心理学における
アクションリサーチ(Action Research)
社会的に意味ある組織活動の発展のために


<目次>

心理学におけるアクションリサーチ アクションリサーチの論文の書き方 CPNNにおけるアクションリサーチ

日本語の参考文献  日本語のウェブサイト  英語の参考文献  英語のウェブサイト


心理学におけるアクションリサーチ
 (出典 中島義明・安藤清志・子安増生・坂野雄二・繁桝算男・立花政夫・箱田裕司 (編) 1999 心理学辞典 CD-ROM版  有斐閣)

1 アクション・リサーチ (action research)の定義
  (山口裕幸)

社会環境や 対人関係の変革・改善など,社会問題の実践的解決のために,厳密に統制された実験研究と現実のフィールドで行われる実地研究とを連結し,相互循環的に推進する 社会工学的な研究方法。理論と実践の相互フィードバックを中心概念として, グループ・ダイナミックスの創始者である レヴィンによって提唱された。具体的には,

(1) 計画段階:変革の対象となる事態の正確な観察と分析を行い,改善目標を設定するとともに,過去の研究知見を参考にして目標達成のための方策を検討 し仮説をたてる,
(2)実践段階:仮説に従って具体的な活動を実践するが,必要ならば前もって訓練・教育を行う,
(3)評価段階:活動の有効性と仮説の妥当性を検証するために,目標達成度を客観的科学的測定に基づいて行い,活動内容や方策に改善すべき点の有無を 検討する,
(4)修正段階:改善すべき点があれば修正を行って再度同様の過程を繰り返すが,このとき実験研究の知見の有効性を実地研究で確認し,実地研究で示され た知見の理論的妥当性を実験研究で検証するという具合に実験室と現場をリンクさせながら進める,
(5)適用段階:目標が達成されたら,その成果を異なる社会事象にも適用してみて,その方策の効用と限界を見きわめる,という手続をとる。  

組織の対人関 係改善に有効な方法として活用されるほか,食習慣の改善や企業における目標管理など,産業場面を中心に広い分野で活用されてきた。グループ・ダイナミ ックスは小集団を対象に精密な実験的手法を取り入れて理論的研究の道を開いたが,実験状況が精密になるほど現実の集団状況から遊離しやすくなるとい う問題に直面する。アクション・リサーチは,現代の工学からみれば少なからず欠陥を抱えてはいるが,実験のための実験に終始することなく,現場に向き合 い,そこから豊かな知見を取り入れることで優れた理論的研究を可能にするという意味で,その理念は輝きを失っていない。

1 社会問題の実践的解決のために
1-1 社会環境の変革・改善
1-2 対人関係の変革・改善

1-3 組織開発 (OD)
1-3-1 組織開発の定義  (角山剛)
組織が本来備えている有効性や機能性を十全に発揮することができるよう,組織文化・風土 を計画的に変革改善していくための 継続的努力過程。
1-3-2 組織開発の特色1  変革の対象は組織の文化・風土であって,組織の機構や制度の変更にとどまるものでは ない
1-3-3 組織開発の特色2   長期にわたり計画性をもって継続される努力過程であること
1-3-4 組織開発の特色3  トップの管理のもとで行われるが,変革推進者として組織内部だけでなく外部の力も利用 すること
1-3-5 組織開発の特色4  組織のなかの 集団を単位として,その活性化に向けて変革が推進されること
1-3-6 組織開発の特色5 集団と個人の関わりに着目する行動科学の知識と技術を活用すること,
などがあげられる。
1-3-7 組織開発の手法 Tグループによる 感受性訓練(ST), マネジリアル・グリッドによるグリッド・セミナー, QCサークルなどの小集団活動,データ・フィ ードバックなど
1-3-8 関連項目  組織風土  CI  感受性訓練  マネジリアル・グリッド

2 厳密に統制された実験研究と現実のフィールドで行われる実地研究とを連結し相互循環的に推進する

3  社会工学的な研究方法
3-1 社会工学の定義(山口裕幸) social engineering ; sociotechnics  
工学的パラダイムに基づいて,社会問題の 解決と社会制御をめざす実践的な研 究志向のこと。
3-1-1 工学的パラダイムに基づいて,
3-1-2 社会問題の解決と社会制御をめざす
3-1-3 実践的な研究志向のこと
3-1-4 制御すべき対象を具体的に定めた後,達成すべき一連の目標群と遂行上の制約条件を明確にしたうえで,これら の諸条件を同時に満たす最適手 段を,おもに 線形計画法や 回帰分析等のシステム工学の諸手法を駆使して見 出そうとする。
3-1-5 社会に関するモデルの構築と社会政策の改善に工学的手法が有効であるという期待から発して,1960年代以降, アメリカのシンクタンクの発展を基 盤に台頭した。
3-1-6 しかし,管理社会化を推進する道具という批判的見方があると同時に,
3-1-7 目標群の設定や優先順位をめぐる葛藤および最適と見なされる解決法を制御の客体となる人々が受容する程度な どの心理学的な問題が解決済み の状況でしか有効性を発揮できないことが指摘されている。
3-1-8 社会問題の核心である価値選択と利害調節の解決を前提とすることは,社会工学の限界を如実に示している。

