教職員から |  2016/11/25

総合文化学科の上野俊哉先生が新著『四つのエコロジー フェリックス・ガタリの思考』を刊行しました。



『四つのエコロジー フェリックス・ガタリの思考』 
(河出書房新社 )



 フランスの思想家、活動家であったフェリックス・ガタリの思考の営みをたどる本です。
 ガタリ晩年の「三つのエコロジー」(自然、社会、精神のエコロジー)や「エコソフィー」(環境哲学)について情報やメディア環境の視角を加えながら考察しています。
 
 ガタリは医者ではなかったけれど、生涯、一種のソーシャルワーカーとしてラ・ボルド・クリニックという病院で精神病の人たちと生活しながら働いていました(本書には筆者がラ・ボルドを二回訪問したときのことも書いています)。

 「詩や文学を読むことが経済や社会のことを考えるためには大事である」「心の専門家だけに精神の病や困難をまかせてはおけない」「美的なものから環境をとらえかす」「自然や環境、欲望や情動をたくさんの機械状の仕組みとして見つめる」・・・・こうしたガタリの思考から、発達障害や自閉症スペクトラム、原発事故と事後の汚染、情報と経済の結びつき、科学や芸術におけるカオス(混沌)の意味など現代の様々な問いに横断的に切り込んでいく姿勢を学んでいます。

 エコロジー(生態学)は自然を「とりもどす」議論ではなく、あらゆる場面に環境系を、またカオスの意味を見いだしていく思考である、このことをガタリの文章の細部から読みこんでいます。 

 六月に出した、思弁的実在論についての入門書の翻訳『モノたちの宇宙』とも重なりあう中身ですし、いろいろな学問の専門領域を不思議な仕方で横断していくガタリの歩みから、何かの種子を受けとってもらえれば、と思います。

                                    上野俊哉



みなさま、ぜひお手に取ってご覧ください。

【河出書房新社 作品紹介ページ】


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