レクチャーコンサート「ネパール尼僧 アニ・チョイング・ドルマ 尼僧の歌声」

レクチャーコンサート「ネパール尼僧 アニ・チョイング・ドルマ 尼僧の歌声」

文章:岡本Malla有子

(和光大学非常勤講師/ネパール舞踊研究家/ネパールレストラン天空の舞い経営/和光大学卒)



左から、岡本Malla有子さん、アニさん、司会の加藤巌准教授


チベット系ネパール人、カトマンズ生まれのアニ・チョイング・ドルマさんは、尼僧であり仏教の詠賛歌やヒンズー教の真言を歌うアーティスト。近年世界各地を回り高い評価を得、ネパール国内で圧倒的な支持を得ている時の人です。奇しくも日本・ネパール国交樹立50周年のこの年に、在日ネパール人協会が招聘した幸運に恵まれ和光大学で初来日ライブが実現しました。

この日は平日だったにも関わらず、多くの聴衆が集まりその美しい歌声に聴き入りました。質疑応答では尼僧である彼女に精神的な質問も飛び出し、言葉を選び誠意を持って話すその答えに目を潤ませる学生もいました。アンケートの中には、昔から受け継がれてきたものを現代人に受け入れられるようアレンジすることへの批判もありましたが、この混沌とした世界で彼女の歌声にどれだけの人が心打たれているでしょう。

彼女は言いました「私はこの声を神から授かりました。歌い伝える事が私の役目だと思っています。」と。尼僧たちの多くは不幸な家庭環境で育ち、男性の僧侶とは違って教育を受ける機会がなかった女性です。アニさんはアーティスト活動で得た収益を尼僧のための学校に注いでいます。親を亡くした子、ひどい仕打ちを受けた子、20歳で彼女の学校に入るまでペンというものを一度も握った事がなかった子など、多くの子供や女性が救われています。彼女自身、幼少期に父親から虐待を受けていたのです。「子供にとっての最初の先生は母親です。女性がもっと教育を受けることができさえすれば、おのずと子供たちも発展するのです。」そうアニさんは言います。

いつまでもお元気に活動なさって、私達にまた是非歌声を聴かせて下さい。

『プルコアカマ(花の瞳に)』(訳:岡本Malla有子)
花の瞳には 花の世界が見える
棘の瞳には 棘の世界が見える
明け方の光がさす 影と風の合図と共に
心が澄明でありますように
私の言葉が目覚めますように
私の足の裏で小さな命を死なせませんように
素晴らしい目にははっきり見えてくる 素晴らしい世界が
皎々と照る月 月明かりが見えている暗い夜に
人生の歌を聞いている私は
枯れた葉のよう
清らかな心には見えてくる
清らかな世界が
明け方の光がさす 影と風の合図と共に
花の瞳には 花の世界が見える
棘の瞳には 棘の世界が見える

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