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この人だれよと落ちついた声(ゼミ連句報告)

2011年10月20日

ゼミナール「近世の文化と言語表現」の俳諧連句実作、今年度2回目めの報告をします。前回報告までに21句めまで進んでいました。その続きです。

  ゼミ連句「2011年春、東北大震災」
1 細道に涙こぼせよ帰る雁       山左右     (春)
2 春を運んで吹け南風         驢馬       (春)
3 気の早いたんぽぽの種ひろがって   密名     (春)
4 あせるライオンシマウマ逃がす    壱歌
5 半月と同じさまなり我が心      正流軒      (秋・月)
6 銀河を渡る舟旅したい        山左右       (秋)
(初折ウラ)
7 長い夜留学先の夢を見る       張子       (秋)
8 パリには恋の歌うたう虫       菊童       (秋・恋)
9 デッサンのモデルになってと誘う朝  絵軒      (恋)
10 追えば隠れる無邪気な子猫      驢馬
11 公園で親にはぐれて泣くことも    山左右
12 電球の下金魚が群れる        正流軒     (夏)
13 燃える火をいっしょにかこめお月様  壱歌      (夏・月)
14 ろうそく吹き消す誕生日会      魚六十九(あいなめ)
15 これからは酒もタバコも堂々と    京
16 人間ドックすべて良好        山左右
17 園児らの笑顔の花に囲まれて     春男      (春・花)
18 おかわりあるぞ竹ノ子ごはん     完隣       (春)
(名残オモテ)
19 よく食べて身長伸びた春休み     松風庵     (春)
20 転校してもメールちょうだい     山左右
21 怪しまれ携帯のぞかれ浮気バレ    低見川  (恋)

22を募集したときの優秀句を3句。条件は、七七で、かならず恋の句を。雑でよいが、冬も可、としました。

  この人だれよと落ちついた声    師川  これはおそろしい。
  キレた彼女に説教くらう      京   展開良し。下五さらに工夫を。
  修羅場も和むままごとの恋     密名  展開おもしろい。

で、採用されたのは面白さでいちばんのこの句です。

22 この人だれよと落ちついた声     師川   (恋)

その次の週、23を募集したときの優秀句を4句。条件は、五七五、恋か恋離れ、三句がらみにしない。雑か、冬で。

   思い出の卒業写真恥かしい     密名  良い恋離れ。「思い出」に工夫を。
  俺の顔忘れちゃったのおばあちゃん 低見川 発想よし。「俺の顔」→「嫁の顔」。
  飯はまだたべていないと繰り返し  驢馬  同じ発想。ご飯ネタ近くて惜しい。
  子にばれたサンタクロースの正体が。壱歌  冬へ転じよし、前句の言葉にはもう一つ。

最初の作品を採用して、「思い出」を多少具体的に変更し、

23 おかっぱの卒業写真恥かしい     密名

としました。さらに、24募集したときの優秀句を3句。条件は、七七。このときはとくに、冬の句を求めました。また、人物を離れ、風景の描写を、と求めてみました。

  雪の明かりを懐かしむころ    驢馬  発想よし。「懐かしむ」時を変更したい。
  はじめて作った雪だるま達    正流軒 素直な付け、「達」が落ち着かない。
  ほっぺがあかい北風の子よ    密名  これも素直、できれば風景へ。

やはり最初の作品を採用し、過去から現在に時間をずらして、

24 雪の明かりの道通いなれ     驢馬   (冬)

としました。また折々進行を報告します。

 おまけ画像。うちの猫、タビです。

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