ネパールにおけるE-mailとホームページ

角 田 光 司


はじめに

 最近、情報システムの発展、進歩はめざましく開発途上国においても、その普及は例外ではない。昨年パプアニューギニアに行ったときに、パプアニューギニア大学の教員たちから名刺をいただいたが、それらのすべてにE−mailのアドレスが書かれていた。

 そこで今回ネパールのE−mailのアカウントやホームページがどのようになっているのか、インターネットのシステムはどのようになっているかを、ほんの少しでは、あるけれども見聞きしたことを報告したい。

ネパールの印象

 バンコクからカトマンドゥ行の飛行機はしばらくするとミャンマーの海岸に沿って飛び、北上するにつれて海岸の幅が広くなった。海岸線らしい緑の渕は遠のき、砂浜がだんだん広がって、やがてその砂浜に道路や家が点在し、やがて5、6軒の集落が見え始めた。

 もはや砂浜とは言い難い。平野の砂地である。長く伸びた道路がよく見えるが、人間の姿も見えなければ自動車も見わたらない。道路は縦横に長く伸び、依然として遠のいてはいるが緑の縁は見えていた。

 やがて15、6軒の集落が密集し始め、村々の点在に変わった。

 しばらくすると、いくつもの川が見え始めた。マングローブの根のように入りくんだ川が見え始め、海に注がれていた。バングラデシュに入ったと思った。川と砂ばかりで、家は1件も見えない。しかし、羨ましくも思えた。

 平野の上空をしばらく飛ぶとやがて景色は一転し、山ばかりである。山の尾根から頂上にかけて家が点在している。尾根の上に家々が並んでいる所もある。その周囲の急な斜面に畑が作られ、段々畑になっている。水汲みが大変だろうな、と思った。こんな所に住まなくとも、平野で、広い所があるじゃないか。そこがネパールであった。後で聞いた話であるが、高いところに住んでいることによって、その人たちはマラリアにかからなっかたということである。

情報機器の使用環境

 カトマンドゥのホテルの部屋には蝋燭とマッチが、テーブルの上と洗面所に置いてあった。ホテルのロビーの一角に、ガラス張りのコンピュータ室があり、一台のコンピュータが置かれ、コンピュータの下には車のバッテリーが、3、4個、置かれていた。これらは時々停電することを物語っていた。実際に滞在中、他のレストランで停電を何回か経験した。

 我々の旅行会社の事務所にあったディスプレイには「creative」と書かれていた。creative社というコンピュータ会社は実際にある。後で、どこのメーカーのものか、と聞いてみると、パーツを輸入してネパールで組み立てているとのことであった。

E−mailの使い方

 どこで、誰に名刺を貰っても、たいがい名刺にE−Mailのアドレスが書いてある。ホテルの名刺にはメールアドレスがhotel@greenwich.wlink.com.np (Hotel Greenwich Village)と書かれていた。他のホテルの名刺にもhotel@tibet.mos.com.np (Hotel Tibet)と書かれていて、いずれもアカウント名がhotelである。別に、変わったアカウントと言う訳でもない。ホテルの代表アカウントである。

 旅行会社の名刺にも、E−Mailのアドレスがlate@mos.com.np (Lama Adventure Treks & Expedition (P) Ltd)と書かれていた。同じ旅行会社の人の名刺にも、同じアカウントが書かれていた。これもホテルと同じように代表のアカウントである。誰の名刺にも同じアカウントが書かれている。

 環境研究所(Center for Environmental and Agricultural Policy Research, Extension and Development(CEAPRED))のE−Mailのアドレスはinfo@ceapred.wlink.com.npでアカウントはinfoである。これもアカウント名の付け方から言って、代表アカウントと言える。

 二つのアカウントを持っていた所員の人がいたので、聞いてみると、ひとつは自宅で使っているアカウントと言うことであった。そこで更に、このアカウントについて聞いてみると、研究所ではinfoのアカウントを共同で使っているとのことでる。それぞれの個人の部屋にはコンピュータが置いてあったぐらいだから、使用頻度は多いと思われた。

 トリブバン大学の教育研究所(Tribhuvan University Research Center for Educational Innovation and Development) のE−Mailのアドレスもcerid@mos.com.npで、代表アカウントである。ドメイン名がcom(会社)なので大学のドメインではないことがすぐにわかった。

ホームページ

 トリブバン大学は国立だがホームページはない。私立のカトマンドゥ大学のホームページはシンガポールにある。

 一方、ホテルではアメリカにホームページを作っている。Hotel Greenwich VillageのURLはhttp://www.leisureplanet.com/hotel/greenwich villageであり、Hotel Tibetのほうは、http://www.catmando.com/hotel-tibetである。我々の世話をしてくれた旅行会社、 Lama Adventure Treks & Expedition (P) Ltdも、そのURLは、http://www.businessnepal.com/ lamadv-treksであり、いずれもアメリカにホームページを置いている。あるいは、ビジネスや観光情報提供会社のドメインの中に掲載されている。

 旅行中の見聞だけで不十分ではあるが、少しは様子がわかったように思えた。因みに、日本マイクロソフト社の日本語版もアメリカにあり、朝日新聞社のホームページもアメリカのシリコンバレーにあるサンノゼ市に情報サーバーを置いている。

E−Mailサービス

 ポカラではE-mailサービスの店を何軒か見かけた。インターネットも出来れば、メールも送れる。

 ネパールにはインドと同じくカースト制があり、職業もカーストで決められているということである。けれどもコンピューターという新しい仕事は、伝統的なカーストに制約されることなく、誰でも仕事ができるということである。このような新しいビジネスが社会の変化をもたらす一要素となるのかもしれない。



参考文献

石田晴久著『インターネット自由自在』岩波新書

日経BP社出版局『情報・通信新語辞典』日経BP社


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