教職員から |  2010/07/21


上野俊哉先生(総合文化学科)が、『思想家の自伝を読む』(平凡社新書)を出版されました。
そこで、上野先生に今回の本についてお話しを伺いました!

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○久しぶりの著作ですね?

上野 そう、『アーバン・トライバル・スタディーズ』(月曜社)から5年も経っちゃった。その間、翻訳は二冊ほどやったけど。


○思想家の自伝をあつかうというコンセプトはどこから来たのですか?

上野 序章にも書いたとおり、何で最近の学生さんは「自分」に関心があったり、「自分探し」に躍起な人が多いのだろう?と。自分のことなんか考えたら、そりゃ誰だって「オレ/アタシはダメだなあ」と思いはじめて落ち込むに決まっているのに。要するに、若者の気持ちのさっぱりわからない不良中年の立場から、自分なんか探したって、どこにもないぞ、そんなヒマあるなら他人の言葉に身をさらしていく方が精神の健康にいいぜって話なの。和光大学で岸田秀先生や安永寿延先生に教わったことも、あちこち出てくるので、昔の和光大学の雰囲気についても書かれているよ。


○欧米から日本まで、一人の思想家が選ばれていますが、どんな基準で?

上野 昔から読んできた著者たちの仕事のなかに、結構、自伝ジャンルの仕事があるなと思ってはじめてみたの。そもそも和光大学人文学部人間関係学科の卒業論文であつかったのがルソーだったし。そもそもルソーは『告白』とかいろいろ自伝を書いていた。
 この本を書くきっかけは2006年にやった「自伝を読む」という講義。本当は、この倍くらいの人数の自伝を読み、ノートももう一冊分くらいある。


○こういう本はどれぐらいの時間で書くのですか? 

上野 うーん‥‥今回は半年ちょっととも言えるし、実はこの間のゴールデンウィークに「エイヤっ!」って仕上げたと言えるところも。書いちゃってから寝かせる時間が大事なの、こういうのは。


○あまりわたしたちには普段、馴染みのない著者たち、思想家たちについて論じているように見えますが?

上野 これを機会にこういう思想家たちの仕事に出会ってもらえばいいと思って。最近は「回転寿司」みたいなダメな入門書が多いから。ぼくの芸風は、客にあたりのキツい寿司屋かラーメン屋のオヤジみたいなものだけど、たしかに今回はだいぶ読者サービスもしてる。巻末の文献案内とかね。


○ネットやツイッターについて、ずいぶん批判的なことも書かれていますが?

上野 ネットやメディア文化が悪いわけじゃないけれど、最近のブログとかツイッターとか、「言葉がやせ細って貧しくなる」「想像力の躍動がなくてセコい」と思って斜めから見てるかな。あと、流行ってるもの、みんながやっていることに昔から関心がないんだ。ツイッターなんて、もっとメディアとして面白い使い方はあるよ。でも、誰がどこでメシ喰ったとか意味ないでしょ、そんなこと書いても(笑)。今日はあれしたこれしたなんて書いている間に、一冊でも多くしっかりした本を読んでる方がいいと思ってる。


○今後のお仕事は?

上野 8月に岩波書店から出る論集「日本映画は生きている」(全8巻)の第6巻のアニメについての巻で編集協力をしてますね。自分の論文も100枚ほど書いたかな。秋にもう一冊、単行本でかなりハードな5年ごしの書き下ろしが出ます。


○楽しみにしています。ありがとうございました。

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