教職員から |  2015/10/26

10月13日(火)に、総合文化学科キャリア支援行事が行われ、
総合文化学科の学生5名が東京創元社を訪れました。
酒寄先生と参加学生のコメントが届きましたので、ご紹介いたします。

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総合文化学科キャリア行事 東京創元社訪問しました。
さる10月13日(火)、東京創元社編集部の厚意で、編集の現場を見学することができました。
参加した5名の学生は、編集作業のイロハを知る機会を得て大いに刺激になったようです。
参加学生たちからも、熱いコメントが届いている。いくつか、ここに紹介します。

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東京創元社見学報告

 東京創元社さんの見学では改めて編集者という仕事を学びました。私は卒業後に編集者の道へ進むことを志望しています。そのため前もって何冊か編集業界についての書籍を読んで、少しは知識を貯めておいていたつもりだったのですが、今回の見学でそれは霧散してしまいました。
 まず、見学の担当者である佐々木さんのお話は書籍企画の考案の仕方から始まりました。佐々木さんは編集者が企画を一つ提案するなら購買層を見ながら作品を選別し、さらに作品が定着したジャンルの場合は既出の作品との違いを意識しなければならないと仰います。確かに購買層は会社ごとに十色ですし、長いスパンで会社の販売を維持するためには似たような作品ばかりであると読者は飽きてしまうので、作風の入れ替えは重要です。
 次に校正や装丁の作業の説明になりました。佐々木さんのお話では校正段階での作業は文章の誤植の発見や作品の整合性の一致、原文に対応させたフォントの変更が中心になるといいます。――佐々木さんはこれを「文章を整える」と仰いました――しかし興味深かったのは私が編集者の業務外と思っていた作品のあらすじ・登場人物表の作成、表紙のイメージをイラストレーターやデザイナーと考案する、また宣伝のために広告・SNS・ウェブサイトで情報発信することまでも編集者が行い、さらにそれを何作も同時並行的に進行させるということでした。
 お話の後半では就職関連の話になり、就職する仕事の選び方や企業の特色を見出すコツ、面接への姿勢などが話題に挙がり、中でも編集者は日常のあらゆるモノに目を配り、決して好奇心を捨てないように心掛けているという佐々木さんのお言葉にいままでのキャリアイベントでお会いした編集者の方たちも同様のことを仰っていたと思い出しました。やはりこれは編集者という存在の根底に広く横たわっているのだと思います。
(総合文化学科4年K・M)

 中学生の頃、大人向けミステリに興味を持った私の目は自然と東京創元社に向かった。そこからはどっぷりだった。ウェブサイトの近刊案内を熟読し、絶版本を求め神保町の古本屋に行ったり、毎年開催される神保町の本まつりで東京創元社のワゴンをあさったり。
 そんな憧れの東京創元社に訪問できるなんて、我大学生活に悔いなし、とまではいかないが、和光入ってよかった!ぐらいの気持ちだった。そして当日。人生初の夢見心地というものを経験しながら着いた東京創元社。入ってすぐの所に新刊が並べられていたが、物色する暇もなくエレベーターで4階へ。そこで迎えてくれたのは本関係のイベントで何回かお顔を拝見している、佐々木さんだった。
 まずは、編集の大体の流れを聞く。単行本で出すか、文庫本で出すかの決め手はジャンルがはっきりしているかどうかで、また版権が高いと単行本で出してから文庫化し、利益を出すようにする、というのに膝を打つ思いだった。これからはどんな形で出すのか、というところまで編集の意図を推測して本を読んでみようと思った。諸々のお話を聞き、編集者の仕事とは校正からスケジュール管理、イベントの準備まで、人と人とをつなぐことなのだなと実感した。
 その後の就職に関するお話は、一年生ながら胸にグサッとくるものがあった。佐々木さんが入社した時は百人受けて一人しか採用されなかったと聞いて、改めて現実の厳しさを思い知らされたし、“自分はこれだけに興味がある、というのが一番ダメ、しかし、自分の持ち味は意識すること”という言葉だ。これを私は「自分をしっかり持ちながら、視野を広く保つ。」ことだと捉えた。と、捉えるまでは良い。だが、私はこれを実行することが今はまだできない。そのことを知れたという意味でも今回の訪問は私にとってとても意義深いものだった。
 そこで座談は終わり、社内を見学させてもらうことに。編集部も興味深かったが、やはり目玉は書庫だった。本好きならば心を奪われずにはいられない、まさに宝の山!一週間籠っても飽きないだろう。こっちに『ミステリマガジン』があるかと思えばあっちには『創元推理』があるという具合。古い創元推理文庫の棚の前ではその芳しい本の香りを胸一杯に吸い込み、殆ど何だかわからない原書の棚ではネレ・ノイハウスを見つけ興奮した。
 こうして見学は終わり、最後にはくらりの付箋と佐々木さんが担当した本のプレゼントもあり、大満足の東京創元社訪問であった。ぜひまた足を踏み入れたい。
(総合文化学科1年S・M)

 10月13日、東京創元社において翻訳本の出版担当をされている佐々木さんから沢山のお話を聞かせていただきました。
 印象に残ったのは「本は翻訳されても、すぐに出版されるわけではない」というお話です。翻訳された本は編集者や校正家の念入りなチェックがだいたい三、四回ほど入った上で印刷されるそうです。チェックにかかる日数は翻訳本によって様々ですが、一カ月程度かかることを見積もっていらっしゃるということでした。この期間は「本を読みこむ作業期間」であると思われます。単なる字の間違いだけでなく、話の矛盾や言葉の言い回し、通りや動植物の名前などに間違いがないか一つ一つ丁寧に調べながら読まれるそうです。このチェックのお話を聞いて、私は酒寄先生のゼミで行っている「本のレジュメ発表」を思い出しました。私たちゼミ生は一冊の本を熟読し、毎週担当者を決め、決められた章の発表を行います。一冊の本を熟読することを始めてゼミで行った私は読書の楽しみ方は何通りもあるのだということを新しく知ることができました。「自分たちが大学で行っている作業の延長線上になりうるお話かもしれない!」と、私は佐々木さんのお話にわずかながらの共通点を見いだし、心の中でひそかに胸を躍らせていました。
 また、佐々木さんが「仕事の醍醐味は本来なら出会うことのない外国の本を日本の読者に届ける手助けができること」と話されていたことも印象に残りました。今後は、翻訳された本を「ストーリーを楽しむ」だけでなく「その本が翻訳されるまでに至った理由となる出版に携る多くの人たちの熱い想い」を自分なりに解釈しながら読みたいなと思いました。
(総合文化学科4年S・Y)

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