教職員から |  2014/04/11

経済学科の加藤巌先生から「ボルネオ便り」が届きました。
今回は「マレーシア初のコミュニティラジオ局」を訪れた時のお話です。
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こんにちは、経済学科の加藤巌です。今日は、以前にマレーシア国立サラワク大学との共同調査で訪れた東マレーシア(ボルネオ島)のバリオ(Bario)のことをお話ししましょう。

ボルネオ便り13でもご紹介したとおり、バリオというのは、ボルネオ島サラワク州の山間部にある村です。ここは、少数民族クラビット族の居留地として知られています(住民数は1000人だそうです)。
ボルネオ島の観光案内番組などでは、耳たぶに大きな穴をあけて、そこに重たそうなイヤリングをぶら下げている人々を紹介することがあります。かれらがクラビットの人々です。



▲クラビット族のおばあちゃん。穴を開け長く伸ばした耳たぶにイヤリングをつけていますね。

男女ともに大きなイヤリングをつけています。村では、肩まで垂れる長く穴のあいた耳たぶを持つおばあちゃんたちに出会いました。
クラビットの(結婚した)女性たちはその両足へ独特の文様の入れ墨を入れることでも知られています。しかし、こうした風習はいまの若い人には引き継がれていないようです。

さて、バリオの小さなラジオ局を紹介しましょう。2011年秋、クラビット語のコミュニティラジオ局が誕生しました。
僕が訪問した日には、壁に「開局59日目」と手書きで書かれていました。ここは、マレーシアで初めて出来たコミュニティラジオ局だそうです。

Connie Aping Trang(コニー・アピン・トラン)さんという女性が対応してくれました。
彼女の名前は最初がクリスチャンネーム、真ん中がクラビット名、そして、最後は父親の名前だそうです。

彼女は35年間サラワク州で学校教員を勤め、退職後に故郷に戻って、コミュニティラジオ局のボランティアスタッフとして働いています。
彼女を含めて7人(男4人女3人)のスタッフがいます。Connie(コニー)さんがどうやらリーダー格のようです。僕の訪問時には、スタッフの最高齢者は65歳、一番若い人は33歳とのことでした。

Radio Bario(ラジオ・バリオ)の周波数はFM94.00です。
電波の届く範囲は10km四方とのことでした。将来的には中継局を作って45kmまで広げたいとのことです。

いまは、主として地元のニュースをクラビット語で伝えています。もちろん、音楽もよく流します。高齢者向けには地元の歌やスピリチュアルな歌を、一方、若者向けにはロックやカントリーソングなども流しているそうです。

僕が訪れた際には「日本から大学教授がやって来た」ということで、日本の曲を流してくれました。局にあった唯一の日本製CDを2日間にわたって、流してくれたのです。
さて、そのCDとは何だったと思いますか。コニーさんも、「なぜ、このCDがあるのか知らない」そうです。

来歴がなぞの日本のCDは、実は、平井堅さんの歌う「(おじいさんの)大きな古時計」でした。コニーさんいわく、「歌詞は分からないけれど、素敵な歌ね」だそうです。今回は、もしかすると、「大きな古時計」が「日本を代表する歌」と思われたかも知れませんね。

ラジオ・バリオの評判はすこぶる良いようです。
クラビットの人々の歴史や来歴を紹介することで、地元の誇りにもなっているようです。もちろん、そこには、失われつつある言語と文化を残したいとの願いも込められています。

将来はインターネットのラジオサイトなどにも登録したいとのことです。そうすれば、世界中に広がっているクラビット族の人たちの結束にもつながると、コニーさんは語っています。

頑張れ、ラジオ・バリオ!


▲ラジオ・バリオのコニーさん

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