4 理論と実践の相互フィードバックを中心概念として

5 グループ・ダイナミックスの創始者である レヴィンによって提唱された

6 アクションリサーチの具体的な手続き (1)計画段階 (2)実践段階 (3)評価段階 (4)修正段階 (5)適用段階
6-1 (1)計画段階:  変革の対象となる事態の正確な観察と分析を行い,改善目標を設定するとともに,過去の研究知見 を参考にして目標達成のための方 策を検討し仮説をたてる,
6-2 (2)実践段階:  仮説に従って具体的な活動を実践するが,必要ならば前もって訓練・教育を行う,
6-3 (3)評価段階:  活動の有効性と仮説の妥当性を検証するために,目標達成度を客観的科学的測定に基づいて行い, 活動内容や方策に改善すべき 点の有無を検討する,
6-4 (4)修正段階:  改善すべき点があれば修正を行って再度同様の過程を繰り返す。このとき実験研究の知見の有効性 を実地研究で確認し,実地研究 で示された知見の理論的妥当性を実験研究で検証するという具合に 実験室と現場をリンクさせながら進める,
6-5 (5)適用段階:  目標が達成されたら,その成果を異なる社会事象にも適用してみて,その方策の効用と限界を見き わめる

7 辞典の文献(3)
▼Bavelas, A., Festinger, L., Woodward, P. & Zander, A., The Relative Effectiveness of a Lecture Method and Method of Group Decision for Changing Food Habits, Bulletin of the Committee on Food Habits, 1947.
▼Bavelas, A. & Lewin, K., Training in Democratic Leadership, Journal of Abnormal and Social Psychology, 37, 1942.
▼Lewin, K., Action Research and Minority Problems, Journal of Social Issues, 2, 1946(末永俊郎訳「アクション・リサーチと少数者の問題」『社会的葛藤の解決』1954).


アクションリサーチの論文の書き方  (Coghlan & Brannick, 2001)

1 目的と理論的根拠  自分の仕事を学問的に位置づける

2 問題の背景  社会的な問題の背景を記述。組織の特徴、たとえば、事業内容、歴史、問題の意味、研究に期待される もの等。

3 方法論と研究法  方法論とは、哲学的なアプローチ、研究法とは、実施した研究方法。自分のアプローチの積極面を 押し出すのが大事。

1)アクションリサーチの学習サイクルをどう用いたか
2)解釈のためさまざまなデータにどのようにアクセスしたか
3)自分の推測・解釈を確かめるためにどのようにやってきたかの証拠
4)自分の解釈や成果がこれまでの文献とどのように照らし合わせたか

4 経過と成果  論文の中心内容である。経過をストーリーとして記述する。その成果を述べる。事実と意味とを区別し て記述する。

5 内省と教訓  自分の学習プロセスを書く。一人称でも3人称でも良い。

6 経験と理論からみた経過の考察  理論づける。経験を実践性だけでなく理論的な位置づけをおこない、拡大可能性に ついても考察する。

※ 参考文献 Dick(1999) McNiff et al. (1996) Stringer (1999)


CPNNによるアクションリサーチ (高橋秀和 2000 平和の文化ニュースネットワークの形成 和光大学卒業論文 より抜粋: (C)高橋秀和・伊藤武彦)

CPNN−Japanの立ち上げ(2000年10月)のきっかけ

本章では、高橋がCPNNを立ち上げるきっかけを述べようと思うが、それは当時の記録をもって、説明に代えさせていただこうと思う。以下その記録を記載する。

10月23日  アクションリサーチ 第1回の会議
1. 伊藤先生のホームページ10月23日に作成される。
2. 伊藤先生がアクションリサーチを思いつく。
3. 高橋は伊藤からアクションリサーチの説明を受ける。
4. その後、新百合ヶ丘で、立ち上げを祝い飲む。

