教職員から |  2009/09/03


こんにちは。経済学科の加藤巌です。
2009年4月から、社会的な多様性に満ちたマレーシアのボルネオ島で暮らしています。今回は私が肌で感じる「所得格差」(貧富の差)のお話しをしましょう。
 
IMF(国際通貨基金)の報告によると、2008年にマレーシアでは1人あたり所得が8,140USドル(年額)に達しています(以下、USドルをドルと表記します)。発展途上国の平均が約2,000ドルですから、マレーシアはすでに経済的には中進国といえるでしょう。
 
図表1をご覧ください。マレーシアの1人あたり所得の増加率(3.2%)は発展途上国の平均(4.1%)よりも緩やかですが、先進国の平均(1.9%)を上回っています。一方で物価上昇率(3%)は穏やかです。所得水準が8,000ドルに達し、さらに経済を発展させようとする段階(マレーシアは2020年の先進国入りを目指しています)で、物価上昇率が落ち着いているのは、この国の経済状況が安定的に推移していることを感じさせます。
 

図表1:世界から見たマレーシアの所得水準と物価上昇率(国際比較)
 
graph1.gif
注1: 1人あたり所得はGNIの国民1人あたり額、1人あたり所得の増加率はGDP国民1人あたりの増加率を示す。
注2:マレーシアと日本の1人あたり所得は2008年のデーター。
出所:IMF "World Economic Outlook Database 2009"とUNICEF "The state of the world's children 2008"より作成

  
ちなみに、年収が8,141ドルということは、円換算してみると国民1人あたりの年間収入が77万円余りとなります(1ドル=95円で計算)。月収に直すと約6万4千円となります。少し乱暴な話ですが、物価が(日本に比べて)安いマレーシアでは、まずまずの金額のように思います。
 
私の個人的な体験からお話しすると、いま暮らしているコタキナバル市内の物価水準は日本の3分の1から4分の1程度に感じることが多いです(あくまでも私個人の体験からお話ししていますから、一つの参考ぐらいにお考えください)。
 
例えば、スーパーで缶ジュースを購入すると約40円、町の食堂でチャーハンを食べると約140円、コーヒーが約50円、車関係ではガソリン1ℓが約48円、空港の駐車場代が1時間で27円ほど、また、(先日たまたま見た)郊外の新築3LDKマンションが約600万円などです。
 
こうした物価水準からマレーシアの所得を捉え直してみると、マレーシアで6万円の月収は、実質的に(日本の)18万円から24万円に相当するといえるかも知れません(物価が3分の1から4分の1として、単純に所得の購買力を3倍から4倍と考えています)。
 
さらに、国民1人あたりではなく、世帯単位で計測した場合には、2007年に平均世帯月収は約11万8千円(3,686リンギ/2007年当時の為替レートによる)に達しているそうです(住商総研ワールドフォーカス2008年5月号No.27より)。
 
今度は図表2をご覧ください。
比較的順調な経済発展に伴って、幾つかの社会指標も向上しています。UNICEFの報告では、2006年にマレーシア人の平均寿命は74歳に達しています。同じく、小学校教育を受ける児童の割合も95%となり、先進国レベル(96%)に達しています。
 
1歳未満の乳幼児死亡率(1,000人の乳幼児の中で1歳の誕生日までに死んでしまう人数)でも1990年の16人から2006年の10人へと改善しています。これは発展途上国の平均(54人)をはるかに下回っています。
  
図表2:マレーシアの子どもを取り巻く状況(国際比較)
 
graph2.gif 
注1: 本図表の平均寿命とはLife expectancy at birthを示している。
注2: 本図表の義務教育は小学校教育を意味している。
注3: 日本の義務教育を受ける児童の割合はデーターがないが、ほぼ100%に達しているものと考えられる。
注4: 1歳未満乳幼児の死亡率とは1000人の乳幼児の中で1歳の誕生日までに死んでしまう人数を示している。
出所:UNICEF "The state of the world's children 2008"より作成

 
 
読者の皆さん、如何でしょう。これまでの話しから、マレーシア国民が経済的に豊かになっていく様子を少しでも感じていただけたでしょうか。実はここからが今回のブログのメインとなります。ただし、全体の文章が長いので「後半」は次回にお話ししましょう。ちなみに後半の書き出しは以下のとおりです。
 
「私は、マレーシア経済が発展し、人々の生活が豊かになっていることを実感しています。その一方で、社会の構成員が一様に豊かになっているのかと聞かれると少し返答に困ります・・・・」
 
それでは皆さん、今日もお読みいただきありがとうございました。
また(ブログ上で)お会いしましょう。
 
★この情報は、経済学科の加藤巌先生から寄せられました。
 
★前回のボルネオ便り「イスラム教徒の赤ちゃんの洗礼式に出席しました」はこちら。
 http://www.wako.ac.jp/blog/2009/08/post_221.html
 

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