公開講座 |  2008/12/22


今回は、アイルランド・ダブリンを紹介いたします。

第4回「ダブリン―文学都市の歩き方」は、講師に吉川信群馬大学教授をお招きし、41名の方が参加くださいました。
ありがとうございました。
第4回は、たくさんの資料がありました。
ジェイムス・ジョイスの作品の引用、町の写真、銅像の写真、新聞のコピー、町の地図。
ジョイスの作品を読みながら、町の写真を見、地図で位置を確認し、作品に描かれている情景をイメージする。そんな風に先生のお話は進んでいきました。

<現実とフィクションの間合い>
ダブリンの街には、いたるところに彫刻があります。
その中の一つ、「モリー・マローン像」にまつわるお話しを一つ。

モリー・マローン像は、グラフトンストリートの入り口にある若い娘が手押し車でザル貝やムール貝を売っている像です。彼女は実在の人物ではなく、19世紀にダブリンでよく歌われたバラッドの登場人物です。

♪ 可愛いモリー・マローンは、「ザル貝 ムール貝 生きがいいよ」と言いながら手押し車を引いていた。
しかし、熱病で彼女は死んだ。誰も可愛い彼女を救えなかった。
今も彼女の亡霊が手押し車を引いている。「ザル貝 ムール貝 生きがいいよ」と言いながら。

この像ができてから、ダブリンに都市伝説めいたものが生まれました。

モリー・マローン像はダブリン成立1000年祭の時に作られ、下層の労働者階級の姿を記念するという意味合いがあります。
この像を作る際、「モリー」も「マローン」もアイルランドによくある名前だったため、きっとこんな女性もいたのではないか、ということになり、1000年祭委員会は彼女の素性を具体的に決めました。

モリー・マローンは、1699年7月13日に死んだ、ということにしよう。職業は、歌にあるように魚売りである。魚売りとなると街頭で売っていたわけだから、同時に夜は娼婦として稼いでいたに違いない。ということは死亡理由はチフスか梅毒であろう。夜のお客としては、この場所から考えるとトイニティーカレッジの学生だったに違いない。

像を見ると、胸元の大きく開いた服を着ており、このあたりにも夜の商売をしていたことが暗示されています。
物語好きな、現実とフィクションの間合いを楽しむダブリンの人たちの嗜好を垣間見ることのできるエピソードです。
ジョイスの書いた『ユリシーズ』もフィクションですが、「ブルーム(『ユリシーズ』の登場人物)の足跡」という石版が街のいたるところに存在します。
『ユリシーズ』を読んだことのない人や「ジョイス?名前は聞いたことあるけど」というダブリン市民の中には、「ブルームの足跡」という石版を見て、「あ、ブルームって本当にいたんだぁ」と思っている人も少なくないようです。

ジョイスの小説を片手に、現実とフィクションの間合いを楽しみながら、ダブリンの街を歩く旅なんていかがですか??


〜「新・世界都市物語」マメ知識〜
◇吉川先生オススメ映画
『ライアンの娘』
南西部ディングルが舞台。モハーの断崖も映画で使われています。田舎の自然を描いた作品としてはオススメ!この映画を観ると、実際にディングルへ行ってみたくなるそうです。

『ワンス ダブリンの街角で』
ダブリン一の目抜き通りグラフトンストリートでストリートミュージシャンが歌っているところからはじまります。ストリートでの撮影が多いため、街の風景を楽しめる映画です。

◇Molly Malone
講座の最後に「モリー・マローン」のバラッドを聴きました。今回聴いたのは、シンニード・オコナー(もしくは「シネイド・オコナー」「シニード・オコナー」)が歌う『Molly Malone』。『She Who Dwells in the Secret Place of the Most High Shall Abide Under the Shadow of the Almighty(Hummingbird/Vanguard, 2003)』という2枚組のライブアルバムに収録されています。


DSCN1946.JPG
▲地図で位置を確認しながら講座を進める吉川講師(中央)


第4回は、アイリッシュティーを振舞いました。今回購入したのはビューリーズの「アイリッシュ アフタヌーン」。ビューリーズのホームページから購入できます。


第1回「フランス・パリ」の報告はこちら
http://www.wako.ac.jp/blog/index_univ/1177.html
第2回「フランス・アルザス地方」の報告はこちら
http://www.wako.ac.jp/blog/index_univ/1185.html
第3回「ドイツ・ベルリン」の報告はこちら
http://www.wako.ac.jp/blog/index_univ/1192.html


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