教職員から |  2019/04/10

共通教養教室・総合文化学科教員の上野俊哉先生が翻訳したグレアム・ハーマン著『非唯物論:オブジェクトと社会理論』が刊行されました。

みなさま、是非お手にとってご覧ください。




『非唯物論:オブジェクトと社会理論』 



 著:グレアム・ハーマン 
 訳:上野 俊哉
 出版:河出書房新社


 十年ほど前から哲学や存在論の新しいパラダイムとして「オブジェクト指向存在論」(OOO)や「思弁的実在論」(SR)という理論が注目されています。ハーマンはこの潮流の牽引者の一人ですが、本書では社会理論(社会学や人類学、歴史学など)への応用が検討されています。小さな本ですが、第一部では「アクター-ネットワーク・セオリー」や「新しい唯物論」(NM)(また従来の唯物論)との比較がなされ、第二部ではオランダ東インド会社の歴史と活動が、この理論を駆使して論じられています。

 本書のキーワードは「共生」です。ただし、人間どうしの共生ではなく、人間以外のモノ(組織や道具、機構)たちの間の共生が、必ずしも望ましくない帰結や事態を含めて検討されています。ヒューマニズム(人間主義)のもとに「共生」を謳いあげるのではなく、非人間(人間以外のモノ)の視角から「共生」を考えるという試みです。

 解説では本書そのものより、ハーマンの哲学の総体的な可能性を日本の文学(石牟礼道子)や哲学(井筒俊彦)などとの関連で説明しています。

 今後の「人間科学」にとって、「非人間的転回」(non-human turn)という発想のひねりはますます大事なものになっていくはずで、このことは和光大学での教育や研究でも展開していくつもりです。


上野俊哉




【河出書房新社 作品紹介ページ】


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