公開講座 |  2008/12/27


今まで4回に渡りお送りしてきました、「新・世界都市物語」のご報告もとうとう今回で最終回です。
今回は、11月7日(金)に行われた、第5回イタリア・トスカナ地方の模様をお伝えします。
最終回を飾る講師は、和光大学学長の白石昌夫先生です。
2時間と言う限られた時間ではありますが、38名の受講生の皆様と、世界遺産の宝庫であるイタリアへ、いざ!美術鑑賞の旅です。

講座内容は、イタリア、トスカナの町のうち、主にフィレンツェ、シエナ、アッシジの町とその美術についてのお話でした。
代表的な作品をスライドで紹介しながら、作品を理解する上で大切な事も教えて頂きました。
偉大なる芸術家たちが作品を制作した現場に実際に行く事によって、作品を深く知る事が出来るのだそうです。歩いたり、触れたり、食事をしたり、そこに住む人々と会ったり、と環境を知る事、実物に触れていく事が大事なのだとか。
時代を超えて、自分の好きな芸術家と同じ風を感じる事が出来たら、とても素敵でしょうね!
美術作品の技法と材質の違いなどのお話も大変興味深いものでした。
イタリア・ルネサンスを代表するボッチチェリの名画「ヴィーナスの誕生」と「春」は、テンペラ(※1)と言う同じ技法が使われているのですが、「ヴィーナスの誕生」の方は画布に、「春」の方は板に描かれているため、作品自体の質感が違うのだそうです。
今では油絵具が主体ですが、上記のテンペラと言う技法の他に、マサッチオの「楽園追放」やフラ・アンジェリコの「受胎告知」などに代表されるフレスコ画(※2)と言う技法も紹介して下さいました。
図版では技法の判別は難しいので、実物を見る機会がある時は、その点を見比べてみるのも楽しいかもしれません。

白石先生は学生を連れて何度もヨーロッパに行っているそうで、その時のお話もしてくださいました。
ある時のフィールド・ワークでは、ローマからバスで30分ほどの所に家を借りて、1ヶ月ほど滞在したそうです。
そんな素敵なフィールド・ワークなら参加してみたい!と思った方も沢山いらっしゃったのでは?
途中、10分間の休憩を挟んだのですが(休憩中には、受講生の皆様に生ハムとチーズを召し上がっていただきました)、熱心な受講生の方々が白石先生を質問攻めにする場面も見られました。

休憩後は、白石先生の旅行DVD(バロンバーラ、フィレンツェ、アッシジ、シエナ、サン・ジェミニアーノ)を鑑賞しました。
今回の講座では、美術作品に関するお話の他に、地図を見ながらのイタリアの土地のお話や、旅先でのお話、白石先生の若かりし頃(?)のお話に至るまで、色々なお話をしていただきました。

受講生の皆様や講師の先生方のお陰で、「新・世界都市物語-ヨーロッパの都市のくらし-」は、全5回無事に終わる事が出来ました。ありがとうございました!
来年も同じ時期に地域とテーマを変えて開催する予定ですので、その時は是非是非ご参加下さい。


~「新・世界都市物語」マメ知識~
<技法について>
■※1 テンペラ
水性と油性の成分が混合した乳濁液を媒剤とする絵画技法で、テンペラは混ぜ合わせるという意味のラテン語「Temperare」を語源としているのだそうです。乳化剤として鶏卵を用いる卵テンペラ、蜜蝋やカルナウバ鑞を鹸化した鑞テンペラ、カゼインを使うカゼインテンペラなどの処方があります。
■※2 フレスコ
壁に漆喰を塗り、その漆喰がまだ「フレスコ」である状態で、つまり生乾きの間に水または石灰水で溶いた顔料で描く技法です。やり直しが効かないため(失敗した場合は喰をかき落とし、やり直すほかはない)、高度な計画と技術力を必要とするのだそうです。

<講義内で紹介された広場・美術館>
■サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場
フィレンツェで最も美しい広場と言われ、捨子養育院広場としても有名です。何らかの事情で子供が育てられない人が子供を捨てるための受付け台があり、今でもその跡が残っています。

■ピッティ美術館
メディチ家を中心とした歴代の主が収集した1000点以上の美術品が公開されています。絵画を中心としたコレクションで、「パラティーナ美術館」とも呼ばれます。ピエトロ・ダ・コルトーナが内装を手がけたもので、「ヴィーナスの間」、「アポロの間」、「ユピテルの間」、「マルスの間」などに残る壁画は彼の作品です。以下は主な収蔵品。
・ラファエロ :「大公の聖母」(1504年頃) /「小椅子の聖母」(1514年頃)ほか
・ルーベンス :「4人の哲学者」(1611~12年)/ 「枢機卿グイド・ベンティヴォリオの肖像」(1623年)ほか
・その他の作品:フィリッポ・リッピ 「聖母子聖アンナの生涯」(1452~1453年頃)/ボッティチェリ 「婦人の肖像(美しきシモネッタ)」(1475年頃)/ソドマ 「聖セバスティアヌスの殉教」(1525~1526年頃)/ティツィアーノ 「悔悛するマグダラのマリア」(1530~1535年頃)ほか

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◆講座の様子


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◆サン・ピエトロ寺院の屋上から


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◆シエナ・カンポ広場

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