教職員から |  2012/05/08


2006年に表現学部の上野俊哉先生のゼミで共同研究員として学ばれていた
マーク・スタインバーグさんが、
『Anime's Media Mix:Franchising Toys and Characters in Japan』を出版されました。

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上野先生から本書の紹介が寄せられましたので、ご紹介します。

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お菓子のおまけのステッカーの「アトム」や「ビックリマン」のシールの
キャラクターたちを「研究」すると、何が見えてくるでしょうか? 

そうした現象や事例も大学では研究や勉強の対象になりえます。
2006年に私のゼミで9ヶ月間、共同研究員として学び、
今はカナダのモントリオールのコンコルディア大学で
映画研究やメディア研究を教えているマーク・スタインバーグさんがはじめての著作、
『Anime's Media Mix:Franchising Toys and Characters in Japan』を
ミネソタ大学出版局から刊行しました。

本の中身は、ずばりメディア・ミックス(複数のメディアにわたって展開される表現や商品流通)
を主題とし、文化研究とマーケティング論、さらに映像研究にまたがる意欲的な仕事です。

『鉄腕アトム』をはじめ日本のアニメのキャラクターたちは、
お菓子のおまけやステッカーのかたちでも日常生活に広がっていき、
キャラクターたちじたいが一種の「環境」を形成してきました。
その経緯を豊富な実例のデータ記述と、鋭利な理論で分析した仕事です。

ある時期、ある段階から資本主義は「モノを生産する」だけでなく、
「情報や記号を生産する」ようになります。
キャラクタービジネスや、マンガ、アニメ、映画、音楽など多ジャンルにわたって
繰り広げられる「メディア・ミックス」が生活のすみずみにいきわたっていくと、
今度はそうしたビジネスや流通を通して「情報や記号をあつかう環境じたいを生産する」
「特定のモノが売れるような環境じたいを作りだす」ようになっていきます。
その過程が、ここでは緻密に論じられています。
本書ではアトムやビックリマンとならんで、
角川の出版/映画事業のメディア・ミックスが大きくとりあげられていますが、
よくある文化研究やマーケティング論より、一歩も二歩も踏みこんだ内容になっています。

偶然ですが、やはり本学の卒業生である町田忍さんの仕事にもふれている部分があります。

こんなふうに和光大学表現学部は、
国境や学問の境界をこえた研究/教育活動にいつも開かれています。

総合文化学科  上野 俊哉


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