「机」といったことばがなければ、
それをわれわれはどのように認識するだろうか?
そう、ことばがなければ、事物など認識できないのだ。

翻って野村先生の詩集のタイトル。
「ヌードな日」、「難解な自転車」、両方とも、われわれの認識においては、
明らかな像を結ぶことはない。
ということは、野村先生は、その詩集において、なにか新たな認識を読者に促しているのだ。
それも、ことばを先に提示して、事物をことばに後追いさせる、というかたちで。

「モノが先にあって、それに名前をつけるんだろ!」、それは一面的には正しい。
しかし、先にも書いたように、ことばを先に提示し、そこに事物を後追いさせる。
すると、事物はそのことばになる。これこそ、「魔法のことば」だ。「言霊」と言ってもいいだろう。

ことばによって世界を作っていく。それが詩のというもの。
私信ではあるが、野村先生、「愚直に前衛を貫いていきたい」ともおっしゃっていた。
ここでの「前衛」とは、「新たな世界をことばで作っていく」という意味に他ならないだろう。

新たに世界認識を作っていきたい、と思っている人、
まずは詩を、そして、野村喜和夫の作品を読んでほしい!
そして、野村喜和夫が詩でもって提示する新たな世界を自分なりに形成してほしい!

「『ヌードな日』、『難解な自転車』といっても、結ぶ像は読む人ごとに違うんじゃないの?」
と思った人もいるだろう。
そう、違います。それが個々人による解釈というものです。
でも、各自の異なった解釈、それは、書いた野村先生自身が考えてもいない
解釈であればあるほど、野村先生もそれを期待しているはずなのです。
「この部分で詩人はどう思っていたか、200字で述べなさい」なんていうのは、
高校でおしまいにしましょう。

『ヌードな日』、『難解な自転車』、その他の野村喜和夫の作品を読んで、
自分の新たな世界形成をしてくれる人が、和光大生が、ひとりでも多く出ることを期待しています。

和光大生のみなさん、
日本の前衛を貫き続ける詩人・野村喜和夫の授業、
それも、自分の書いた詩を野村喜和夫に添削してもらえる授業を受講できるのが和光です。

どうだ、和光ってこんな場所なんだよ!

総合文化学科  遠藤 朋之


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