教職員から |  2018/05/30

総合文化学科の上野俊哉先生より、遠山啓研究会への呼びかけ/誘いが届きました。

ご関心のある方は、是非ご参加ください。



 かつて公立の小学校や中学校で「水道方式」と呼ばれる、文部省(当時)検定による教科書を使わないで算数や数学を教える運動がありました。数学者、遠山啓がはじめた教育運動です。今、和光生の四〇代から五〇代の保証人や家族のなかには、算数や数学の「水道方式」をはじめ、理科の仮説実験授業など、検定された教科書や学習指導要領とは異なるオルタナティヴな教育実践にふれた方々も多いのではないでしょうか? 

 少なくとも、もし「教育の和光(大学)」というキャッチフレーズがあるとすれば、それはこうした公教育批判の運動や教育実践と無縁ではなかった歴史があるからでしょう。

 1970年代、遠山は毎年、軽井沢の自分の別荘に「落ちこぼれ」や「勉強嫌い」の子どもたちを集め、数学や理科、英語などを教える塾を実践していました。また、エリート路線から降りた大学生たちをチューターにして、学校嫌いの中学生たちを相手に「カオスの会」と題する勉強会も行なっていました。数学教育協議会の運動や雑誌「ひと」の編集、八王子の障害者の学校で教えるなど、様々な教育実践を繰り広げていた彼の七〇年代半ばの試みでした。

 『競争原理を超えて』や『かげかえのない、この自分』など著作も有名なものが多く、文芸批評家の吉本隆明に圧倒的な影響を与えた数学者としても知られています。上野は勉強嫌いの中学生時代に「遠山塾」や「カオスの会」に参加する機会をえて、ものを考えたり、様々な本を読んだりすることの愉しみにみちびかれました。遠山啓との出会いは、自らの学び(逸れ)の水源をなしています。

 この数年、各地の教育学系の研究会や教研集会などを参与観察していてわかったことは、教師を目指す若者たち、教職課程で学ぶ学生たちが奇妙な「息苦しさ」や「つまらなさ」を感じているという現実でした。

 そうした現下の状況をふまえ、遠山啓の教育実践や思想をふりかえる研究会をはじめたいと考えています。まずは友兼清治さんの『遠山啓:行動する数楽者の思想と仕事』(太郎次郎社エディタス)を読むことからはじめます。和光大学で開催するか、あるいは都内の便利な場所で行なうかはまだ決めていませんが、関東近隣の教育学の研究者や現役の小中の教師などにも声をかけはじめています。
   
 和光大学において戦後の民間教育運動に関心をもつ学生や研究者のみなさんにも、ここでぜひ参加を呼びかけたいと思います。

 興味のある方は上野俊哉にコンタクトしていただければ、と存じます。


共通教養教室/総合文化学科  上野俊哉
 

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