教職員から |  2009/04/13


表現学部総合文化学科の上野俊哉先生(専門は文化研究、メディア論)が監訳をつとめた『日本のヒップホップ――文化グローバリゼーションの<現場>』(イアン・コンドリー著)が、NTT出版から刊行されました。
 
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▲『日本のヒップホップ――文化グローバリゼーションの<現場>』上野先生によると、「『08年度は二冊翻訳を出す』という大見得を切ったものの、09年度にすこしずれての翻訳刊行」とのことですが、約6ヶ月ぶりの翻訳出版と精力的なペースでの刊行となりました。
総合文化学科オリジナルブログ参照。
 
原著は、2006年にデューク大学出版から出たHip Hop Japan。著者はアメリカのMIT(マサーチュセッツ工科大学)やハーヴァード大学のライシャワー基金で日本文化について研究、教育に携わるイアン・コンドリー准教授。
 
上野先生とは国際学会で知り合い、今では一緒にクラブに行ったりする仲だそうです。2年ほど前には、上野先生の講義やゼミにゲストとして和光大学に来たこともあるとか!
つい先月も、逆にイアン准教授が上野先生をMITに招き、Cool Japanの研究プロジェクトで鶴見俊輔の思想と実践について講義とワークショップの場をもったそうです。
 
本の内容は、九〇年代の終わりからゼロ年代にかかるくらいまでの日本のヒップホップのシーン(現場)と歴史をこまかく紹介、分析しています。Bボーイ(ヒップホップにかぶれた若者)相手でなくても、超有名なあのライムスターや、女性ラッパー/シンガーのMiss Mondayのアンダーグラウンド時代が繊細なフィールドワークにもとづいて語られています。
 
Q.著者との交友は、どのようにはじまったのですか?
 
「九八年にぼくは和光大学に勤めはじめたんだけど、その頃クラブに行くと、よく <あれ? 先生こんなとこで何してるの?> と和光生に出くわしたものです。ぼくはヒップホップじゃなくてテクノのハコで踊ったりDJしたりしてたんだけど、まわりの和光生や仲間にはヒップホップのパーティにも行ってる奴が多かったの。当時、やたら日本語のうまいアメリカの白人の研究者がいるって噂は聞いてたんだよね。それがイアンだったわけ。ちゃんと話すのはさらに数年後、それもサンディエゴかシカゴの学会でだったかな。なぜか最近はハコで学生に会わないので、のびのびと遊んで踊ってますけど(笑)」
 
ヒップホップはアメリカの貧乏のどん底にあるコミュニティやゲットーで、主に黒人の若者があみだした表現文化だった。しかし、それは日本の若者文化にも影響し、日本語のヒップホップという表現がマイナー(周辺)からメジャーになってきた過程と、そこにある様々な問題が、本書ではいきいきと語られているといいます。
 
また、「日本のヒップホップなんて真似っこでニセモノだ」とか「日本のヒップホップにはウヨやナショナリストが多い」などといった先入観とは違った目で、グローバルな黒人文化に駆動されて生まれてきた「日本発ヒップホップ」から、もう一度グローバリゼーションそのものを見なおす、という野心的な試みと言えるだろう、と上野先生は話しています。
 
Q.和光の学生や未来の和光生に、この本をどんなふうに薦めますか?
 
「フィールドワークの大事さ、フットワークの軽さ、かな? 勉強や研究は机の上やパソコンでもするけど、街路やクラブでもするもの。しかも何か表現文化が生まれてくる <現場/シーン> は、ただ勉強や研究の観察や考察の対象であるだけじゃなくて、そこから新しい考えや概念が生まれてくる動きをもっている。読むこと、ふらふら街を歩くこと、ハコで踊ること・・・みんな勉強になるんだよ。ニコ動やYouTubeだけだと部屋から出ないでしょ? 文化は<おんも>(家の外)にあるんだぜ、って言いたいよね」
 
「ま、音楽一般、とくにヒップホップに関心のある和光生や高校生に、こういう勉強もあるんだってことで読んでほしいかな。イアンはMITで教えてるだけに、収穫逓増(しゅうかくていぞう)やロック・インといった経済/経営学の議論もうまく使われてて、学部学科を超えた学びのできる和光大学だし、先生方にも読んでほしいよ。ラップと短歌、俳句は?って考えたら、日本の文学とだってかかわるでしょ」
 
著者のイアン先生の次回作は、日本のアニメのグローバルな流通や製作現場についての文化研究で、もうすぐ刊行とのこと。これも「和光発」で翻訳されるのでしょうか!?
上野先生の縦横無尽な活動ぶりからは、今後も目が離せません!
 
『日本のヒップホップ 文化グローバリゼーションの〈現場〉』
イアン・コンドリー著、上野俊哉 監訳、田中東子/山本敦久 訳。
NTT出版、四六判、2940円、2009年4月10日発売、433ページ。
ISBNコード 978-4-7571-4171-1
 
★上野俊哉先生に関するブログ、バックナンバーはこちら↓

・(12/18夜)上野俊哉先生がTokyo FMに生出演します。
 http://www.wako.ac.jp/blog/index_univ/1195.html
・(3/12開催)上野俊哉先生、N.Y.で「日本文化」を語る。
 http://www.wako.ac.jp/blog/index_univ/1256.html
 
★この情報は、総合文化学科の上野俊哉先生から寄せられました。
 

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