教職員から |  2010/01/13


こんにちは。経済学科の加藤巌です。
2009年4月から、マレーシア・ボルネオ島で暮らしています。

読者の皆さん、新年あけましておめでとうございます。
新しい年を迎えたいま、ボルネオ島は雨期の季節に入っています。
私と家族は、雨にも負けず、暑さ!にもめげず、あちこちへ出掛けています。
今日は、そんな私と家族が地元の警察署で体験した「ちょっとビックリ」をお話ししましょう。
いま、私と家族はマレーシア国産であるプロドゥア社のマイヴィ(Myvi)という車に乗っています。
この車についてはボルネオ便り2(マレーシアの国産車に乗ってみませんか)をご参照ください。
 ⇒http://www.wako.ac.jp/blog/index_univ/1352.html

マイヴィは小型車でよく走ってくれます。週末になると家族で遠出をします。
出掛けるのは、あちこちの「タムー」(青空市場)です。
色々な民族が寄り集まって開かれる「タムー」は興味深く、そして楽しいものです。

ボルネオ便り4(タムーのはなし)もご参照いただければ幸いです。
 ⇒http://www.wako.ac.jp/blog/index_univ/1359.html


4月のある晴れた日曜日、小さな村のタムー(青空市場)へ行きました。
村の名前はトゥアラン(Tuaran)村です。
私の住むコタキナバル市からは車で北方に向かって約1時間ほどです。
小さな田舎の村とはいえ、そのタムーは多くの「山の民」と「海の民」が様々な物産を持ち寄ることで有名です。

村へ通じる道路は水牛が寝転んでいるような田舎道だったのですが、
村の入口に向けて車の渋滞が始まりました。
やっと村の中に入ったと思ったら、ものすごい数の車がいたるところに駐車していました。
私はようやく見つけた道路わきのスペースに無理やり駐車するしかありませんでした。

青空市場は大勢の人で賑わっていました。
地元の人々に交じって、私と家族も楽しく買い物をしました。


悲劇・・・少なくとも私にとって・・・は、この後起こりました。
買い物を済ませて、すべての荷物を車のトランクに積み込みました。
「面白かったね」などと話しながら、車を走らせていたら、
見慣れない紙切れがワイパーに挟まれて"ひらひら"と揺れているのです。
慌てて車を路肩に停めて、ワイパーから紙切れを取り外しました。
すると、「やはり」と言うべきか、「駐車違反」のキップだったのです。
私の乏しいマレー語能力では、細かいところまでは分からなかったのですが、
どうやら、「警察署に出頭して罰金を払いなさい」と書いているようです。


急いで、村に戻って、警察署を探しました。
運の良いことに、あるマレー人の青年が日本語で「どうしましたか」と聞いてくれたのです。
彼は日本への留学経験があり、日本語が上手でした。
マレーシアの大手携帯電話会社で働く、その青年は、この日たまたま、仕事の関係でトゥアラン村に来ていたのです。

彼は親切にも私の車に同乗して、トゥアラン村の警察署まで案内してくれました。
もちろん、車で警察署に向かう途中、彼に聞きました。「罰金は幾らか」と。
変に思われるかもしれませんが、駐車違反のキップには「罰金の金額」が書いていなかったのです。

そこで、その日本語の上手なマレー人青年の返答は、「駐車違反の罰金は50リンギぐらいですよ。
もし、加藤さんの運が良ければ30リンギかな・・・」でした。
さらに「窓口で"粘って"みてください」ともアドバイス!してくれました。
私は???でした。

そうこうするうちに警察署に到着しました。
マレー人青年にお礼を言って別れてから、警察署の建物の中に入りました。
受付に尋ねると「今日は日曜日なので担当が休んでいる。明日の月曜日に来てくれ」とのことでした。
私が(村から車で1時間かかる)コタキナバル市に住んでいることを説明すると、
罰金はコタキナバル市の警察署でも支払えると教えられました。
各地の警察署はコンピューターシステムで繋がっているから、どこでも罰金を支払えるとのことでした。

もちろん、トゥアラン村の警察署でも「駐車違反の罰金はいくらですか」と警察官に尋ねました。
すると、40歳代の警官が「50リンギぐらいだと思うが、窓口で交渉してくれ」と答えてくれました。私はさらに??????になりました。
はたして、日本の警察署で罰金を払う際に交渉で金額が決まるなどということは有り得るのでしょうか。
マレーシアは事情が随分と異なっているようです。


早速、翌日の月曜日にコタキナバル市の警察署へ行きました。
守衛の若い警官に尋ねると、警察署の2階に「罰金支払い」の窓口があるとのことです。
階段で2階に上がると、7人から8人の人達が(罰金)支払いのために並んでいました。
私も列の最後に並びました。
私の順番が来て、窓口の中年の女性警官に駐車違反のキップを見せると、彼女はパソコンのキーボードをパチパチと叩いて「まだ、トゥアラン警察署から(駐車違反の)記録がネット上に登録されていない」ので、「そうですね。来週の月曜日にもう一度来てください」と(私に)言いました。

そこで、翌週の月曜日の午後に警察署へ出頭しました。
すると、前回と同じ女性警官が「まだ(駐車違反の)記録が登録されていませんので、次回は2日後ぐらいに来てください」と(あくまでも明るく)言いました。

2日後の水曜日に再び警察署に出頭しました。
今度は別の女性警官が対応に出てきて「今日は警察のネットワークがダウンしているので、念のために来週の前半に、また来てください」と答えたのです。

私は、さらに翌週の月曜日に警察署に出頭したのですが、運悪くというか、残念ながらというか、停電で警察のコンピューターが使えなくなっていました。
もちろん、罰金の支払いもできませんでした。


まるで「上がり」のない「すごろく」のようになってきました。
が、しかし、何事にも「終わり」はやって来るのですね。


次は、同じ週の水曜日に警察署へ出頭しました。
運が良いのか、悪いのか、これが最後になりました。

最後の回は最初に対応してくれた女性警官が対応してくれました。
実は、この日も記録がまだ登録されていませんでした。
女性警官は「何度出頭したのか」を聞いてきましたので、「今日で5回目」だと答えました。
彼女は少し考えた様子を見せた後、「今日で終りにしましょう」とニッコリ笑いかけてきました。

彼女は指を3本立てて、「これで、どう?」といった仕草を見せました。
私に文句を言う筋合いはありません。聞いていた最も安い金額です。
すぐに「OK」と言って、賛同しました。
私は少し慌てながら(彼女の気が変わらないうちにと)、30リンギを窓口に差し出したのです。


以上をもって、私が生涯で初めて支払った駐車違反の料金は30リンギとなったわけです。
それ以来、駐車違反には気をつけています。
ケチらずに駐車場に車を入れる習慣もつきました。

念のために申し上げると、私と家族の体験はもしかすると特殊なケースかも知れません。
また、私の貧弱なマレー語会話能力から誤解を招いた産物かも知れません。
それでも、少なくとも私にとっては生涯忘れられない経験となりました。
また、マレーシア社会の柔軟性をみた思いがしています。


今日も最後までお読みいただいた皆さん、ありがとうございます。
せっかくですから、一つだけアドバイスをさせてください。
もしもですよ。仮に皆さんがマレーシアで(駐車違反の)罰金を支払うようなことがあれば、あまり真剣にならずに「少し安くなりませんか」といった(明るい)調子で窓口でお話ししてみては如何でしょう。
そして、窓口の対応が日本の警察の様に手際が良くなくても辛抱強く付き合ってみてください。
きっと良い結果が付いてくると思いますよ。


★この情報は、経済学科の加藤巌先生から寄せられました。

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