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| 〜はや「師走」ですね〜 とうとう「師走」、年の瀬も押し迫ってきました。文字通り、我々教「師」が「走」りまわる忙しい季節でもあります。多くの人は今、2学期末考査の時期だと思います。中高最後の定期試験という人も多いのではないでしょうか。入試を心置きなく迎えるためにも、追試や赤点になんかにならないよう、しっかり頑張って下さい。 〜英語で内容を理解する努力〜 みんなも英語を勉強して6年近くになるわけですが、飽くまで英語は「手段」として学んでいることを忘れないで欲しいと思います。私自身は「英語学」や「英文法」ということが研究対象であるので、その意味では英語が「目的」でもあるわけですが、みんなは英語という言語を「媒体」として、世界の人々とコミュニケーションをはかったり、文化や思想を理解したりするための「英語」であるはずです。(もちろん今は学校の授業にあるからとか、受験で必要だからという気持ちが先に立つでしょうが、それだけでは発展性がないと思いませんか? 今は心に余裕がないと思いますが、今回の号は敢えてこういうトピックを書いてみました。) 本来、文法は文法問題を解くためのものではなく、英語を書いたり読んだりするためのものです。また、英文を自分で日本語に訳しているのに、何を言っているんだかわからないということはありませんか? 「英文を読むときは、いつも全体として何を言いたいのか、主題は何なのかを考えて英語を読むクセをつけて欲しい」と思います。(前にも書きましたが、部分を正確に訳す「精読」の力と、全体の要旨を把握する「多読」の力は両方必要です。) こんなことを偉そうに書いている私自身、大学の教員になった今でも要旨がわからず読むことがしばしばあります。大学3年の時、3・4年ゼミナール(歴史言語学がテーマでした)で当たって訳した時も、「野村君、(テキストの内容が)何言ってるかわかってんの。ただ日本語に訳したってダメなんだよ!」と指導教授に怒られました(その場面を見た人はかわいそうにと思ったかもしれませんが、その先生は私のためを思っていってくれたことでした)。 また、1998年くらいだったか、ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)(=生成文法理論の創始者、現代の言語学者の中で一番有名な人)という人のThe Minimalist Program(日本語に訳せば『極小主義プログラム』)という本を、みんなで毎週3時間くらい読書会をしていましたが、難しくて訳しても何言っているんだか、よくわかりませんでした。それでその時は、自分が英語ができないからわからないのか、理論についていっていないから理解できないのか、わかりませんでした。ところが、その年に翔泳社という出版社から『ミニマリスト・プログラム』(外池滋生・大石正幸監訳)という日本語訳が出版されました(確か7,800円+税だったと思います、貧乏学生には高いなあと思いました)。これでやっと内容がわかると思ったものの、結局、十分にはわかりませんでした。「俺は英語も理論も両方わからないんだあ」と二重のショックを受けていました。 やはり私もみんなも努力が必要です。 〜英語あれこれ〜 たまには受験を外れて教養になる英語の知識を。シェイクスピアの『ハムレット』の中に出てくる、ある意味、世界で一番有名な台詞、知っていますか? そう、以下の台詞です。 To be or not to be; that is the question. この台詞の日本語訳はこれまでたくさんの人によってなされてきました。代表的なものを以下に挙げます。(覚えておけばちょっとした知識人!?) (1)「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」(一番一般的な訳?) (2)「生か、死か、それが疑問だ」(福田恆存、1967年) (3)「死ぬるが増しか、生くるが増しか、思案をするはここぞかし」(外山正一、1882年) (4)「世に在る、在らぬ、それが疑問じゃ」(坪内逍遥 、1909年) (5)「生きるか、死ぬか、そこが問題なのだ」(市河三喜・松浦嘉一、1949年) (6)「やる、やらぬ、それが問題だ」(小津次郎、1968年) (7)「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」(小田島雄志、1972年) 『ハムレット』の内容からすると、@生か死か、A復讐をすべきか、Bこの状況のままでいていいのか、の3種類に大別される気がします(私は専門家ではありませんので断言はできませんが)。それで、(7)の小田島先生の訳なんか、出た時、みんななるほどと思ったのではと想像するのですが、青山学院大学のThomas W. Dabbs先生というShakespeareがご専門の先生といつかこの話になったところ、(4)の坪内訳(最初にShakespeare全作品の翻訳に取り組んだのは坪内逍遥です)が一番いい日本語訳だと言われました。それもなるほどと思いました。ダブズ先生のコメントは以下のようなものでした。 The best translation below that I see is Tsubouchi Shoyo, because it is the most abstract. Hamlet is not talking specifically about one thing (death, revenge, his current condition) but about the value of being (should we even exist at all). Highly philosophical at this point in the speech, and in keeping with Hamlet's educational background in Germany. He becomes more specific later when he does talk about death, revenge, and his current condition, but not in the "to be or not to be" line. みんなも大学に入ったら、暗記中心の受験勉強から離れて(でも受験勉強でやったことは決して無駄になりませんから)、ぜひ自分が興味あるテーマを探求して欲しいと思います。 もう少しで冬休みです。頑張って下さい。 のむら |