◎シンポジウム・身体表現とジェンダー

開会のあいさつ

千野榮一 和光大学学長

  皆さん良くおいでになりました。和光大学総合文化研究所主催の公開シンポジウム《身体表現とジェンダー》を、これから華やかにやっていきたいと思っております。

 近年社会の変化は非常に甚だしいものがありまして、それに応じて大学の持つ意味も変わって来ております。本来大学というのは、アカデミズムの伝統としての学問の先端を切る、というのが一つの役割でありました。本学には、それとは別に建学の精神からいって非常に教育を熱心に行なう、というものがあります。近年は、大学の持つ意味が多様化して参りまして、現代では大学というものがただ単に学問をしているということだけではなしに、例えば生涯学習のために力を貸すとか、地域の方々との関係の中で新しい視点を見出すとか、そういうようないろいろな新しい任務が増えて来ております。しかし、何と申しましても大学は教育面のほかに研究面を重視して行かねばならないわけです。

 本学はアカデミズムの伝統としての研究所を造ろうと思って計画したのはかなり前なのですが、その間に不幸でもあった大学紛争その他があって大きく出遅れております。その間に共同研究のプロジェクトチームを組むという動きの中でだんだん具体化して参りまして、和光大学共同研究機構というステップを経て和光大学総合文化研究所の設立という運びになりました。ちょうど、この時期が和光大学創立三〇年にあたりまして、前学長でありました杉山康彦先生のイニシアチブの下で確実な歩みを始めたわけであります。

 今年は、研究所が開催するシンポジウムとしては第三回目に当たります。第一回はちょうど戦後五〇年に当たりましたので、《戦後50年を考える》というテーマで行なわれ、数多くの共同グループを三つに系列に分けたうちの一つ《アジア地域研究系》が中心となって開催されました。次いで、昨年は《教育、生活研究系》の先生方を中心に《二一世紀に向けて大学のあり方を考える》というテーマでシンポジウムが行なわれました。この過去二回のシンポジウムに関しましては、本学が刊行する和光大学総合文化研究所年報『東西南北』一九九六年号、一九九七年号に出ております。

 さて、三つある研究所の最後に満を持して登場するのが、《表象文化研究系》で、表象文化という新しい響きにふさわしい《身体表現とジェンダー》というすばらしいテーマで本日開催されます。詳細はパンフレットでご覧になれますが、「写真表現のなかでのジェンダー」という笠原先生のお話、それから、男性作家の作品のなかの「女性の身体表現」という塩崎先生のお話、さらに「文化規定としての女性の身体」という浅野先生のお話がございまして、この三人の先生方の問題提起がうまくかみ合い、井上先生の司会のもとに三人のコメンテーターである酒寄先生、杉本先生、永澤先生がそれぞれ所信を述べられれば、テーマにふさわしい盛り上がりが見られるものと期待しております。

 あとに豊富なプログラムがある場合のあいさつの唯一の長所というのは、短い、ということでございますから、私のあいさつもここまでに致したいと思います。


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