和光大学総合文化研究所公開シンポジウム
和光大学総合文化研究所 公開シンポジウム

二つの世紀末と日本・アジア

1999年11月27日(土) 会場 和光大学 J―301教室
時間 13:30〜17:00 (開場 13:00)
主催 和光大学総合文化研究所
 
 和光大学総合文化研究所では、1995年の設立以来、私どもの大学にふさわしい独自な視点からの公開シンポジウムを開催してまいりました。五年目を迎えた今年度は、世紀の移り目を控え、上のようなテーマを設定しました。教職員、学生をはじめ、多くの市民のみなさんがご参加くださいますよう、ご案内いたします。
 
 21世紀を目前にして、今後の日本のあり方がさまざまに模索されています。今後の日本がきわめて密接に「アジア」と結びついたものであることは、広く合意されているところです。
 そこで、百年前の日本が進路の選択にあたって「アジア」をどのように捉え、どのような関係を構築しようとしたのか、その理念や軌跡をさまざまな側面から検討し、21世紀のアジアにおける日本の進路について考える機会としたいと思います。
 
 

問題提起
ディスカッション
懇親会       懇親会にも多くの方々のご参加をお待ちしております

 
大アジア主義思想から「大東亜共栄圏」論へ
原田勝正
 20世紀の終末にあたって、日本ではかつての侵略戦争について金銭のうえでも、精神のうえでも、「まとも」といえるような清算をしていない。むしろアジアにたいする経済的な「進出」の旗印をかかげ、アジアにおける経済的繁栄のためのリーダーを自任し、アジアの「盟主」を夢見る向きがきわめて多い。
 これをさかのぼっていくと、19世紀末からかかげられたアジア「解放」の目標とそれにもとづく行動綱領に行き着く。のちに大アジア主義と名づけられた100年前のそれは、現在のリーダー、盟主幻想の原型ないし祖型ではなかったか。それはアジアにたいする認識の裏付けを欠いたまま解放の使命感、盟主への志向をかき立てた当時の日本人の立場につらなる。しかもその解放の使命感や盟主志向は、近隣への侵略によって独立を保持し、「一等国」を志向する明治国家の進路を、アジアという地域に拡大して仮託したものであった。 そのようにして仮託された使命感は、1920年代に入って、アジアにおける民族運動が高まり、欧米とくにアメリカとの対立が深まると、なりふりかまわぬ侵略行動を正当化する粉飾形態をとって示される結果となった。「大東亜共栄圏」の「構想」はその現れであった。
 それは二つの世紀末の中間に咲いた解放・盟主幻想の徒花であった。敗戦によってその幻想は破れたが、アメリカの核の傘の下に身を置くことに転身した日本は、またもアジアの現実を認識する機会をつかむことをせず、あらぬ幻想を抱いたまま20世紀の世紀末に立ち到ったのではないか。幻想と現実認識との識別は、こうしてみると、日本人の意識・思想を通じて近代化の基本的課題ではないかとさえ思われるのである。
 
 
日本企業のアジア進出とアジア認識
山村睦夫
 19世紀末、日清戦争を契機として、日本企業の東アジア進出は次第に活発化してくる。そこでは、欧米資本や中国商人に対抗するため「アジア的共通性」が認識された。進出した日本企業(三井物産など)は、現地の商習慣の習得と内部化を経営戦略としていった。例えていえば、それは「脱亜」ではなく「留亜」を通じて東アジア市場進出を図るものであった。
 一方、これらの動きのなかからは、侵略的大アジア主義への傾斜も生まれていった。なぜ容易に大アジア主義に傾斜していったのであろうか。
 近年の日本企業のアジア進出と重ねあわせながら考えたい。
 
 
横浜華僑社会と二つの世紀末
伊藤泉美
 19世紀末、日本は条約改正をなしとげ、外国人の居住地域であった居留地が撤廃され、外国人との「内地雑居」が実施された。これと同時に事実上中国人を対象とする職業制限がなされ、横浜の華僑社会が特徴づけられていく。
 20世紀末の現在、横浜華僑は新たな課題を抱え、変化の時代を迎えつつある。第一は新華僑といわれる人々の増加による旧来の華僑社会への影響、第二は若い世代の日本人社会への同化が進む中で、今後どのように中国系人としてのアイデンティティを保持していくのかという問題である。
 
    
 <20世紀初頭の横浜中華街大通り>横浜開港資料館所蔵    (右)<現在の横浜中華街大通り>
(画面の背景画)<19世紀末の上海南京路>横浜開港資料館所蔵
 
 
原田勝正(はらだかつまさ)
1930年東京に生まれる。1953年東京大学法学部卒業。日本近代政治史、鉄道史専攻。現在和光大学経済学部教授。著書に『鉄道の語る日本の近代』(そしえて、1977年)、『満鉄』(岩波書店、1981年)、『日本の中国東北支配における鉄道の軍事的利用』(1999年)など。
 
山村睦夫(やまむらむつお)
早稲田大学大学院商学研究科修了。日本経営史・日本経済史専攻。現在和光大学経済学部教授。著書に『近代アジアの日本人経済団体』(共著)、「日本帝国主義成立過程における三井物産会社の発展」(『土地制度史学』No.73)など。
 
伊藤泉美(いとういずみ)
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科中退。日本華僑史専攻。現在横浜開港資料館調査研究員。著書に『横浜中華街』(横浜開港資料館、1994年)など。
 
 
■■■和光大学へのアクセス
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総合文化研究所 044―989―7478 / 学部事務室 044―989―7497
ホームページ http://www.wako.ac.jp/souken/  E-mail soukn@wako.ac.jp
(1999.11.15掲載)

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