学長のコトバ |  2011/06/07


誰もが一度はお世話になったと思いますが、
受験雑誌『蛍雪時代』で有名な旺文社から、
東日本大震災で被災された高校生を励ます言葉を寄せて欲しいという
全国大学の総長、学長宛にメッセージの依頼がありました。
タイトルは、「苦難と向き合う高校生の君へ 震災から未来を拓け!がんばれ高校生」です。
3月の震災で、家族を失う、家を失う、学校を失う、友達を失う、
さらに希望を失いかけている高校生は何万、何十万にも及ぶと思います。
そのような高校生に、希望を無くさないでください、
大学へ来ていっしょに勉強して未来を築きましょう、と声をかけ合いましょう、
励ましましょう、ということです。

始めのうちは、これはいい企画だ、どんな言葉がいいだろう、
高校生の心に響く言葉は何だろうと考え出しました。
もちろん表現力はそれほど持ち合わせていませんから、
たくさん浮かんでくるはずもありません。
「希望」、「明るい未来」、「がんばろう」とか考えました。

でもそのうちに、何となくですが、
もっとほかに彼らにかけるべき声があるのではないだろうか、きっと何かある、
そのような思いが、頭から離れなくなりました。

正直言って、たいへん悩みました。私ひとりではないと思います。
もちろん学長として、ひとりでも多くの若者が、苦難を乗り越えて、
希望に満ちあふれて大学の門をくぐり、共に学問の何なるかについて
議論を交わせることにこれ以上の喜びはないでしょうし、
これ以外に大学の責任者としての学長が望むことはありません。
どの学長先生達もそう思うに違いありません。
そのために各大学では奨学資金や受験が不公平にならないように
機会均等を心がけた受験の準備をしています。
そういう大学としての機関というよりも、ひとりの人間としてここはひと言、
あるべきでないだろうか、そんな思いも出てきました。

全国の総長、学長先生方の言葉は、確かに、思いが深いと思いました。
ただ、そこに至るまでにはストレートではないはずです。
自分では、彼らに対して何もしてあげられない。
あげられないなんて、上から目線です。
ボランティアにもいけません。募金だってそれほどできません。
学長としての自分、そのような大それたことではなく、
一個の人間として素直になれば、
「自分の人生なんだから、自分で決めるしかないだけだ」ということ。
現状に対して、素直に向き合うしかない。最後は自分で決める。


「自分の信じる道に正面から向いあうこと。」


結局のところ、自分はこのような言葉を書きました。
上手くはありませんが、旺文社のホームページで見ることができます。
自分自身、ひとりの教員として、研究者として、ほんとうに信じる道であったのか、
正面から向かいあったか、ここまで来てやっとたどり着く問いです。


今、和光大学で学んでいる学生諸君は、自分の信じる道を進んでいますか。
正面から向かいあっていますか。
一年生諸君も大学に慣れてきた頃でしょう。毎日、だらだらと過ごしていませんか。
4年間はあっという間です。
就活生は、自分と向き合っていますか。
すべての道は自分を観ることから始まります。


最後に、このホームページを多くの高校生もご覧になるでしょうから、ひと言お願いです。
そろそろどこの大学もオープンキャンパスが始まって、来年度入試が本格化します。
高校3年生にとってはまさに、将来どうするか決めなければなりません。
進学であるなら、どの大学を受験するか決めなければならない時期が来ました。

その時に、

「友達が行くから、僕も行く」
「先生がここへ行けと言うから、僕は行く」
「みんなが勧めるから、僕は行く」

このような決め方はやめましょう。
「自分が決める、」ということです。
少なくともそれが正面から向かいあう一歩であると考えます。

学 長  伊東 達夫





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