教職員から |  2015/06/15

酒寄進一先生から、総合文化学科のキャリア支援行事「福音館書店へ行くぞ!」
に参加した学生のコメントが届きましたので、ご紹介します。

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さる5月28日(木)、福音館書店編集部のご厚意で、編集の現場を見学することができました。
参加した5名の学生は、編集作業のイロハや絵本の原画などを見る機会を得て大いに刺激になったようです。

参加学生たちからも、熱いコメントが届いている。いくつか、ここに紹介します。

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福音館書店見学報告
 今回の見学は編集者さんとのお話が弾みに弾んであっという間に過ぎた有意義で賑やかな時間だったと思います。編集者さんには編集業務の内容の説明だけではなく絵の原画を丁寧に一枚ずつ見せていただき、また編集の仕事でのエピソードを数多く紹介していただきました。
 特に童話セクションのマツモトさんが話された本をつくる上での人のつながりについての話題が印象的でした。マツモトさんは作家や挿絵画家などの本に携わる方たちとの交流談をまじえながら「出会いは緊張する、だけど面白い」と話し、さらに「その出会いは引き継がなければならない」とも話されました。この言葉が頭に強く残っています。自分だけの点と線はたしかに重要だと思います。しかしそのつながりは自分だけが所有しているのでは次の世代に残せません。人のつながりは蜘蛛の巣のように広がった上で、らせん状に築いていくものだという考えがふと帰りの道中で浮かびました。編集者を目指す自分としてはこのことは肝に銘じて日々を生きなければと思います。
 他にも「本」についてのモノ性や絵本の役割など魅力的なお話が聞けました。またこれからも後輩たちに向けて今回のような催しが続けばいいです。方々に広がるらせんがつくれるように。
(総合文化学科4年S・K)

総合文化学生この指とまれ。福音館書店へ行くぞ!報告書
私は、編集者の仕事ってどんなものだろうくらいの気持ちで参加したのですが、そんな気持ちを吹き飛ばす編集者さん達のパワーに圧倒されました。
『うさこちゃん』シリーズを担当した編集者の方は、独特な色を印刷する苦労を話し、自分にとっての『うさこちゃん』は今のではなく子どもの頃読んだ『うさこちゃん』なのだ、と本のハードとしての重要さを話してくれました。また、『ごはん』という絵本を担当した編集者の方は絵本も食べ物の様に、これから大きくなる子供たちの未来に向かう力になるよう、いい素材をどう食べてもらうかを考えている、と話してくれました。3時から5時までの予定で、この時もう終了が迫っていましたが、この後の編集者さんがすごかった。すでに退職されていて今は嘱託で働いているベテラン編集者さんは、現在担当している本を出版するまでの紆余曲折など、様々なことを話してくれましたが、一番心に残ったのは、この仕事は子どものために体を張る事が出来ないといけない、という言葉です。普段何気なく読んでいる本を現場にいる人はこんな思いを持って作っているのだと、とても感動しました。
今回印象に残ったのは、話を聞いた3人の編集者さんのそれぞれが、「本のモノとしての実感」と「子どもが読むものだからこその責任」を大切にしていたことです。
結局、予定より2時間過ぎて終了しました。得たものはとても多く、かならずや将来自分の糧になるだろうと思いました。
(総合文化学科1年M・S)

福音館書店ご訪問
5月28日、私たち学生は福音館書店にご訪問をさせていただき、普段聞くことのできない編集者の方々のお仕事を、ぜいたくなほどに沢山聞かせていただきました。
特に印象に残ったのは、「絵本は子どもに舞台を見せるわけじゃないのよね、舞台に自分たちが出演してもらわないとダメなの。つまり、自らの力でページを開いてもらわないと話が先に進めないのよ。」というお話です。そのためにも、良書にこだわって出版を行っている編集者の皆さんの熱いお気持ちをひしひしと強く感じました。これは、想像の世界だけでなく、現実の世界においても同様です。そして子どもたちに良書を手に取らせるという作業は、編集者の皆さんだけでなく、私たち大人にも課せられるべき仕事ではないだろうかと思いました。また私たち大人は、良書の確保だけでなく、子どもたちに良い本を読める環境を与え、本をどうやって読むべきか、手ほどきをしてあげる必要もあります。そして、それをきっかけに子どもたちに新しい世界を創造してもらうのです。
現在、本を読む子どもが少なくなってきていると言われています。このままでは、知的格差のある社会ができてしまうかもしれません。そのような社会にさせないためにも、将来、本と人を繋ぐ仕事に携わりたいと、気持ちを新たに、改めて思った大切な一日となりました。
(総合文化学科4年Y・S)

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訪問当日、協力してくれた名物編集者が、学生たちに向けて文章を寄せてくれました。
一編集者の意見として、読んでもらえるとありがたいです。
 

 長い時間、熱心に話を聞いていただき、ありがとうございました(疲れたでしょう?)。5人それぞれに興味・関心の方向はちがっているけれども、みなさん「学ぶ」ことに対して真摯であることが感じられ、嬉しく思いました。
 現今、文学部廃止論がさかんなようです。曰く「役に立たない」。あのなー、役に立つことばかりやってどーすんだよ! 第一、「役に立つ」って、何の役にだよ! と、吠えたい気分になってきます。人間ってなんなのだろう。私たちはどこから来てどこに行くのだろう。……そういうことに思いを致さない人生って、生きるに値するのか!? と、またまた吠えてしまう。
 私たちの在学時、「産学協同」とは、「悪いモノ」の代名詞でした。大学が、体制のために奉仕する存在になってどうするんだ! 日本を好きなように牛耳る産業界・財界と癒着するな! というわけです。それが今は、「実学」(ほんとうは意味が違うと思うけど)の価値ばかりをうたい、「めんどうみ」「就職の世話」の細やかさをウリにする大学がゾロゾロ。いっぽうで、御用学者(これだけたくさんいるとは!)が、学問の名の下に支配者たちの悪事を擁護し隠蔽し、弱者切り捨てに手を貸して恥じるところがない。……こんなことだと、いずれは「産軍学協同」でもって、金持ちの延命のため貧乏人を動員して戦争に突っ走ることになりそうです。
 ――出版という仕事の端っこにいると、そんなことが見えてしまいます。見えたものを見なかったふりはできません。今だって私は子や孫にひどい未来を残すことに加担しているのに、この上罪を重ねるのはいやだ、と思わざるをえません。
 みなさん、ピュアな頭と心で徹底的に学んでください。そして、学んで得たところを何かの形で社会に投げ返してください。去りゆく老兵のお願いです。なんちゃって。
失礼しました。
(福音館書店 童話第一編集部 T・M)



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