プロジェクト名 CPNN立ち上げプロジェクト
ディレクター/コーディネータ:伊藤武彦
パートナー/記録係/雑用係/テープおこし/部屋掃除/:高橋 

今日(10/23)の高橋の課題
(1) アクションリサーチに関する文献のコピー
(2) アクションリサーチについて理解し、合意に達すること。
なお、アクションリサーチのレポートは、高橋の卒論となることが、予定されている。それまでは、高橋と伊藤は非暴力に関する青年の調査研究を行うべく準備をすすめていた。しかし、その計画は伊藤の突然の思い付きにより中断された.その理由はいくつかある。

第1に、伊藤がCPNNを本年度中に立ち上げなくてはいけないという、いわば、切迫した状況が背景にあった。この点では、伊藤の課題は2つの分野での取り組みが求められていたのである。それは、
(1)CPNNのサイトを年内に立ち上げ、テクニカルスタッフトともに、サイトを運営していくこと。
(2)モデレータ(編集者)とレポーター(投稿者)のトレーニングプログラムを企画し、実施することであった。

伊藤は、前日にある原稿を書き終えていた。それは、「ユネスコと平和の文化」と題する学会発表報告である。11月12日に愛知大学豊橋校舎での日本平和学会で報告する内容であった。このとき、伊藤は11月12日までにCPNNのサイトがない状態で報告することとは、有言不実行の最たるものと気づいたのである。

第2に、高橋の計画しようとする、調査研究がほとんど進んでいなかったという状況がある。

第3に(中略)(高橋は、)指導教員である伊藤の積極的な指導に、抵抗しづらかった状況がある。

このような背景に、CPNNの立ち上げのアクションリサーチという本研究に、あっという間に決まったという事実経過であった。
 それでは、アクションリサーチとは何か。その方法について、大野木(1997)をもとに紹介したい。次に、CPNNのブループリントのホームページにあるように、CPNNそれ自体が、アクションリサーチの方法によって、開発されてきたという経過がある。したがって、アクションリサーチという方法自体が、このプロジェクトの発展に内在しているものであり、二重にこの方法の重要さが指摘できるのである。

次項は大野木(1997)よりの引用をもとに構成されている。

アクションリサーチと心理学大野木:「アクションリサーチ法の理論と技法」より)

 アクションリサーチ(action research)は、1940年代から50年代前半にかけて、クルト・レヴィン(Lewin,K.)によって提唱された方法である。1970年代あたりから、アクションリサーチは、再び盛んになっている。日本でも、社会心理学や教育社会学などの領域を中心に、大きな注目を浴びている。また、学会以外の場、たとえば産業界における企業内社員教育、職場の改善運動などでは、以前から継続して用いられ、洗練されてきた。アクションリサーチでは、心理学などの基礎研究と、そこから引き出された知見の実践過程の相互のやり取りを強調する。レヴィンの3項関係図では、研究(research),実践(action),訓練(training)は3つの柱であり、相互に補足し作用する。

 観察法は、データを入手する手段である。テスト法、面接法、質問紙調査法など、手段は、ほかにもある。もしも実行可能ならば、いろいろな手法を併用して、総合的に接近することが望ましい。アクションリサーチは、対象への関与の程度が、参加観察法よりも強い。アクションリサーチでは、研究の改善策の実践とが、相互循環的に応答して進んでいくことが多い。このときには、しばしば、研究者が観察者を兼ねる。

 アクションリサーチの過程は、表1のようにまとめられる。大きく見ると、(1)と(2)は企画(plan)の過程である。現場を観察し分析することから、「気づき」を抽出し練り上げ、解決すべき課題として具体化する部分である。そして、改善の工夫を立案する。(3)は実行(do)し、効果を導く部分である。(4)は評価・考察(see)する部分である。もちろん、実際には、このように、すべてがすべて、(1)から(6)までの過程をたどるわけではない。(1)から(3)までで、打ち切られることもある。(1)から(4)のケースもある。

表1 アクションリサーチの過程(マニュアル)

(1) 現実場面を部席検討し、改善問題を設定する。
(2) 心理学の知見を駆使し、改善策の仮説を立てる。
(3) 改善策を具体的に実践する。場合によっては、実践のための訓練・教育を行う。
(4) 改善策の効果を科学的に測定し、改善策(仮説)を評価・考察する。
(5) さらに継続して改善すべきなら、(1)〜(4)の手続きを重ねる。
(6) 改善目標が達成されたら、ほかの場面へ応用し、一般化と限界を検討する。



