卒業生の近況 |  2009/06/10


現代音楽作曲家として世界的に活躍した武満徹さんの名を冠した若手作曲家の国際コンクール「武満徹作曲賞」の本選ファイナリストとなっていた山本和智さんが、先日(5月31日)東京オペラシティ・コンサートホールで開かれた「本選最終選考・演奏会」で第2位の栄誉に輝きました。
 
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▲山本さんが受け取った表彰状
 "Kazutomo Yamamoto was awarded the 2nd prize of the Toru Takemitsu Composition Award 2009" と記されています。今年の同賞には世界26カ国から100人を超える応募者があり、山本さんはそのなかから5人のファイナリストとして選ばれていました。このコンクールはたったひとりの世界的作曲家が予備選考から本選最終選考まで審査を担当するもので、今年度はドイツのヘルムート・ラッヘンマン氏が審査にあたりましたが、山本さんの曲「ZAI FOR ORCESTRA」は第2位(賞金60万円)の評価を得たものです。
 
アイヌ語で「群れ」という意味の「ZAI」の語を冠する山本作では従来のオーケストラの楽器配置を崩して8つのグループに再構成し、バイオリンと木管、金管楽器がひとつのグループを作るなど、ユニークな音の組み立てが実践され、さらに曲の最後には聴衆をあっと驚かす表現が組み込まれています(今後、この曲に接する方のためにその詳細はここでは伏せますが、批評家の方たちからは「おそらく世界初」のパフォーマンスという言葉が寄せられたそうです)。
 
 「非常に高度に発達した作曲技法」(ラッヘンマン氏講評)を評価されて第1位をとった曲と比べ、遜色のない完成度をみせる「ZAI」をラッヘンマン氏は最終的に2位としましたが、5つのファイナル曲を演奏した東京フィルハーモニー交響楽団の楽団員の方々は「ZAI」の演奏の後だけ、アプローズ(曲への賞賛の意を示す足踏みやヒザを叩くなどの動作)をして、その素晴らしさを讃えていました。
 
 結果的には第1位を逃しはしたものの、山本さんの作品は音楽としての完成度の高さだけではなく、芸術表現の〈枠〉を越境する意気込みを見せる意欲作です。上記の批評家のことばに拠るならば、今後、「世界音楽史」あるいは「世界芸術史」の中に特記される作品になるものだろうと思われます。
 

総合文化学科教授  小関和弘

 
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▲山本さん直筆の「ZAI」のフルスコア。
 
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▲フルスコアを手にした山本さん。
 今後の活躍に期待がふくらみます。
 

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