学長あいさつ

杉山康彦

◎学長

 学長の杉山です。といっても、僕の顔を知っている人はあまりいないのではないかと思いますけれども、こういう顔をしています。途中ですれ違ったときには、「やあ」とか「おう」とか、声をかけてもらいたいと思います。

 初代の学長は梅根悟という方で、大学入口の階段を上がった正面にある、あの銅像ではなくて、図書館にあります胸像が梅根悟初代学長です。あの方は教育学の専攻で、大学論についても権威者であられたわけですが、この大学をつくるに当たって、こういう理念でうちはいくのだという方向を示されて、それを基礎にしてこの大学は進んできたわけです。その中で一番強調されたことの一つは、大学は第一に研究機関だということです。大学には研究と教育とある中で、教育を無視するわけではないけれども、まず大学は研究機関であるということを強調されました。その場合の研究というのは、何も教師だけではなくて、学生諸君の学習も研究なので、そういう点を重視しようということがあったわけです。

 きょうのシンポジウムもこういう格好で開かれておりますが、このシンポジウムの参加者としては、教師も学生も対等の立場にあります。だれが意見発表をしてもよいし、教員も学生も対等の研究者として発言をしていく、こういう建て前がこのシンボジウムです。

 もちろん教員の研究というものが大学の力の原点だと、思っています。梅根学長は、よい教師を集めるという方針で始め、希望どおり集まったというふうに言っておられました。それからだいぶ代がわりをして新しい教師も来ております。

 いま和光大学の教師は、どの程度の研究者なのかという、その辺について学生の皆さんの感想はわからないのですが、私の感想としては、学生一流、教師三流と言われている大学がありますが、そういうことは決してないと思っております。それぞれの教員のそれぞれの研究分野の学会がありますが、そういう第一線でも高い評価を受けておられる方々が多数おられると私は信じております。

 これは私の提案で図書館にやっていただいたことなのですが、教員著作コーナーというのがこの十月から開かれております。図書館の二階の一番奥にあります。それを見て、うちの教帥はこういうことを研究しているんだなということを知ってもらいたい。もちろん教員の研究業績というものは本だけではないですね。そのほかに論文というのがありますが、それをなかなか本にしにくいというものもあるので、あそこに並んでいるだけが業績だということは言えません。

 あの横に学長としての趣旨が簡単に書いてありますけれども、絵を描く方は絵、彫刻の方は彫刻とか、いろいろありますので、あれだけが業績ではありません。

 もう一つ、あそこに出ておりますのは現在の教員です。大学がスタートして以来の方々の業績は、これも大事な宝物で、和光大学の歴史であります。それはまだ出ておりませんが、これもおっつけ出ます。ですから、あそこに飾られているもの以外のものもたくさんあるけれども、あれが和光大学の財産なんですね。ですから皆さんも手に取って見ていただきたい。

 学生の皆さんにとって、教員の書く学術論文というものは我々と関係ないんだということではなくて、全部はわからないということがあっても、読んでみると、ああ、この人はこういうことを考えているんだな、とかいうことがわかってくると思うのです。

 本を読む場合に、その人の顔を知らないで読むのとちがって、実際に日ごろ会っている人の書いている論文を読んでみますと、その活字の中から声が聞こえてくるんですね。だから、本が難しくても、知っている人の本を見てみるというのは面白いことです。私の本もありますから、そういう視点で読んでみてもらいたいと思います。

 今度、これは知っている方もあるかと思いますが、『和光に集う教師たちのプロフィール・教育と研究一覧』という本をこの三月に出しました。あちらこちらに置いてありますから、ごらんになった方もあるかと思います。これはB5判で見開き二ぺ−ジに、それぞれの先生に自分が何をやっているかということを書いてもらっています。書き方は自由ということで書いてありますから、人にょって書き方が違う。そこがまずおもしろい。私は学生諸君には「ふぞろいのリンゴ」でいこうと言っていますけれども、教師もふぞろいでこれを書いていますので、これも見ればなかなかおもしろいものです。ぜひ読んでいただきたい。本当はイラストか何かで顔を人れればよかったのですが、入れそこなって、少しかたい感じですが、そういうものもあります。これも教員著作コーナーの隣に置いてあると思います。それに見るだけではなくて、欲しい人には大学は配布することにしていますから、ぜひ一冊もらって見てもらいたいと思います。

 ところで、この「共同研究機構」ですが、これはいろいろな研究グループがあって、それを全体にまとめるものという格好で「和光大学共同研究機構」と称しています。私どもでは学部学科の枠を超えて、教師たち、学生も含めて、研究をするという方向で来ているものですから、こういうものができてきているわけです。普通の大学は大体縦割りですから、学部学科が共同して何かをやるという姿は、私の知っている限りはまずありません。私どもの大学の場合には、今のところ二学部五学科ですが、教員控え室のサロンでは教員は一緒に混じり合いますし、非常勤の先生方も混じり合います。学部学科を超えてこういう研究をやっていくということは和光大学の特色なんですね。そういうつもりでやっております。

 本学では、来年の四月から、現在の人文学部の人間関係学科というのを学部に独立させることを計画しております。その中に、人間関係学科と人間発達学科があり、それぞれにニコースがあって、二学科四コースを持つ学部に昇格するという計画です。このような改変については文部省の認可を受けなければならないのですが、いろいろ手続きの作業を行なってきまして、ほぼ確実に来年の四月からスタートするというところに来ております。

 実は十月二十五日に学長面接があったのです。文部省のお役人ではなくて、ほかの大学の学長さんなどが来られて、その面接を受けてきまして大体大丈夫ということになりました。これは最後のセレモニーですけれども、書類的には既に九分九厘いっておりますので、確実に来年の四月からは人間関係学部が新しく発足するということになります。それで、人間関係学部の発足と同時に、この共同研究機構というものを、「和光大学総合文化研究所」という名称で、研究所という形にしたいと思っております。

 それからもう一つ、来年は和光大学創立三十年という節目を迎えるわけで、新しい学部ができる、研究所ができる。そのほかいろいろ催しも計画しております。そういうわけで、来年は和光大学にとっては飛躍の年となるであろうというように思っておりますので、皆で頑張りましょうということです。

 それから、人間関係学部については、『和光大学通信』というものがあちこちに置いてあります。これは置いてあるのだけれども、なかなか滅りませんね。ということは皆さんが読んでいないということですけれども、人間関係学部についても説明してありますので、ぜひ手に取って読んでいただきたい。私などは活字魔ですから、駅を通って何か置いてあるとみんなもらってくるという癖があるのですけれども、どうか活字を嫌わないで読んでいただきたい。

 以上です。