◎ CPNNトレーニング

 日本語でのCPNNのトレーニングがはじめて開かれたのは、2000年9月のピースボートの船上であった。このときの計画は、伊藤とオーストラリア・メルボルン大学の国際紛争解決研究所所長の、ダイ・ブレザートン博士であった。当初、ブレザートン博士が乗船する予定であったが、所員のスチュアート・ウィルキンソン氏がその役を行うことになった。ウィルキンソン氏は、これまでブレザートン所長のもとで、数々のCPNNワークショップを経験している。9月20日に伊藤とウィルキンソンははじめて会い、ワークショップのやり方を話し合った。それは、オーストラリアに入港していた、ウクライナ船オリビア号の船中であった。同日20日、船は、ニュージーランドのオークランド港を目指し出港した。

 翌日21日、CPNNワークショップ、トランセンドワークショップの説明を、約400人のピースボート参加者の前で行い、ワークショップの参加者を募った。結果として、CPNNには約30名、トランセンドには、約38名の参加者があった。伊藤は、両方の掛け持ちを日程の都合をつけながら行った。

 CPNNの乗船者向けセッションは3回に分けて、3日間行われた。ウィルキンソンは、30名のトレーニングの前に、まず、自分に代行してワークショップを行うことができる、ファシリテーターを緊急に養成することが、急務だと考えた。共同のコーディネータである伊藤と、ピースボートのスタッフで積極的な意欲を示した、ダニエルと、通訳として参加していた、小林奈津子と関根の4人を実際のセッションの前に特別セッションを行った。これにより、
(1) 英語と日本語の言葉の壁による、時間のロスをなくすという効果だけでなく、もっと重要なことには、
(2) トレ−ニングできるトレーナーを養成するという事も、同時に実現できたのである。
伊藤・小林・ダニエル・関根にしてみれば、午前中にウィルキンソンから教えられたことを、その日の午後に参加者に教えるといったハードスケジュールであった。それゆえ、高い集中力と短い期間での結束力が身についた。

 このようにして行われた、洋上CPNNのワークショップモデレータの養成の条件には及ばなかったが、レポーターの養成という条件はクリアしていると思われた。

 フルーツバスケット(ゲーム)から出発したこのワークショップは、日本語のCPNN出発点として位置付けられる。その特徴を、伊藤は次のように振り返っている。

(1) CPNNは、上から与えられるものではなく、みんなで作っていくものである。ウィルキンソンは、自分の持っている知識と、経験と、スキルを、上から与えられるものではなく、参加者たちと共有しようとする態度でワークショップを行った。また、それから学んだ4人のファシリテーターの同じように学びあう態度でワークショップを進めていった。童謡で言うと、雀の学校ではなく、めだかの学校的なワークショップであった。

(2) しかし、伊藤は次のようにも心配している。それは、第1回のCPNNのワークショップはピ−スボートの上、地理的には、オーストラリアとニュージーランドの間の公海上で行われたという点である。伊藤のもともとの予想では、第1回目のCPNNワークショップは、淡路島の花博覧会(1999年7月)の前後に日本国内で開かれるべく、準備が進められていたのである。それは、実現されなかった。宙に浮いたのであった。それが翌年に持ち越したとはいえ、実現できたのはよいと思う。しかし、ピースボートは、良くも悪くも、ユートピア的世界である。その平和学習のパワーはものすごい。また、上下関係のない、対等、平等的な学びあいの場でもある。何より、楽しいはずの学びが、本当に楽しい場となっている。きわめて理想的な学習環境なのである。したがって、伊藤は、今後もCPNNワークショップをピースボート上で行いたいという意欲を燃やしているのである。だが、平和のニュースが人々の生活の上に成り立っている。日常の中で、新しい平和の文化の価値を作っていくことこそが求められている。ここにジレンマがある。日常と非日常、生活現実と生活の夢、現実と理想、今ある姿とあるべき姿、などのコントラストの中で、CPNNが普通の人々のメディアとして、どのように活躍するべきかを考えたい、と伊藤は語った。

 和光大学の授業に責任を持つ伊藤は、同時に、CPNNのコーディネータとしてユネスコに責任を持っている立場上、自らの教育実践とユネスコ運動との関係について、こう語った。

 授業の当初の目標は、プロゼミ(1年生ゼミ)とゼミ(3,4年生ゼミ)では、そのレベルや具体的方法は異なるけれども、共通点を重視する。それは、以下の3点である。

(1) 学び方を学ぶ集団として、セミナーの参加者を位置付けている。学期の初めに図書館ツアーをやり、情報検索の方法身に付けるのも、ともに集団でやることに意味がある。
(2) ハイテク、IT対応の集団である。検索方法を習得し、それだけでなく、自分たちが学び身に付けたものを、より広い世間に返していくために、ホームページなどの手段を活用するのである。
(3) 学び・調べ・表現し・発信する、ということを身に付けることが目標である。そのために、CPNNとの結合が非常の意義あると考える。

 また伊藤は、心配が2つあると述べた。
(1) CPNNが影響力(インパクト)を持つかという問題
(2) そもそも、暴力は平和より「面白い」という問題。
あえて言えば、(1)(2)は同じ問題なのかもしれない。

 CPNNがインターネットの上の企画である限り、将来性を見越しているには間違いない。CPNNの事実上の創始者は、デービッド・アダムズである。彼は、1986年に「暴力についてのセビリア声明」を起草し、普及した人間である。彼はこの「声明」において、人間の本性が戦争を引き起こすわけではなく、むしろ、人為的な要因によって、大量殺戮が行われたことを示している。

 彼の目指したのは、人間が、人間らしい生活をするために、人間同士が助け合わなくてはいけない、ということである。それで、大学教授の仕事もやめて、自分の好きな心理学の研究も止めて、ユネスコの職員となって、平和の文化を世界の隅々に行き渡らせるために努力したのであった。そして、アダムズが最も重視したのが、インターネット上の平和のニュースと、平和のメディアを相互交流する媒体としての、CPNNだったのである。
 以下はユネスコのCPNNのブループリントを日本語訳したものである。

(以下、表1)CPNN ブループリント「アクションリサーチ」の和訳
アクションリサーチとは何か?

 CPNNのトレーニングの開発は、アクションリサーチ法を用います。アクションリサーチでは、次のような各項目を循環するやり方です。

1. 観察とプランニング
2. 実践、すなわち、実行に移すこと
3. 評価、すなわち、実行したことを完成すること。何がうまくいき、何がうまくいかなかったかを振り返ることは、次の循環の開始するプランニングのよいヒントとなる。

CPNNで用いられるアクションリサーチは、学習の枠組みとしても用いられます。それには、次の5つの理由があります。

1. 参加する人を、研究の被験者としてではなく、積極的な参加者として、尊敬を持って接します。
2. 人々の意見が反映できるようにします。
3. 他の人の声に耳を傾け、お互いに学びあうようなものの見方を薦めます。
4. 平和を作るために役立つスキルと、態度を教育します。
5. 平和のための行動と反省(思想)をともに重視します。

アクションリサーチの方法は、やってみること、試してみることを強調し、フィードバックを得ることができ、お互いに学びあうことができます。これは、戦争の文化にある、教条的なものの考え方や、白か黒と考えるやり方とは、正反対なのです。この方法は、学習するコミュニィティーのやり方であり、平和の文化の価値に沿ったやり方なのです。


日本語参考文献
Lewin, K.., Resolving Social Conflict 末永俊郎(訳) 1954 社会的葛藤の解決 -グループダイナミックス論文集- 創元新社
▼続 有恒・高瀬常男 編 1975 心理学研究法 13 実践研究 東京大学出版会
大野木裕明 1997 アクションリサーチ法の理論と技法 中澤潤・大野木裕明・南博文(編) 心理学マニュアル観察法 北大路書房 Pp. 46-53
▼広瀬幸雄 1993 環境問題へのアクション・リサーチ:リサイクルのボランティア・グループの形成発展のプロセス 心理学評論 37 373-397
▼箕浦康子 1985 大学の説得活動と学生の駐車行動の変化 ―岡大法文構内における自然実験に関する社会心理学的レポート― 岡山大学文学部紀要 8 Pp. 69-74.
▼箕浦康子 1986 学内駐車行動の規定因―説得一年半の変化― 岡山大学文学部紀要 47 Pp. 63-74.
▼秋田喜代美・市川伸一 2001 教育・発達における実践研究 南風原朝和・市川伸一・下山晴彦(編) 心理学研究法入門 調査・実験から実践まで 東京大学出版会 Pp. 153-190
▼中島義明・安藤清志・子安増生・坂野雄二・繁桝算男・立花政夫・箱田裕司 編 1999心理学辞典 CD-ROM版  有斐閣
▼渡辺直登 2000 アクション・リサーチ 下山晴彦 編 臨床心理学研究の技法 福村出版

日本語サイト

英語参考文献

Coghlan,D.,& Brannick、T. (2001). Doing action research in your own organization. London: Sage


英語サイト
CPNNによるアクションリサーチのページ
Martin Ryder(コロラド大学)



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Established on Aug. 25, 2001. Last modified on Oct. 25, 2001.

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